情熱を注いだ曲

　先日坂本龍一さんが亡くなったニュースを見てわたしは高校時代を思い出していた。energy flow、わたしが唯一情熱を注いだ一曲だ。
　高校時代何かに取り憑かれたように、家で練習し始め、いつの間にか学校の音楽室でも弾き続けついに弾けるようになった。ソルフェージュもろくにできないわたしが耳コピで、楽譜にはカタカナで音程を書き、オクターブにギリギリ届く手の小ささで何とか弾けていたのはただこの曲が弾きたいという思いだった。
　元々小学1年生からピアノを習っていたが、始めると課題ばかりですぐ嫌気がさし、サボっていた。
　後に気づいたのがピアノは好きだけど、極めたいわけではなかったということ。そしてピアノをただ弾きたかっただけだったということ。
　それに気づいた大切な曲。特別坂本さんのファンではなく、きっとこの曲のファンであるわたしは、これから先ピアノが弾ける環境が巡ってきたら、ブランクなど気にせずまた弾こうとするだろう。