別れたけど、彼と一緒にいたい。―Interview #01 なっちゃんの恋愛

「同棲している彼との、将来が見えない」
「別れたけれど、やっぱり好き……」

好きだけど、好きだけじゃ続かなくなる。
ほんと、恋愛ってむずかしい。

大好きな彼と別れ、それでも前を向いて進もうとする。なっちゃんも、そんな20代女子のひとり。彼への気持ちと、今後めざしたい関係を話してくれました。

取材させてくれてありがとう。まっすぐな言葉に、きっと気持ちを後押しされるはず。

(Interview : 2020/05/29)

*PROFILE*
愛称なっちゃん。28歳OL。新卒で美容専門商社に入社したのち、転職して広告会社の事務職に。現在、Webデザインを勉強中。負けず嫌いで頑張り屋さん。ももクロの百田夏菜子に似てる。2年半付き合った水野くん(仮名)と別れたけれど、まだ好き。悩みながら、水野くんとの関係を模索中。


今夜、2か月ぶりに会う!

―最近、水野くんとはどう?

きのう金曜日、連絡取りたくてうずうずしちゃって。友達から「連絡せずに様子見よう」って言われてたし、わたしも「今までの自分と同じって思われたくないしなあ」と思って連絡を我慢していたの。

でも、さっき連絡がきて…! !

別れてから絶対向こうから連絡してこないし、わたしを誘うなんて絶対ありえないと思っていたのに。内心「え~なになになに」って思いながら「家でごろごろしてるよ~」とか送って(笑)「今日仕事で会社に来てるんだけど、夜ご飯とかどう?」って言われたから、「行くー!!♡」って返事して、行くことになった。今日夜!!


―わあ! ドキドキ。

ほんと会うの久しぶり。2か月ぶりくらいかなあ。最近一番テンション上がった(笑)
でも慎重にならないとね。わたし、こうしなきゃよかったなあって思うことがすごくある。「好きなもんは好きなんで!」っていうタイプだから、攻めすぎちゃって。駆け引きがほんとに苦手。
もう失敗できないっていうか……戻りたいから。好きな人と一緒になりたいから、そのゴールに向けて慎重にいってるところ。


高校生のときよりも「大事にされてる」って思った

―水野くんとの出会いを教えて。

水野くんは高校の同級生で、高2のときに半年付き合ってた人。初めは、水野くんの先輩のことが好きだったの。バンドマンでかっこよくて。先輩には、2回告白をして2回とも振られた。

あきらめていたときに、別の男友達から「水野くんが、なっちゃんのこと学年でいちばんかわいいって言ってたよ」って聞いたの。わたしも高校生だから意識しちゃって、なんかいいかもって思い始めた。

水野くん自身は、好きじゃなくてかわいいって思っていただけみたいだけど、わたしが攻め始めて、告白した(笑)「ほんとに好きなの? 俺のこと?」と意外そうだった。

彼は冗談ばかりいう人だったな。ほぼ冗談だから、何が真実で何が嘘かもわからない。わたしもまだ子どもだったし、彼も伝え下手だったんだと思う。そういう想いのすれちがいがあって、わたしもほかに好きな人ができちゃって、別れたの。


―再会したのはいつ?

3~4年前。東京で友達と飲んでいたときに、福岡に出張があるという話をしたら、「水野くん、福岡でいま仕事してるよ」って教えてくれたの。

「いや~今さら話すことないじゃん」
「え、今だからこそ話せることもあるかもよ」
「じゃあ、LINEで水野くんの名前があったらにする」

そう話してLINEを見たら、あった。大学はメールだったから無いだろうと思っていたけど、たまたま同窓会か何かのグループで追加されたみたい。「ご飯でもどう?」とわたしから連絡をして、久しぶりに再会したのがきっかけ。


―久しぶりに会った水野くんは、どうだった?

友達感覚でご飯に行ったから、まさか付き合うとは思っていなかった。でも、久しぶりに会ったら、高校生のときよりも会話が弾んですごく楽しくて。お互いに大人になって、人のことを楽しませるっていう能力が身についたのかな(笑)高校生のときは、何話していいかわからない…っていうときもあったから。

帰り際に水野くんが言ってくれたの。「俺も東京ぜったい行くから。最初は遠距離になるけど、もう一回付き合おう」って。お互いにしっくりくるものがあって、お付き合いを始めました。

彼はあまり人を好きにならないタイプ。大学のときから5年くらい彼女がいなかったと聞いてたから、そういう人が、久しぶりに会った日に付き合ってくれるのはすごいことだなって運命を感じちゃった。


―水野くんのどういうところが魅力的?

好きな人を第一に考えてくれる。すごい大事にしてくれる。その気持ちが伝わるくらい、言葉にしてくれるし、態度でも示してくれる。高校生のときは愛情表現も照れくさくてできなかったのかもしれない。初めて、彼氏といてこんなに楽しいんだって思った。

わたし、友達と彼氏って別だと思ってたの。”彼氏” は、好きだから一緒にいたいけど楽しいわけじゃないって。でも、水野くんは一緒にいて本当に楽しくて……今までそんな風に付き合えた人はいなかったな。


―「大事にされてる」と感じたエピソードは?

博多と東京の遠距離恋愛だから、会えるのは多くて月に1回。1か月半会えないこともざらにあった。でも、向こうが毎回会いに来てくれたし、週に2回くらいは3時間くらい電話もしていた。彼女として見てくれている、彼の中で大事なポジションにいる、って感じさせてくれた。

それに、付き合ってから2か月くらい、男女の関係にならなかったの。
わたし、大人だしそういうこともあるかもしれないって、準備してたのよ、気持ちの。でも、夜に一緒にいても、気づけば寝てることばかりで(笑)
そんなとき、友達とブライダルチェックの話をしたから、彼と電話したときに話題に出してみたの。水野くんが「え…え、なんで?! いや、言わないでおこうと思ってたんだけど、実は、おととい自分の検査してきたんだよね」って言うから、すごくびっくりした。
「なっちゃんと付き合って、そういうこともあるだろうし…。会わない期間にほかの女の子とも付き合ったこともあるから、俺が原因でなっちゃんに何かあったらだめだと思って」
本当にびっくりしたし、うれしかった。すごく大事にされてるなって思った。


悩みは言わない彼

―今まで、水野くんのようなタイプの人はいた?

…いないなあ。ほんとに何考えているかわからない人。芯がしっかりしていて、仲のよい友達にさえ、自分が悩んでいることを相談しない。ちょっと考えれば課題をこう解決できるってわかるじゃん、だったらそれをするしかないって言うような。


―水野くんと一緒にいて、つらかったことは?

いちばんつらかったのは、何に悩んでいるかわからなかったこと。
遠距離恋愛を1年半した後、彼が転勤で東京に戻ってくることになって、同棲を始めたの。3か月くらい経ったころ、水野くんの様子がおかしいなと思ったんだけど、原因がわからなくて。何に悩んでいるのかぜったいに言わない人だから、理由を教えてくれなかった。

そのころ転勤して部署異動もあり、仕事が大変だったみたい。でも、当時のわたしは、同棲し始めて3か月だし、わたしが原因なのかなってすごく悩んだ。どうしていいかわからない状態が続いたときは苦しかった。

水野くんの悩みの理由を聞いて、楽にさせてあげたかったけど、かといってわたしに話したところで何かが生まれるわけでもなかったのかな。解決してあげたいと思いつつも、今考えれば自分が安心したかっただけなのかもしれない。


―なっちゃんは、不安になることはあった?

2年半付き合ったけれど、わたしはすごく自信があった。水野くんはわたしのことだけを見てくれてるって。ぜったい浮気しないって思っていたし、何も不安がなかった。わたしにとっては、会えなくてつらかった遠距離も、楽しかった思い出。

でも、水野くんはつらかったみたい。何回も別れようって思ったけど、好きだから別れられないって彼は思っていた。それを、別れるときに知ったの。

わたしは、彼氏と男友達は別だと思うタイプで、大学のころから男友達も多かったから、女友達と会うのと同じ感覚で飲みに行っていたこともあった。でも、その価値観のちがいが彼を苦しめていたみたい。細かいことの積み重ねが、ちょっとちがう、苦しい、って。


―なっちゃんのことが好きだから、信じたい、好きなようにさせてあげたいと思いつつも、理解できない部分もあったのかな。

うん。それに、制限したくないと思っていたみたい。わたしがわたしでなくなるとか、人生を制限しちゃうって。

男友達との付き合い方は、同棲するにあたって話し合った。わたしは「気づかなくてごめん、わたしは水野くんと一緒にいたいから、これからはまったくしない」と言って、本当に(男友達と会うことを)しなくなったのね。

そうしたら、愛情やすべての意識が水野くんに向かって「好き好き好き!!」状態に。一方で、水野くんはわたしとの関係に慣れ始めたころで、家族みたいに甘え出していた。
そこから関係が崩れてしまったのかな。


同棲のゴールが見えなくて

―別れは水野くんから切り出されたの?

はっぱかけたのはわたし。結婚の話をしたの。

結婚をすぐしたいわけじゃなかったけれど、同棲の先にあるゴールが見えなかった。お互いの関係に慣れてきて、「いつか好きじゃなくなるんじゃないか」って漠然とした不安があったの。わたしに対する態度が変わったな、と彼からそういう雰囲気を少しずつ感じていたし。

本気度を見せたほうがいいよ、って友達にも言われていた。「もう結婚しないんだったら付き合っていても意味がないから、一緒にいないほうがいいんじゃない?」ってちょっとはっぱかけたほうがいいよ、彼も「あ、やばい」って思うから、そこで考え始めるんじゃない?って。

なるほどな、と思ってそれを実行した。
「わたしとの生活を考えてる? 結婚も考えてる?」って聞いてみたの。がんばって。

彼は「うーん……うん」って。
「ほんとに?ほんとなの?」と聞いたら、「でも、俺たちは一緒にいるべきじゃない」って言われた。

まさかそんなことを言われるとは思わなかった。結婚する気持ちはほんとにあるよ、って言ってくれると…そう思って、強気で聞いたのに。裏目に出ちゃって。

「ずっと考えてた。なっちゃんは、俺じゃない人と結婚したほうがぜったい幸せになれるよ。だってお金もないし、地元に戻ってあげられないし」って。

わたしは、地元に戻りたいと思う気持ちもあったけれど、彼と一緒にいられるならどこでもよかった。それなのに、彼は「地元に帰りたいんじゃない? 家族好きだし、帰ったほうが幸せになれるし。でもそれを俺はしてあげられない。結婚するなら転職しなきゃいけないって思っているけれど、正直いつになるかわからない。いつ、人の人生を背負えるようになれるかわからない」

「やだやだやだ」って言ったら、「もう好きじゃない。好きじゃないから一緒にいたくない。もう一緒に住めない」って言われた。


―なっちゃんはどう思った?

ぐずりまくって「別れるんだったら死ぬ!」って言ったら、めっちゃ怒られた。
水野くんは、明確な理由は言ってくれなかった。なんで別れようと思ったのか。「俺にもわからない。でも、今日じゃなくてもいずれはこうなってたから。もう決めたから」と言われた。

無理。生きていけない。って思った。

それが去年の9月。誕生日の一週間前だったの。9月に別れて10月の中旬に家を出たから、1か月半は一緒にいた。もう9か月くらい経つんだね。


わたしにとってのオンリーワンだから

―別れてからの距離の取り方って、むずかしいよね…

本当はすぐにでも連絡したかった。でも、期間を開けないとだめだし、何を言っても無駄だと思った。時間が必要だと思った。

でも、1月に連絡して、2月にまた連絡して、それからは毎週会ってる。途中から男女の関係にもなっちゃって、でもわたしは彼と一緒にいられるのがうれしかった。今のような状況(緊急事態宣言下)になってから会えなかったけど。


―水野くんを忘れるという選択肢もあったと思うけど、それでも水野くんに連絡したのはなぜ?

こんな付き合い方をしたのは、水野くんが初めてだったから。一緒にいて楽しくて、家族といるよりも幸せって感じたのは初めてだった。この人じゃないといやだって思ったし、彼のこともわたしが幸せにしてあげたいって思った。思い出も多すぎるし、その思い出も無駄にしたくない。どうしても彼じゃなきゃダメで。めちゃめちゃいい男ってわけじゃないの、でも、わたしにとってはオンリーワンだね(笑)

もしかしたら、結婚しても自分の思い通りにはいかないかも。わたしは結婚式を挙げたいけど、彼はそう思っていないし、地元に戻れないかもしれないし、戸建てには住めないかもしれない。

それでもいい。わたしは彼にポテンシャルを感じてるから。尊敬してる。どこで働いても、認められる日はぜったいくるって感じてる。


―好きだけど別れちゃって……っていう人は多いと思う。もしまわりに同じような状況の子がいたら、なんて言ってあげる?

うーん、むずかしい。「優先順位は何か」を考えるかな。結婚が大事なのか、それとも、そういうのを捨ててまで彼と一緒にいたいのか。
彼と一緒にいることが大事だというなら、わたしみたいに、時間はかかるけどもう少しチャレンジしてみるのもありだと思う。やってみてダメだったらしょうがないと思えるけれど、やらないまま次に行くのは難しいから。
結婚がしたいのなら、ほかの人を見つけたほうがいい。一緒にいて幸せになれる相手は、必ずいると思うから。
だから、どっちも正解だよね。


話し合って、新しい関係を築きたい

―水野くんを想うことを優先したなっちゃんは、どういう関係を築いていきたい?

「一度別れたら、もう二度と元の関係には戻れない」ってその通りだと思った(わたしのnoteより)。

もし元に戻ったとしても、関係性は変わる。
でも、そのときの二人の考えを尊重して、お互いに一番落ち着く場所になりたい。そのためにもっと彼を理解してあげる必要があるし、もっと話をしなきゃいけないなって思う。そういう関係性になれたらいいよね。


―自分のほうが想いが強いとき、このままでよいのか不安にならない?

うん。不安になる。すごく泣いたし悩んだ。自分でもどうすればいいのかわからなくて。
付き合っているときはいっしょにいて楽しかったし、向こうも楽しませてくれる。でも今は、彼にとってわたしは「楽しませる相手」ではないから、話が弾まなくなっちゃって。何を話せばいいのかわからない。わたしもあまり楽しくない。こんなに難しいことだっけ、って思うよ。

それでも、一番大事なのは、話し合うこと。コミュニケーションを取ること。

わたしが彼のためと思ってやってきたことも、彼にとってはちがったのかもしれないと思うの。
別れた当初は、どうしてわたしのことが好きじゃなくなったのか理由がわからなかった。でも、時間がたつにつれて、こういうことなんだろうなあと漠然と見えてきた。
過去にしちゃったことは消せないから、解決するのとはちがうかな。でも、これから話し合って、少しずつ二人の関係を変えていけたらって思う。


あとがき

「どうして取材を受けてくれたの?」という質問に、なっちゃんはこう答えてくれました。

わたしは、平凡でどこにでもいるような人だと思う。それを取材してくれるって言ってくれる人がいるのは、貴重だなと。平凡な生活、平凡な人を見て、何かを思ってくれる人がいるのかな? って少し興味があるし、言葉にしてもらうことで自分の生き方を見つめ直せたらと思う。すごいいい機会だなあって思うよ。

このnoteを読んでくださった方は、なっちゃんが平凡だなんて思わないのではないでしょうか。取材中、考えながら、悩みながら、言葉を紡ぐなっちゃんは、すごくまっすぐでキラキラしていました。

わたしは、なっちゃんが自分の心に向き合って、納得して、人生を歩んでいくのを、心から応援したい。だから、「共感した」「応援したい」と感じた方は、ぜひ、いいねやコメントをいただけるとうれしいです。すべて、なっちゃんに伝えます。

いつの日か、すてきなアフターストーリーを書けるといいな。


この記事が参加している募集

#スキしてみて

524,761件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?