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『還暦からの底力』を読む

本日の読書感想文は、出口治明『還暦からの底力』です。

憧れの人、出口治明さん

著者の出口治明さんは、私が憧れる人のひとりです。日本生命を退社後、パートナーの岩瀬大輔氏とライフネット生命を立ち上げ、長く経営されてきました。70歳を超えた現在も大分県別府市にある立命館大学アジア太平洋大学(APU)の学長として活躍されています。

出口さんは無類の読書家で、多くの著書があります。人生を豊かにする要素として、歴史、人、旅、本に言及されることも多く、共感する部分が凄くあります。自身が、日本生命時代にトップとの意見の相違から左遷人事を受けて苦労をされた経験をお持ちなので、サラリーマンの生き方についても上辺だけではない示唆に富んだ意見をお持ちで、大いに参考にさせてもらっていました。

昨日は、本を読まないスゴい人を考察しましたが、出口さんは本を読むスゴい人の代表格のような人です。

保守主義と革新主義

私が人生後半戦にやりたいことに『知的生活を愉しむ』ことがあります。たとえ社会に影響力を行使できるようなチャンスはなくても、在野にあって、物事を面白がる知的好奇心をずっと持ち続けていたいと思っています。

本書の中で、会社員をリタイアした後も「人・本・旅」を軸に、世の中の動きに興味を失わずに生きることを提案されていて、「ヤング・サポーティング・オールド ⇒ オール・サポーティング・オール」など、共感できる考え方が数多くありました。

特に第四章の中に収められている「保守主義と革新主義の違いは人間観」「理性にすべてを委ねるのは傲慢である」(P183~189)で展開されていた議論が面白かったので、メモに残しておきたいと思います。

第一章 社会とどう向き合うか
第二章 老後の孤独と家族とお金
第三章 自分への投資と、学び続けるということ
第四章 世界の見方を歴史に学ぶ
第五章 持続可能性の高い社会を子供たちに残すために

※人間観には二種類ある。
・人間はしっかり勉強すれば賢人になれる=革新主義
・人間は勉強したところで所詮はアホな存在である=保守主義

※ 所詮賢くはない人間が、賢くない頭で社会の見取り図を考えて、世界を再設計しようとしてもたいしたものはできない。

※ 今ある制度のなかでそこそこうまくいっているもの(伝統と慣習)は正しいと仮置きしてそのままにしておくのが賢明 = 保守主義の真髄

※『アメリカ大都市の死と生』(保守)vs 『輝く都市』(革新)
◆ 保守主義とは「仮置き」する思想
◆ 日本には真の保守主義者が少ない 人間の理性を過剰に信奉している
◆ 大切なのは謙抑主義 理性に頼るのは傲慢👉人間はさほど賢くない




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