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湯豆腐の謎

年中温暖な沖縄では、
「お風呂に入る」ということは
シャワーを浴びることを指す。
体を温めたい!という感覚が薄いので
湯船に浸かる習慣があまり無いのだ。

それと同様に、
鍋物を食べる機会も少ない。
うちの実家の場合だと
肉を楽しむために、すき焼きを食べるくらいだった。
だから、当時は「鍋」というイベントや
「鍋奉行」という単語に憧れていたくらいだ。

それから30年。
進学や結婚や転勤を経て、東北に住むことになったことで
憧れだった鍋文化は私の生活の中ですっかりレギュラー化した。
しかし、ひとつだけチャレンジしていない鍋があった。
それが湯豆腐。

豆腐だけでは、物足りないのでは?
どう考えてもご飯がすすまないだろう。
というのが、その理由だった。

ということで、周囲に聞いてみた。
「湯豆腐のとき、何か他のおかず用意してますか?」
なぜか誰もが口を濁し、ハッキリ教えてくれない。
ひとりだけ
「湯豆腐のときは、お肉を入れてしゃぶしゃぶにしています!」
と答えてくれた人はいたけれど
それは私の思い描く湯豆腐ではなく、
なんとなく、腑に落ちないままだった。

そんなある日。
ちょっと良いポン酢を手に入れたので
満を持して湯豆腐にトライしてみた。

土鍋の底に昆布をしいて、
白菜やねぎ、春菊やきのこと一緒に豆腐を煮る。
ネットの情報を参考に、少し重曹を加えたら、
豆腐は良い感じにトロトロになった。

そっとよそって、ポン酢をかけていただく。
私は驚いた。
昆布の旨みと野菜の甘みにポン酢の酸味が加わって、
めちゃくちゃおいしいではないか。

これなら野菜がたくさん食べられるし
豆腐もはかどる。
もう少し野菜を足そうか。
あ、豆腐はもう一丁いけるな。
豆乳入れてもいいかも。
夢中で食べていたら、
いつの間にかお腹がパンパンにはち切れそうに。

結果、ご飯や肉が無くても
食べ盛りをとっくに過ぎた40代にとっては
湯豆腐のみで満足感を得られるということがわかった。
他のおかずも特に必要ない。
育ち盛りのお子さんや食べ盛りの若者がいる場合は
それこそしゃぶしゃぶにすれば
家族全員が幸せになれる、ということだろうか。
いずれにせよ、楽しくて美味しいのが一番。
湯豆腐最高か。

ご参考までに。

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