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バーティカルSaaS カスタマーサクセスの活用期支援の歩み

こんにちは。ドクターメイト株式会社 カスタマーサクセスのMariko Okamotoです。

私は入社後オンボーディング、アダプション、OPSと目まぐるしく変遷し、昨年の12月にまたアダプションに帰ってきました。
前職ではtoCで一気通貫。オンボーディングのあとは活用支援が切れ目なく続いていました。
そして今回 #仕事について話そう と思い真っ先に浮かんできたのはこのテーマ。

具体的に、バーティカルSaaSにおける活用期で明確に勝ちパターンを見出しているところはあるのでしょうか。
いわゆる、アダプションの勝ちパターンというやつです。
山田ひさのりさんや藤島誓也さんなど、ノウハウを体系立ててカスタマーサクセスに編纂してくださる方がいて確実に教科書は増えてきています。

ただ、自社の勝ちパターンを見出して体系化するのはまた別軸で必要です。事業がスケールして更に人材が必要になったとき、体系だったものはメンバーの練度が多少異なっても同じ品質を保ってサービス提供するために重要だと考えています。

結論から申し上げると、弊社カスタマーサクセスの活用期支援において明確な勝ちパターンはまだ未完成です。
というか、正確に言えば「勝ちパターンを見出している人もいるがあくまで個人依存であり、体系立てて誰かに伝えたり、ナレッジにできるほど蓄積されているわけではない」です。

体系化こそされていませんが、弊社アダプション今まであったことや手にしたことは少しばかりまとめてみましたので、よかったら読んでください。
このnoteの目標はこれがもっと体系化できるくらいシナジーが生まれることです。


アダプション「とは」をざっくり

アダプションとはなにか

アダプションとは何かを先に定義しておきましょう。
アダプションは「活用支援」と位置づけられます。導入期(オンボーディング)が終わったあと、顧客の課題解決のために自社のサービスを用いつつ伴走する役割です。
ドクターメイトではだいたい3〜4ヶ月目以降をアダプションが支援しています。

アダプションがなぜ必要か

これも教科書的な話にはなりますが、活用期は読んで字のごとく、活用していただくことで本質的な課題解決に近づける・手前の課題の解決実感を持ってもらい満足度を上げる時期です。
サービスを使いこなしていただき、リテンションを維持する動き、顧客の満足度を上げる(エンゲージメントを高める)動きが必要になってきます。
詳しい記事はこちら

オンボーディング・アダプションで担当を分けるべきか否か

ドクターメイトでは分けています。が、個人的な意見として、メリデメによって分かれていなくてもいいのではないかと思っています。
例えば担当を分けないことには以下のようなメリットがあります。

  • 明確な信頼関係を築く(イメージ三河屋のサブちゃん)

  • 引き継ぎコストを削る

人・時間・場所の変化を人は節目と認識しやすいです。オンボーディング、アダプションで分けることは節目になりやすく、気持ちも新たに利用を進めよう・〇〇の課題を解決したいという心境の変化を招くことである意味チャンスにもなります。ただ、変化は正直良し悪しで、必ずしもいい変化を招くかというと時と場合によります。人は相性もあり、合わない場合もあるでしょう。
そして引き継ぎが顧客に対して何か明確なメリットを生むとき以外の場合、双方に負担しかないと考えています。実際ドクターメイトでも引き継ぎはルール変更が何度か発生しており、そのたびに「どっちだっけ?」という混乱は起こりました。

バーティカルSaaSのアダプションが難しい!

どうして難しいのか

問題は大きく分けて3つにしぼりました。

・期間の区切りをどこで作るのか問題
目標設定のセオリー上、ライトサクセスとディープサクセスでスパンの区切りは作りたいところです。
これは3ヶ月と1年、1年と2年、6ヶ月と1年などいろいろな意見はありますが、顧客の解決したい課題とプロダクトの利用の噛み合わせ、顧客を取り巻く状況にもよるところがあり、明確な定義は現状決めきれていません。
あとにも書きますが、変動要素が洗い出しきれないのも理由です。

・自社に最適化されたKPIは何か問題
お作法でいえば解約率、利用率ですが、自社・バーティカルSaaSの場合必ずしも当てはまるかというとそうではないと実感しています。

KPIツリーにしたときの解約率と利用率の関係性は、解約率の下に利用率があるイメージかと思います。
これは解約率と利用率が有意に相関関係があるときに意味のあるモニタリング指標で、それがなければKPIとしての意味は成しません。
(重要なモニタリング指標であることには同意で、KPIとしての意味があるかどうかという話です。)

では解約率・利用率・(エクスパンションを込みにして)商談供給率・成約率以外のモニタリング指標は?・・・というと、あまり教科書的なものは多くないのが現状です。
今のところ、「最終的に顧客にどのような成功を手にしていただけるようにするのか」という、サクセスの具体像からブレイクダウンして決めていくという地道な決め方が王道であり近道であると結論付けています。

・変動要素が多すぎる問題
実際にカスタマージャーニーの描画もやってみましたが、手触り感のあるジャーニーまでにはもう少しブラッシュアップが必要な印象です。
理由は「サクセスの具体像を実態と現実に即して定義する必要があるが、現実の変動要素が洗い出しきれない」ため。

変動要素はもっぱら顧客の取り巻く環境の変化(ヒト・モノ・カネの変化)ですが、実際はもう少し細かく紐解いて挙げていきます。
発生タイミング・察知タイミング・察知方法をセットで考える必要があり、このピックアップは比較的時間がかかる上、あれこれ検討している間に状況が変わってしまうこともあります。

そして、意外と無視できないのがCS側のリソースや状況の変化です。具体的にはメンバーの持つ要素・メンバーの人数・全社の施策など。
個人的な意見として、サービス品質の面から本来自社の変化は変動要素にならない方がいいと思います。ただ、要素の多様化など物によってはプラスに働くこともあります。
スタートアップで変動要素をなしするのは難しいので、できればCS側の状況の変化はプラスに働くような運用にするのが理想です。

顧客を取り巻く環境

業界によりけりな部分がありますが、ここでは少し細かく一般化して構成要素をあげてみます。

  1. 業界による特徴

    1. 収入源、支出の大項目

    2. 管轄する行政組織

    3. 影響のある組織体

  2. 顧客組織の特徴

    1. トップダウン・ボトムアップ

    2. 組織規模・従業員数

    3. 社風

    4. キーマンのポジションと数

  3. キーマンの特徴

    1. 役回り

    2. 性格

    3. 好むコミュニケーション方法

「顧客の誰に・何が起こって・どう感じているのか」がポイントだと思っています。
個人的な実感ですが、特に重要と考えるものとして鳥の目でいえばお金の流れや組織同士の関わり、虫の目でいえばキーマンのキャラクターな印象はあります。顧客は組織体であり人でありなので、組織と人の要旨を掴むと全体がつかみやすいです。

最終的に目指す先はどこか

具体的な言葉はプロダクトによりけりですが、最終的にどこもカスタマーサクセスが目指すものは同じで「顧客の成功」であると考えています。
顧客の成功を細かくひもといていくと
顧客の成功

顧客が思う成功

顧客の取り巻く環境の中で顧客が手にできる成功

現実的でリアルな「理想」を叶えること
だと思っています。

個人的に理想とは「夢物語と現実の隙間」だと解釈しています。
(厳密にいえば夢物語を実現することも不可能ではないと思いつつ、結果的に遠回りになると感じています)
その理想を丁寧に描画する力がカスタマーサクセスには求められますし、バーティカルSaaSのピンポイントなプロダクトであるほど、リアルに描く力が必要であると実感しています。

バーティカルSaaS アダプションの「ヒト」

アダプションに必要な要素はなにか

端的に言えば以下でしょうか。

  1. 臨機応変で能動的なコミュニケーション

  2. 回収してきた要望を提案につなげる力

  3. 営業トークへの理解

以前このような表を作ったことがあります。

メンバーの強みと連動させる設計を考えたときの表

1:臨機応変で能動的なコミュニケーション
現状、ハイタッチ:ロータッチの比率は甘く見積もっても7:3くらいです。
なので、方法は問わないにしても顧客と双方向のコミュニケーションを自分からできるとPDCAは回りやすいです。アダプションはチャーンがない限り顧客が減らないので、効率を考えつつ行動量が多い方が総じて「回る」という印象はあります。

2:回収してきた要望を提案につなげる力
回収してきた要望を提案につなげる力として、アイデアの豊富さ(表現の方法がたくさんあること)や提案力(アイデアを形にして顧客に渡せる)があるとPDCAのPとDが強くなります。アイデアの豊富さと提案力はどっちが優位というより両立したいスキルだと思っています。
ただ、1人でどっちもなくてもチームでバランスが取れればOKな要素でもあります。

3:営業トークへの理解
事業会社であり、顧客と接する前線にいるという点で売上という部分は無視できない要素だと思っています。そして、現にアップセル・クロスセルの提案が課題解決になることもあり、リニューアルセールスが何たるか、経験があれば最高ですが経験がなくとも理解はある方が良いと感じています。
既存顧客向けのであることから、ノルマ持ってとにかくゴリゴリ営業…というよりはコンサルティング営業の要素が強いため、ヒアリング→課題明確化→提案の流れが作れると強いです。

アダプション向きの人材というのはあるのか

あるかないかでいうと「ある」で、上記の要素を持っているとアダプション向きだと感じます。
ただ、アダプション向きの人材なのか、「アダプションのやるべきことが具体的に定義されていないがために、顧客コミュニケーションが取れて一定あれもこれもこなせる人をアダプション向きといっている」のかは明確に区別される方がいいと思っています。
勝ちパターンが曖昧である段階では何でも屋を求めるのは仕方ないと思いつつ、これだと属人化を抜け出せないという懸念も持っています。

愛すべきアダプションを一緒に。

顧客を思い、長く伴走ができる。難しいと頭をひねることもあれどなんだか愛おしいアダプションという役割。

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