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【物語】宇宙人バー

宇宙は無限の広がりと言われている。

しかし今の私にとって、
この宇宙ステーションは牢獄だ。

限られた狭い空間は、圧迫感を感じさせる。

外の景色も、変わり映えのない単調なものばかり。

毎日、同じ顔、同じ声、同じ景色。


地球から離れ、
新たな世界に飛び立ったはずなのに、
狭い檻に閉じ込められた囚人のような気分に
なっている自分がいた。

不条理だ。

最近、宇宙ステーションでの任務が、
私の心を押しつぶすようになってきた。

無重力の中での作業も、重苦しさを増すばかりだ。

そんなとき、仲間から聞いたのが、
「宇宙人バー」の噂だった。



ある日、勇気を振り絞って
宇宙人バーに足を踏み入れた。

そこには、まさかの光景が広がっていた。


宇宙人たちが陽気に踊りながら、
奇妙なリズムに合わせて楽しんでいるではないか。

宇宙ステーションでの
堅苦しい日常とはまるで違う雰囲気に
思わず目を奪われた。

カウンターに近づいて、
バーテンダーの宇宙人に注文を頼む。

どんな宇宙酒を楽しむか尋ねられた。

手渡されたメニューには
見たこともない宇宙語で
聞いたこともない宇宙酒の名前が
たくさん書かれていた。

どんなものかサッパリ想像がつかない。

私はその中のひとつを
適当に指差して注文した。

頼んだ宇宙酒が届くまで
私は少しドキドキしながら待った。


私が選んだのは、
輝くような色彩を放つ
宇宙カクテルだった。
こんなカクテルはじめて見た。
 

一口飲むと、
まるで宇宙のエネルギーが
身体中に広がるような感覚があった。

全身がキラキラ発光してくるかのようだ。


私は思わずダンスホールに飛び出し、
宇宙人たちが誘うリズムに合わせて、
踊りだしてしまった。

心の中の煩わしさが、
宇宙の宴に飲み込まれていくようだった。

虹色に変化するミラーボールの光に照らされ、
私は恍惚として踊り続けた。




踊り疲れてカウンターに戻ると、
隣の席の宇宙人が、突然叫びだした。

「酒のない宇宙なんてクソったれだ!」

その宇宙人は、
アルコール中毒者かのような虚ろな目をして、
ずいぶんと酒に飲まれているようだった。
私は驚きながらも、同情を込めて声をかけた。

「そうだと思います。日々の生活は、どこも同じ。ストレスまみれでしょう」

アル中宇宙人は、ため息混じりに言った。

「ああ、分かってくれるか!この狭い宇宙で、毎日同じ顔を見て、同じ声を聞く。うんざりだ!」

私は共感を感じながら答える。

「確かに、限られた空間と、同じ人々との日々は、精神的な重圧です」

アル中宇宙人の口調は、少し和らいできた。

「まさにその通りだ。だからこそ、俺はここに来る。少しでも解放感を味わいたくてな」

私は完全なる同意をもって頷いた。

「宇宙人バーは、ストレスから解放されるための、大切な場所なんです」


宇宙人たちとの交流は、
私の心を解きほぐしてくれた。

彼らと共に楽しむ中で、
狭い壁の中に閉じ込められているような感覚が、
一時的に解放されていくのだった。

宇宙人バーは、
私の心を解き放つ場所として、
今やかけがえのない存在となっている。

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