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第四部『自分をとことん知る』 第一章「共感的コミュニケーション」

 「自分を知る」ってどういうこと?

 今でこそ、そこここで耳にする「自分を知る」っていう言葉ですが、わたしは、二十数年前(2000年頃)、子どもの幼稚園の園長先生から初めて聞きました。その幼稚園は、当時、子育てを一生懸命にやっていた私たち夫婦がやっとたどりついた、どこをとっても自然派の、真の意味で「ありのままで生きる」という哲学に満ちた幼稚園でした。それはその園長(彼は自分を呼び捨てにしろといっていたのでそうします)の精神によるものでした。環境、建物、教育内容、なにもかもが、子どもたちは当然のこと、そこに関わるすべての人間のことを考えており、そこで起きてしまう痛みすら、スタッフ(先生)、保護者、必要であれば子ども達とも共有する、そんな感じの幼稚園でした。
 そこではよくスタッフと父親も含んだ保護者とのお話会が催されていて、それ自体もごく自然なことでした。「子育てとは?」という問いに、常に園長は、「自分を知ること」と言い切っていました。
 で、まったくピンとこない私は、スタッフに「自分を知るとはどういうことなんですか?自分の趣味とか?好みとか?」という質問をしたことがあります。でもその時、スタッフは答えてくれませんでした。というか、答えてくれたのかもしれませんが、私の脳幹には届かなかったのかもしれません。
 みなさんはどうですか?自分を知ると聞いて、ピンときますか?

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