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8月に読んだ本の感想をゆるりと。

現在9月の半ば。「読書の秋」などといいますけれども、もはや失われつつある、秋……。わたしは「読書の秋やから☆」と本を買う口実として秋を乱用してはいるが、そもそも年がら年中、読書をしているわけで、もうよく分からんことになっています。

今年の8月は猛暑によりお出かけ控えめになったので、たくさん読書ができました!

読んだ本9冊を、ゆるりと紹介していきます。

時をかけるゆとり(朝井リョウ)

朝晩は少し涼しくなってきた9月。過ごしやすくなってくると、夏の暑さを身体が忘れつつあるのだが、今年の夏はすごかったですね。夏好きのわたしでも、さすがにこたえた。バイトはずっと自転車通勤を貫いてきたけれども、身のキケンをひしひしと感じてバスに切り替え。

すわったまま職場近くまで着くのはバス最高☆なのだが、微妙な待ち時間が発生する。ちょっと早く着いちゃったなァ……というとき、炎天下をしのぐために逃げ込んだ書店で、手に取ったのがこの本である。

朝井リョウさんのエッセイがおもしろいとは聞いていたが、ここまでだったとは……小説のイメージとはかけ離れすぎている。いろいろはちゃめちゃすぎておもしろすぎる……!尊敬……。ここからわたしの、朝井リョウエッセイ買い集め月間がスタートしました。

まる子だった(さくらももこ)

買う頻度は減ってきたとはいえ、すきな特集だとつい手が伸びてしまう、雑誌。

アンドプレミアムをパラパラと読んでいたところ(まる子の表情がたまらんね)朝井リョウさん登場。本棚を背景に、とてもすてきな写真&文章で紹介されていたのだが、エッセイに書かれていたあれやこれやのエピソードを重ね合わせて勝手に「ふふっ」とまた笑ってしまった。思い出し笑いまで司られてしもた……リョウさんすごい。

読むと、リョウさんはさくらももこさんのエッセイがだいすきなのだそう。なるほど!!!腹落ち!!!お二方の書くエッセイには「くだらないことを、おもしろおかしく読者に届ける」という共通のスタンスを感じられる。

そんなこんなで「まる子だった」を再読。著者の幼かったころを振り返る、学校や家族とのエピソード満載のエッセイだ。自分の愛読書をおなじく愛読しているひとが書く文章もすき、という、うれしい循環に気付けた月だった。くだらないことを真剣におもしろがる姿勢は、これらの爆笑エッセイから学んでいる。

風と共にゆとりぬ(朝井リョウ)

そしてまた朝井リョウさんのエッセイ。こちらは2作目です。1作目で「なんなんだこのひとは!」と爆笑した勢いそのまま、なんなら余韻でちょっとニヤけたままページを手繰っておりました。

朝井リョウさんのエッセイは3部構成になっていて、これもさくらももこさんのエッセイ3部作「もものかんづめ」「さるのこしかけ」「たいのおかしら」に倣ったものなのだそう。(ぜんぶ何度も読み返してるけど、毎度ずっとおもしろいよ)

2作目のあたまは、1作目に書かれていたエピソードの「その後」からはじまる。わたしは間髪入れずに2作目を読み始めたので「あぁ……あれね(・∀・)ニヤニヤ」とスムーズに没入することができたのだが、正直1作目のパンチ力を超えてくるとは思っておらず……あー、笑った。

書きたい生活(僕のマリ)

7月にはじめて著書を読んで「よくぞ書いてくださった!」と、勝手に同志を見つけたような、心強さを感じさせてくれた僕のマリさん。前作は喫茶店で働く傍ら書かれたお仕事エッセイということで、コーヒー屋でバイトしているわたしにとって「分かりみが深い」とはこのこと、だった。

8月に読んだ「書きたい生活」には、本を出版し喫茶店を卒業した著者の日々が、日記も挿入されつつ描かれている。本屋に平置きされている光景の感動や、同僚と重版をよろこび合う貴さが、こちらにもひしひしと伝わる。読み始めは「喫茶店辞めっちゃったのか……」と少しさみしい気持ちで読んだ。自分の同僚が辞めっちゃったかのような、さみしさ。けれども後半は、パートナーとの暮らしや書くことの楽しさが溢れていて、「元気に暮らしているようでよかったよ……」と思う。距離感がバグ。今後も読み続けたい作家さんのひとりだ。

さるのこしかけ(さくらももこ)

8月の読書はエッセイ多め!そして朝井リョウさんとさくらももこさんの比重がえらいことになってしまった。バイトがわりとハードだったので、空き時間の読書は「頼むからわたしを笑かしてくれ!!!」という欲求が大きかったのかもしれない。

こちらはさきほど紹介した、さくらももこさんのエッセイ3部作のうちの、2作目。「ひとの病気で笑う」なんて、不謹慎極まりないなと頭の片隅で思いつつも、ここまでおもしろく書かれていたら完敗である。痛いとか病院がこわいとか、人生におけるネガティブな要素も、光ってみえる。

もういつ買ったかも覚えていないほど、わが家にずっとあるこちらの文庫本。さすがにボロボロすぎて崩壊してきた。

カバンに入れる頻度を物語っている
パックリ割れてしもた……

きみのお金は誰のため(田内学)

お金のお勉強。著者の田内学さんは、元ゴールドマン・サックスの金利トレーダーという経歴の持ち主。現在は「社会的金融教育家」として活動されているのだそう。

こちらは、お金の本質的な教養が学べる本。ビジネス書のようでいて、中身は小説になっているので、すごく読みやすい。お金の勉強はそれなりにしてきたつもりだったのだが、例えばスマホ代の節約や積み立て投資より前に、こゆうことを知っておくの大事よな~!と感じた。しくみの理解や、基礎、大事。「もっとはやく知りたかった!」という文言は、みなさんビジネス書の帯で見飽きていると思うのだが、素直にもっとはやく知りたかったと思う。だってだれも教えてくれないんだもの。

悔やんでもしょうがない、おとなこそ勉強大事!と、ギアを入れてくれた1冊。

教養としてのコーヒー(井崎英典)

コーヒーのお勉強。働いていると「じ、実務に追われている……」と感じることも多くあるので、ひさしぶりに本からインプットしてみようという作戦。自分の仕事を俯瞰してみるのも大切だ。

バリスタ世界チャンピオンの井崎英典さん。これまでもコーヒービギナー向けの本や淹れ方に特化した著書などを何冊か読んできて、それらは本棚の目立つ場所に並べている。コーヒーがすきなんですもの。

今回読んだ本は、コーヒーをあらゆる角度から学べる1冊。歴史、政治、経済など、広いジャンルで学ぶことができる。そして知れば知るほど奥が深く、さらに興味がわく。特に日本ならではのコーヒー文化がおもしろかった。

わたしはこの本を読んだ直後、マクドナルドに行った。(バーガーを食べたかったのもあるが)著者が監修されたマクドナルドのコーヒーを飲むためだ。こんなにおいしかったっけ。これまでに何度も飲んだことがあるハズなのだが、「こうゆうことを意図して味が開発されている」と知ることでじっくり味わうことができたし、さすが納得感のある1杯だった。いままで何気なく飲んでいてごめんなさい。日本はコンビニでもクオリティの高いコーヒーが買えて、これが世界的にもズバ抜けて恵まれた環境なのだと、気付くことができた。

ハリー・ポッターと死の秘宝/上下(J.K.ローリング)

ハリー・ポッターの最終巻。1年半ほど前、だいすきなハリー・ポッターを読み返していたのだが、6巻まで読んでパタリととまってしまった。おわるのがさみしいのと、7巻はかなりダークな記憶があったので、腰が引けていたのだ。夫と「今日はいちにち、お部屋で過ごそう⭐︎」というコンセプトの休日があり、思い切って読むことにした。読み始めると、家事がまぁおろそかになりますよね。夢中になった。

この巻は、命がけの謎解きだ。裏切り、仲違い、頻発する不吉な予兆。もはやハラハラドキドキの冒険物語、ではない。身を隠しながら放浪生活を送るハリーは、いつ何時も油断できず、なかまとの再会時は合言葉で正体を確かめ、限られた手がかりをもとに“死の秘宝”の謎にせまる。もう、ずっと話が薄暗い。明るいニュースがない。怪我が絶えない。ひりひりするシーンばかりだ。けれどもさいごまで読むと、「あのときのアレは、そーゆうことだったんだよなぁ…………」と、ひとりで長い回想タイムになった。

ハリー・ポッターは2日間あれば1冊読める。小学生のころから、読むペースが変わっていなくてちょっとおもしろかった。

以上9冊、ありがとうございました!
また来月に!

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