七走一坐

子どもの頃から20年近くお世話になっているかかりつけ医院に行って、インフルワクチンを打ってきた。大事な目的がもうひとつ。

それは、先生に近況報告をすること。日頃はありがたいことに健康体で、ほとんど医院にはかからない。ワクチンの時とか、花粉症がひどい時とかにお世話になって、少しだけお話しするお時間を頂戴する。母の次に、わたしを長く見守ってくださっているご意見番でもあるからだ。

今日は、ここまで21年分からなかった自分の特性が分かった、と報告した。
この特性については別でまたゆるっと書きたいのだけれど、簡単に言うと、今夏から精神科にかかって知能検査をしたら、自分の知能にはっきり凹凸があると分かったのだ。広汎性発達障害とも説明されている。
先生にも以前から、自分は発達かもしれない、凹の部分があると思うと話していた。今日はその結果報告で、専門的に調べて納得しました、と伝えてきた。

エジソンはね、と先生が教えてくれる。ーー今で言うところのADHDだとされていて、あれは親御さんがちゃんと理解して育てたから良かったんだよね、みんな適材適所で生きるんだよ。何かしら抱えるものだから。
先生自身の体験もあった。ーー以前勤務医だったとき、きっとアスペルガーだろうなという同僚がいて。彼が外来にくると、その仕事の取りこぼしを他のみんなで拾っていたような状況だった。僕が彼に「先生には外来は向いていませんよ」って言っちゃったこともあってね…周りに怒られたよ。

先生は続ける。ーーでもね、適材適所とはいったけどね、難しいよね。周りに迷惑かけるばかりではよくない時もある。
君の場合は、座禅みたいに、落ち着ける時間をつくること。ずっと頑張るだけだといけない。落ち着いて、ゆっくり考える時間が要るね。

七走一坐(ななそういちざ)」とは、禅の言葉だそうだ。7回走ったら1回休む。だから、1週間に1回くらい、落ち着ける時間を。考えをめぐらせて、ゆっくりまとめていく時間。

先生の医院は今夏に改装をして、先生の息子さんが中心で経営するように。そこまでずっと紙とボールペンで、ドイツ語でカルテを書いていた先生は、このリニューアルで日本語の電子カルテを使うようになっていた。
小回りがきかないんだよねえ。パソコンと向き合いながら、先生がこぼす。このカルテのシステム組んだ人、臨床の人じゃないんだよ。紙ならなあ…。

時代は変わりゆく。
今日は立派な、一坐の日になった。


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