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今さら聞けない「牛乳」をやめるべきと言われるワケ

牛乳は実は身体に悪い。
みなさまも一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?今回は、牛乳をやめるべき派とるべき派の意見をまとめてみたいと思います。

牛乳をやめるべき派の意見

①牛乳のたんぱく質「カゼイン」が身体にダメージを与える

カゼインは人体にとっては消化しづらいたんぱく質です。
殺菌消毒しない生の状態の牛乳にはカゼインを分解する酵素が含まれていますが、大量生産され市販されている牛乳は衛生面から加熱殺菌されているので、60℃前後で死滅してしまう酵素の恩恵を受けることはできません。
また、超高温殺菌をするとたんぱく質が変性し、さらに吸収しづらい形に変化することが知られています。

参考文献はこちら👇

②粗悪な環境で育った牛からは、粗悪な牛乳しかとれない

安価な牛乳を大量生産するために、粗悪な環境で乳牛が飼育されていることをご存知でしょうか?
遺伝子組み換え作物を飼料として与えられ、成長を促進するためにホルモン剤が投与され、密集した場所で運動不足の状況で飼育されるため病気になりやすいので予防のために抗生物質を投与されることもあります。
そのような牛から搾乳された牛乳が粗悪なものであることは言うまでもありません。

<ここからは個人の見解です>
食糧の大量生産によって安価かつ安定した食糧供給が担保されている事は、経済格差から生まれる生活の質の格差を小さくしているという点で有益であると言えるでしょう。しかし、自分が食べている食品がどのようにして作られているのかを知り、選択をすることは重要であると感じます。

アメリカにおける「行き過ぎた食糧生産」を取り上げたドキュメンタリー映画「フード・インク」(2009年)は現代社会的な食糧生産の背景を知るきっかけにオススメの映画です。Amazon Primeで観ることができます。

③畜産による環境負荷

栄養学の視点からは外れますが、環境負荷も無視できないものがあります。牛のゲップに含まれるメタンガスが地球温暖化に影響を与えている、という話も聞いたことがあるのではないでしょうか?

2021年3月にはEUの共同研究センターから、世界中で人為的に排出される温室効果ガスの3分の1は「食」に関係しているとの論文が発表されました。

これはプラントベースが近年着目されている理由の一つでもあり、食品を選ぶ上で重要な項目と言うことができるでしょう。

牛乳をとるべき派の意見

①1食あたりのカルシウムが多い

カルシウムが多い食品は牛乳以外にもある、と言われますが、それは食品成分表の100gあたりの値のみを比べた場合です。

たとえば、さくらえび100gにはカルシウムが2,000mg含まれており、これは日本人の食事摂取基準の約3倍です。しかし、1食の食事でさくらえびを100g食べるなんてことはフードファイターでない限り基本はあり得ません。

1食分として摂取することを念頭に置いた際に、カルシウムを多く含む食品の代表が牛乳なのです。

https://nyukyou.jp/dairyqa/2107_011_360/より引用

②優秀なたんぱく質源となる

牛乳は、必須アミノ酸(体内で合成できず食品から摂取する必要のある9種類のアミノ酸)をバランスよく含有し、アミノ酸スコアが100の良質なたんぱく質源であることが知られています。

また、牛乳をやめるべき派の意見で否定された「カゼイン」ですが、健康に役立つさまざまな機能(小腸でのカルシウムの吸収を助ける、神経の興奮を鎮める、免疫力を高めて病原菌の増殖を抑えるなど)を持つというデータもあります。

参考文献👇

何事もそうですが物事には必ず良い面と悪い面があり、どの立場から物事を見るか?は自分自身で判断をすべきだと思います。

③日本の乳業・酪農業を助ける

2021年12月、小池百合子東京都知事が牛乳を飲んで消費拡大を呼びかけたことは記憶に新しいのではないでしょうか?

食料自給率が低い(※2020年度、カロリーベースによる試算では37%)と言われる日本において、牛乳が大量廃棄されるというニュースは個人的に驚きだったことを覚えています。

これまた栄養学的な視点からは外れますが、日本の乳業・酪農業を助けるという視点から牛乳を飲む、という意見もあってしかるべきだと思います。

まとめ

牛乳に限らず、食品の良し悪しの判断は人それぞれの立場や考え方によって異なります。「食に関する正しい知識」を身につけ、それを基に自分が食べるものを選択すること。そして、他者の選択を尊重することを大切にしていきたいですね。

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