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安全神話が崩れる時


オンリンピック関連のニュース記事をきっかけに、ドイツ出身で日本在住のマライ・メントラインさんを知りました。彼女の出した東京オリンピックを振り返る記事は素晴らしく的確に感じ、興味を持ちました。


「海老蔵さんの衣装の重さとか…知らんし(笑)」ドイツ公共放送で開会式を解説したマライさんが嘆く「無」のオリンピック https://bunshun.jp/articles/-/48087



東京オリンピックに関しては時折インターネットの動画などを通じて動向を追いながら、日々更新される日本人による日本語のオフィシャルな(通信社・報道各局による)前向きな記事と自分が動画配信などで見た時の感想の大きなギャップに何とも言えない違和感を感じていたところだったので、彼女のスッキリとした言葉に一瞬にしてモヤが晴れたように思いました。誰かと同じ意見だったからと言って安心してしまうのはあまりにも安直ですが、それでも私が感じていた違和感は、私だけが感じていたわけではなかったようで、思わずホッとしてしまったのです。

マライさんはどうやら日本のテレビ番組出演などでも活躍されている方のようなのですが、テレビが無い我が家ゆえ、この記事を読むまで彼女の存在を知りませんでした。
かといってテレビを買うかと言えば、絶対に買わないのですが(買うメリットよりも家にテレビを置いておくデメリットの方が数千倍大きいと感じてしまうのです)、日本人の多くに知られているようである「職業ドイツ人」と語る彼女の著書を発見しました。

『本音で対論!いまどきの「ドイツ」と「日本」』(PHP研究所)


この本はジャーナリストの池上彰さん、同じくジャーナリストの増田ユリヤさん、そして職業ドイツ人のマライ・メントラインさんによる3人の対論形式で書かれています。
日本、ドイツそして各国を取材してきた経験のあるジャーナリストのお二人によるお話が具体的に飛び交いながら、それぞれの良い点、イマイチな点が列挙されていきます。

昨年2020年の1月頃より始まり、コロナウイルスという世界的パンデミックを通じて明らかになったのは、各国の方針や対応、リーダーシップを発揮したトップがどの国にいて、国民が信頼できると思えたトップはどの国にいたのかという、現時点での試験結果発表のような結末でした。何の手続きもなく速やかに給付金が口座に振り込まれた国、恐るべきスピードでワクチン接種がほぼ完了しそうだった国や、フリーランスや職人などの大手会社組織に属さない人々にまで速やかに手厚い保護を打ち出した国、瞬く間にロックダウンした国など、それぞれ対応は様々でした。その初動において我が国が何をしてくれたかといえば、一世帯につき布の小さなマスク2枚を配ることでしたね。しかもそのマスクの配布も遅れに遅れた上に最初に届いたものは黒いカビだらけのマスクで使用ができないものばかりでした。日本には「喉元過ぎれば熱さを忘れる」という諺がありますが、この事実は決して忘れてはいけないことのように思い、戒めのためにアベノマスクは捨てずに保管してあります。ノーモア先送り。リメンバーアベノマスク。

ここで言いたいのは過ぎたことに対する文句ではなく、これから先の未来を私たち日本人はどう生き残っていけばいいのかという話です。戦後の高度経済成長とともに様々な技術や都市整備を行なってきた日本ではありますが、果たして2021年現在は本当に先進国と言えるのでしょうか。一昔前までは日本は物価が高くて遊びに行くのも住むのも大変と諸外国から言われていたのに、実は今や日本は激安の国となっていることに気が付かれ始めています。オリンピックで一般の旅行客が日本に来られないようになっていたので激安日本が知れ渡る加速度は少し緩やかになったかもしれませんが、瞬く間に情報が拡散される昨今、もはや時間の問題かもしれません。安い賃金でせっせと真面目に働く日本人たち。文句も言わずに我慢強く争いを避ける事なかれ主義の民族。その先には一体何が待っているのでしょうか。

現在既に年金を受給し始めている世代はもしかしたら逃げ切れるかもしれませんが、その次の世代以降はおそらく経済大国日本というファンタジーが崩れる真っ只中に放り込まれることでしょう。ならば、自分はその時どうしなければいけないのか。
ここ数日のニュースでアフガニスタンの様子を見聞きした方も多いと思います。彼ら(特に彼女ら)は生き残るために必死で祖国を捨てて逃げています。アフガニスタンで生まれ自分の国が好きなのに、逃げなければ命がないかもしれないという現実に直面した瞬間、それは一体どれほど恐ろしい経験でしょうか。
ここまで具体的かつわかりやすく何かが起こるならば、即座に生き残るための行動を取る人がほどんどかとは思いますが、真綿で首を絞めるようにじわじわとその変化が忍び寄ってきていた場合、逃げ遅れてしまう可能性があります。
そろそろ、世界的目線で見た先進国というのは2021年現在どの国を指しているのかを冷静に判断し、自らの生き残る道を先手を打って決めていかなければならない時かもしれません。

そのための勉強としてぴったりだと感じたのが今回読んだ本と、
次に読もうとしているビル・ゲイツの『地球の未来のため僕が決断したこと』(早川書房)です。

それらもろもろ読み終えて消化して、また書くべきことが溜まったら、ここに書き散らしていくと思います。

とりあえず、国民健康保険料は日本はとっても高くて、医療はとっても遅れているらしいという情報が手元に集まりつつある昨今、老後はどうしたものかと考えあぐねています。

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