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子孫繁栄を象徴し吉祥をもたらす「リス」-『神々の意思を伝える動物たち 〜神使・眷属の世界(第十一回)』
「神使」「眷属」とは、神の意思(神意)を人々に伝える存在であり、本殿に恭しく祀られるご祭神に成り代わって、直接的に崇敬者、参拝者とコミュニケーションを取り、守護する存在。
またの名を「使わしめ」ともいいます。
『神々の意思を伝える動物たち 〜神使・眷属の世界』では、神の使いとしての動物だけでなく、神社仏閣に深い関わりのある動物や、架空の生物までをご紹介します。
動物を通して、神社仏閣の新たなる魅力に気付き、参拝時の楽しみとしていただけたら幸いです。
神使「リス」
今から40数年前・・・ まだ幼稚園に通っていた頃、我が家では鳥や小動物などをたくさん飼っていました。 その中に、一匹のリスがいました。
子どもながらに、狭そうなケージの中にいるリスが不憫でたまらず、ケージの扉を開け放ってしまいました。 幼かった私は、リスは外で思いっきり遊んだら、住処であるケージに帰って来てくれるだろうと信じて疑わなかったのです。
しかし、待てど暮らせど一向に帰って来ないリス。 私はケージの前にしゃがみ込んで、帰って来ないリスを想って、ひとしきり泣いたのを覚えています。
実はこのリスも、神様の使いとされているのです。
吉祥のシンボル
リスを漢字で書くと「栗鼠」。これは文字通り、栗などの木の実を主食とし、鼠に似ている動物であることから名付けられたもの。
「栗鼠」は元々は漢語であり、「りっそ/りっす」と読んでいたことから、現在の「リス」の読みになりました。
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また、リスは多産であることから、子孫繁栄を示す吉祥のシンボルとみなされ、同じ意味を持つ「葡萄」とともに「葡萄栗鼠文(ぶどうりすもん)」として、着物や調度品などの文様として好まれました。
この「葡萄栗鼠文」が使われるようになったのは17世紀以降ですので、それ以前はリスという動物は、固有の種としては、まだ日本人には認識されておらず、ムササビなど他の似た動物と混同されていたのかもしれません。
平野神社のリス
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リスを神使とする神社は少ないながら、いくつか存在します。 そのひとつが、京都の「平野神社」。
桜の名所として知られる平野神社のおみくじは、神使のリスが桜の花びらを抱え、尻尾でおみくじを包んでいます。
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音更神社のリス
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北海道河東郡音更町に鎮座する「音更(おとふけ)神社」。
明治33年、当時の音幌農場内に伊勢神宮・内宮より御分霊を受けて創祀された社です。 境内地は、豊かな森林となっており千畳敷公園として親しまれています。
また、北海道環境緑地保護地区、十勝名木百選、音更町名木・美林指定を受けており、桜の名所としても知られています。
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この千畳敷公園にはエゾリスが数多く生息しており、エゾリス目当ての参拝者も多いとか。人懐っこくて、すぐ側まで寄って来てくれます。
こんな神社を、毎朝散歩出来たら最高ですね。 エゾリスをモチーフとしたお守りも人気です。
北海道神宮のリス
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道内最大の神社である「北海道神宮」は、動物園や球場などの施設もある円山公園に隣接しており、境内地は札幌ドームの3倍の広大さをもちます。
こちらの境内にも、音更神社同様にエゾリスが生息しており、参拝者の手から餌をもらう光景が見られます。
「北海道神宮」には、エゾリスだけでなく、エゾシマリスも生息しています。エゾシマリスは冬季には冬眠してしまい、見ることが出来ませんが、エゾリスは冬眠しないので冬の間も見ることが可能です。
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リスに所縁ある神社
平野神社
音更神社
北海道神宮
酒列磯前神社
参考文献
『神道辞典』国学院大学日本文化研究所(編)弘文堂
『神社のどうぶつ図鑑』茂木貞純(監修)二見書房
『神様になった動物たち』戸部民生(著)だいわ文庫
『東京周辺 神社仏閣どうぶつ案内 神使・眷属・ゆかりのいきものを巡る』川野明正(著)メイツ出版
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