魔法は軽やかに。
今年のハロウィンは、白浜鴎『とんがり帽子のアトリエ』から、主人公のココちゃんの衣装を作って娘に着せてみた。とんがり〜のファンタジックかつ繊細な世界観に魅了されて、娘も一緒に読んでるけど主に自分の趣味として作りたい!って思ったのだ。型紙とか何もないなかで、漫画のカバー絵を見ながら手探りで縫っていったんだけど、完成したら娘にすごくよく似合って、満足満足。
ここ最近、坂口恭平『土になる』を読んでいて、そこで坂口さんが「なんでも作りたくなったら、ためらいなくぱっと作っちゃう。下手でも完璧じゃなくても良いからとにかく手を動かして作ってみることが大事で、一度全体を通して体験すれば、次からうまくなる」(だいぶ意訳)と言ってて、坂口さんも、しつけとかせず一気にミシンかけちゃうタイプらしいのだけど、そのスタンスが今の私にはぴったりしっくりきている。
振り返ると私は幼少の頃からの完璧主義の傾向があって、今思うと笑ってしまうけど、幼稚園で、ティッシュの箱に色紙を貼ってお母さんにプレゼントするという工作の時間で、自分が想像する作りたいものの理想のイメージと、目の前の作りかけの作品のダメさとのギャップに絶望し、いつまでも椅子に座ったまま先生達を困らせる、そんなことがあった。
その後もわりと、悲しい時よりも悔しい時に涙が出てしまう性格だったが、それが子どもを産んでから、完璧主義者じゃいられなくなって、完璧じゃない状態にどんどん慣れてきた。そうすると、かえってもっと身軽に色々やりたいことをやっていいんじゃんと思えるようになってきて、それが今の私。
うまくいかなくても、全然構わない。やってみたほうが楽しいでしょって、下糸を絡ませながらミシンと格闘する私を見て心配してる娘に話す。
そんな風に、完璧主義者の鎧が剥がれ落ちると、ほんと身軽になって心も軽くなる。すごくよい状態なんだけど、とはいえミシンのような集中力がいる仕事はやっぱり頑張れば頑張るほど副作用もきつくて、平日の残業三昧と週末のミシン作業とで一気に体調崩壊したのがハロウィン真っ只中の今なので、このあたりが、完璧主義者をやめたノープラン人間ならではの読みの甘さだよなぁと思ったりもしている。
でも結果、作品の世界を作る楽しみも含めて味わえたのだから、やっぱり身軽にやってみるのはよい。
後ろ姿はこんな感じ。
魔法のインクの匂いに惹かれてやってくるフデムシは、あったかいマフラーになって、これは娘と息子とお揃いで作ってあげて、2人とも大喜び。やっぱり作るって楽しいなぁ。
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