管理栄養士が「豆腐」を買うときに見るところ3つ
管理栄養士の資格を持ち
一部上場食品メーカーでの商品開発の経験も持つ
八百屋まりのと申します。
栄養学や、食品表示の視点から食材の選び方を解説する
「管理栄養士が○○を買うときに見るところ」シリーズをはじめます!
初回となる今回は「豆腐」の選び方を解説!
最後にはおすすめの豆腐レシピもあるのでぜひ作ってみてくださいね。
ずばり、裏面表示で確認するのは「原材料名」
使用されている原材料の重量が多い順に記載されており
添加物は"/(スラッシュ)"で区切って記載することが
食品表示法で義務付けられています。
それぞれのポイントを詳しく解説していきます。
①大豆の種類
大豆の種類に関しては、健康や栄養成分的な視点も議論になることがありますが、私は「フードマイレージ」「環境に与える影響」の2つを重視しています。
フードマイレージ
フードマイレージとは、食料の生産地から消費者の食卓に並ぶまでの輸送にかかった「重さ×距離」で表されるものです。
フードマイレージの大きい食料は、輸送や輸送までの保管などに石油などのたくさんのエネルギーが使われており、多くの二酸化炭素や窒素酸化物が排出されていることになります。
つまり、国産原料を使用している食品を選ぶことで、環境負荷の低減に貢献できると言えます。
環境に与える影響
遺伝子組み換え技術の代表的な性質に「特定の除草剤で枯れない」というものがあります。特定の除草剤で枯れない遺伝子を組み込んだ大豆の種子と、その除草剤をセットで使用し栽培することで効果を発揮します。
この、除草剤への耐性が強い遺伝子を組み込んだ作物の花粉などが、何らかの形で雑草に組み込まれる可能性が示唆されています。農林水産省は、この可能性は極めて低いと発表しているものの、実験方法に問題があると指摘する研究者もいます。
②豆腐を固める添加物
食品衛生法で指定されている豆腐の凝固剤は次の5種類。
・塩化マグネシウム
・塩化カルシウム
・硫酸カルシウム
・グルコノデルタラクトン
・硫酸マグネシウム(ほぼ使用されていない)
にがりはこの中の「塩化マグネシウム」にあたり、次の2種類に分類されます。表示上はどちらも「にがり」として記載することができます。
・天然海水にがり
→海水から塩を除いたもの
・粗製海水塩化マグネシウム
→天然海水にがりから、さらに余分な成分
(塩化ナトリウムや塩化カリウムなど)を除去したもの
その他の凝固剤も、簡単に特徴と用途を紹介します。
・塩化カルシウム
特徴:水に溶けやすい、凝固力が強い、凝固の速度が速い
用途:油揚げや凍り豆腐用の豆腐
・硫酸カルシウム(澄まし粉)
特徴:水に溶けにくい、凝固の速度が遅い、保水力が高い
用途:舌ざわりのよい滑らかで弾力のある豆腐にしたいとき
・グルコノデルタラクトン
特徴:水に溶けやすい、凝固の速度が遅い、保水力が高い
用途:絹ごし豆腐の製造、機械による製造
それぞれ強みがあるので、他の凝固剤が悪いというわけではないのですが、元来の豆腐の製造に使われていたという点、大豆の旨味を引き出す効果があるという点から、私は「塩化マグネシウム(にがり)」を選ぶようにしています。
③その他の添加物
凝固剤の他に豆腐によく使用される添加物に「消泡剤」があります。
消泡剤とは、豆腐の製造工程で砕いた大豆を加熱する際に生じる泡を消すために使用されるもの。泡があると食感のよいきれいな豆腐に仕上がらず、日持ちも悪くなります。食品衛生法では、加工中に消滅または最終食品に残っていても微量な「加工助剤」として扱われています。
最終的に完成する製品にはほぼ含まれないため、大きな影響はないと認識されているということです。また、工業的にきれいな豆腐をたくさん作れるため、安価で美味しい豆腐を製造できたり、賞味期限がより長い豆腐を作れるようになったのはこの消泡剤のおかげということができます。
ただ、従来の豆腐の製法には使用されないものですし、消泡剤が含まれない豆腐でも比較的安価に購入できる商品も多くあるので、私は消泡剤を使用していない豆腐を選ぶようにしています。
まとめ
物事には全て良い面と悪い面があります。
今回は私の「豆腐」を選ぶ基準をお伝えしましたが、これが必ず正しいと考えているわけではありません。
普段食べている食材について正しい情報を知り、自分自身の価値とすり合わせ、個々人が判断基準を持つことが大切なのだと思います。
これからも、食についての正しい知識をお伝えしていきたいと思っていますので、ぜひ「スキ」と「フォロー」をしていただけましたら幸いです。
豆腐のアレンジレシピいろいろ
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?