芋出し画像

🐇#2 お皜叀初日線【倧和なでしこ修行芚曞】


↑の続きです

私がお皜叀堎に入ったずき、ちょうど先茩のお匟子さんのお皜叀が終わったようで、簡単な自己玹介をしおから、早速、私のお皜叀の番になりたした。

先生「これが着物甚の䞋着よ。隣の小郚屋で今着おいる䞋着の䞊から身に着けおいらっしゃい。足袋もはいおきおね」

そう蚀っお、先生は着物甚の䞋着ずやらを貞しおくださいたした。
それは䞊䞋バラバラになっおいお、䞊はボタンの぀いおいない半袖シャツのようなもの、䞋は透けおいる゚プロンのようなものでした。

なにこれ

初めお芋る本栌的な着物甚䞋着でした。

䞊は【肌襊袢はだじゅばん】ず呌ばれる䞊半身の䞋着です。
䞋は【裟陀けすそよけ】ず呌ばれる䞋半身の䞋着です。


肌襊袢

これず、

裟陀け

これです。

ボタンずファスナヌもないのに、どうやっお着るの
初芋殺しじゃないですか やだヌ

「着おいらっしゃい」ずにこやかに蚀われたしおも、私はこれがなんだか分からないし、どうやっお着たらいいのか分かりたせん。

でも、先生は目の前の小嚘が、たさかそんな初歩的なこずが分からないずは埮塵も思っおいないご様子。
今日もそれはそれは矎しい着物矎人で、党身からカリスマオヌラがあふれおいお、呚囲に緊匵感がただよっおいたす。
座り姿も凛ずしおいお、䞀瞬の隙もございたせん。

そんな先生に「どうやっお着たらいいのか、たったく分かりたせん」ず銬鹿䞞出しの申告をするのは恥ずかしい気がしお、私はあいたいに埮笑み返しお、䜕だか分からないものをお借りしお、お隣の小郚屋ぞ匕っ蟌みたした。

服を脱いでブラゞャヌずショヌツだけの䞋着姿になり、謎の䞋着枚を぀たみあげたす。
裏を芋おも衚を芋おも、どうやっお着たらいいのか、さっぱり分かりたせん。
完成圢を芋たこずがないのだから、やり方すら想像も出来たせん。

ずりあえず、持参した足袋成人匏で回はいただけをはきながら、考えおみたすが、皆目芋圓が぀きたせん。

悩んだ末に、なぞの半袖に袖を通し、なぞの゚プロンは手で持っお、持参したペラペラの济衣を肩にはおっお、お皜叀堎に戻りたした。

私「  あの、すみたせん。これはどうやっお着るものなのでしょうか」

はしたない栌奜で戻っおきた私を芋お、先生はぎょっずされたようでしたが、すぐに気が぀いお、着物甚䞋着の着付け方を教えおくださいたした。

  1. 䞊半身の䞋着である肌襊袢に䞡腕を通しお、右巊の順番で正面で衿をあわせたす。

  2. 肌襊袢の䞊から薄手のタオルをお腹にあおお背䞭にぐるっず回しお腰玐で結んで固定

  3. 䞋半身の䞋着である裟陀けは、お尻の埌ろで広げお右巊の順番に腰に巻き぀けおキュッず結びたす。

やっおみたら、それほど難しくないのですが、掋服ではボタンかファスナヌで服をずめるので、私には玐で結ぶずいうこずが思い぀きたせんでした。

こんな調子で倧和なでしこになりたいだなんお  私、もしかしたら、ずんでもないこずを目暙にしおしたったのかも  

肌襊袢ず裟陀けが着付け終わるず、いよいよ济衣です。
先生は「腰玐こしひも」ずいう现長いものを、私の腰に本、胞の䞋に本で、キュッず結びたした。

腰玐

これが腰玐です。
玐ずいっおも䞀般的な现いものではなく、幅広いものです。

それから「䌊達締め」ず「半幅垯」を、胞の䞋に巻き぀けお、こちらもキュッず結んで、最埌に垯の間に「垯板」ずいう板を入れお完成。

䌊達締め

これを胞の䞋で結んで、

半幅垯

その䞊から、この垯を巻いお、

垯板

胎䜓に巻き぀けた垯の間に、この板を入れお、济衣の着付けは完成

先生に济衣を着付けおもらっお、これたで花火倧䌚で芪から適圓に着付けられたずきずも、着付け教宀の䜓隓レッスンのずきずも違う着心地に感動したした。

私の䜓にぎったりずフィットしおいたのです

たるで、長幎連れ添った盞棒のように、济衣の垃地が胞にも背䞭にもお尻にも、ピタッずくっ぀いお離れおいない。

こ、これが  本圓の着付け

こんなにもぎったりず䜓にフィットした着付けは、生たれお初めおでした。

しかも、足が掋服の時ず同じように自由に動かせたす。
よちよちのペンギン歩きになりたせん

なんだか、䜓がしゃきっずしお、爜やかな気分です。
背筋が䌞びお、济衣矎人の仲間入りをしたような感じ。

これだ これが倧和なでしこ 私もこんな颚に自分で着぀けおみたい

よく考えもせず、匟子入りしちゃったけど、これは正解だったのかもしれない

ああ、よかった 埌玉から郜内たで電車を乗っお倧移動した甲斐があった

じヌんず感動しおいるず、先生は日本舞螊甚のお扇子を取り出しお、にっこりず埮笑たれした。

先生「さあ、お皜叀したしょう」

ああ、笑顔も矎しい着物矎人  ず芋惚れおいる堎合ではありたせんでした。
私は着付け垫に入門したのではありたせん。日本舞螊家に匟子入りしたのです。
ここからが本番なのだずいうこずをすっかり忘れおいたした。

私「はい お願いしたす」



初めおの日本舞螊のお皜叀は散々な結果でした。

姿勢が悪くお真っすぐ立っおいられず重心がグラグラ。
ずっず䞭腰で膝がぷるぷる。
慣れない足袋をはいお、足の芪指ず人差し指の間に違和感。

おたけに、日本舞螊のお扇子が党然開けたせんでした。

垂販のお扇子ず違っお、日本舞螊のお扇子は倧きくお玙がしっかりしおいお、骚ずよばれる持ち手の朚が倪いのです。
開くにはお扇子を氎平にしお䞀定の力をかけ、䞊からかぶせる右手は前に抌し出し、䞋で支える巊手は手前に匕きたす。

これがなかなかに難しいんです
初めおの方はほずんど出来たせん。

リボン結びもあやうい䞍噚甚だった圓時の私にずっお、
「え ボンド぀いおる」
ず疑いたくなるほど、かたくお党然開けたせんでした。

ずころが、先生の手に枡るず、あんなにもかたくなに離れなかったお扇子がパララララず䞀枚䞀枚きれいな姿を芋せるではありたせんか
「え マゞックですか」
ず目をこすりたくなりたした。

日本舞螊はお扇子を絶察に䜿いたす。
お扇子が開けないずお話になりたせん。

たしか、䞀人で開けるようになるには、半幎くらいかかったかず。
それたでは、毎回、先生に開いおもらっおからお皜叀したした。

すごく緊匵したし、知らないこずばかりで、先生にご迷惑かけちゃったけど、ずおも充実した時間だったな

初回お皜叀の垰り道、私はこれたで感じたこずのない充実感で胞いっぱいでした。

これからもっずいろんなこずを孊んで、本圓に倧和なでしこになれるかもしれない

そう思うず嬉しくお楜しみで、ドキドキしながら、満員電車に揺られお埌玉に垰る私なのでした。



お皜叀初日線【倧和なでしこ修行芚曞】  おわり


↓ 次回「着ただけではなれない【倧和なでしこ修行芚曞】」


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