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みんな違ってみんないい:2021年9月10日(世界自殺予防デー)

マレーシアでは今年の1月から5月までの自殺者が468人、通年で631人だった昨年を大きく上回るペースだということでニュースになった。

イスラム教徒が人口の6割のマレーシアでは、自殺は彼らの経典であるコーランでも禁止されている。命は神が与えてくれた最大の恵みであり、それを自ら絶つことは許されないのだ。

9月10日は世界自殺予防デー。WHOが「自殺に対する注意・関心を喚起し、自殺防止のための行動を促進すること」を目的として制定した、国際デーだ。

日本の警察庁のホームページを見ると、月ごとの自殺者数が掲載されている。

昨年、令和2年は21,081人の方が自ら命を絶たれている。マレーシアの約33倍の人数だ。

私自身、東京で働いていたときは、一時期は自分の能力に見合わない仕事をしていた。そして、人に素直に頼ればいいのにプライドや「できなかったら恥ずかしい」という勝手な考えから一人で抱え込み、会社に行けなくなったことがある。

周りには手を差し伸べてくれている人たちがいたのに、その手さえも「自分ができないからだ」と変に自分を責め借りなかった。今思えば、本当に周りからみたら「何この人?」の状態だったと思う。

朝の通勤中、駅のプラットホームでこちらに向かって走ってくる電車のヘッドライトに吸い込まれる幻覚を見るようになっていた。


そんな日は突然終わりを告げた。

私はその時に自分の所属する会社のオフィスではなく、客先のオフィスに出向していて、異変に気付いた客先のマネージャーからドクターストップがかかった。
パソコンもその場で取り上げられた。

あの時、もしパソコンを取り上げられていなかったら、私は今ここにいなくて、電車のヘッドライトの光の中だったかもしれない。

その日はその足で病院へ行き、先生の前で人目もはばからず声を上げて大泣き、「適応障害」と診断された。
次の日からは駅のプラットホームで電車を待つことは無くなり、3か月間休職した。

そして、3か月の休職の間に、人生を変える経験をして今私はマレーシアにいる。(この経験はいつかNoteにも書くと思う。)

3年前は、悪いことばかりではなかったし、楽しいこともあった。むしろ、当時の職場ではみんな私を助けてくれようとしていたから、本当に私が彼らの想いを受け取り拒否して、勝手に迷惑をかけてしまっていたのだなと思う。

今のマレーシアでの仕事も大変なことも沢山ある。成果が出て笑顔になる日もあれば、上手くいかなくて涙が出る日もある。

1人で抱え込みすぎても何もいいことがない。
できないことは素直に「これは私は今は時間の余裕がないからできない」などと言って頼るようにすると不思議とうまくいく。
できないことも次にできるようになればいいし、自分の仕事でそもそも無いのであればやる必要はないし、そもそも誰かの仕事を奪ってはいけない。

3年前は自分のことばかりで気づけなかったけれど、頼られるほうも何だか嬉しそう、私も頼られるともちろん嬉しい。

人や社会と関わっていく生活の中、「我慢」はもちろんする場面はある。
ただ、しすぎる必要はないし、できないことはできないと言ったほうが、自分や周りの人にとってプラスになることもある。
(できないことをできるようになれれば良いけれど、時間がかかったり自分の能力をオーバーしているときには先に言ったほうがいいと思う。)

人それぞれ、みんな違うのだから、みんな違ってみんないいのだ。

私が両手をひろげても、お空はちっとも飛べないが
飛べる小鳥は私のやうに、地面を速くは走れない。
私がからだをゆすっても、きれいな音は出ないけど、
あの鳴る鈴は私のやうにたくさんな唄は知らないよ。

鈴と、小鳥と、それから私、
みんなちがって、みんないい。
「私と小鳥と鈴と」 金子みすゞ

マレーシアではイスラム教の教えもあるけれど、中華系やインド系、そして私のような外国人など多種多様の人たちがそれぞれの文化や風習を尊重しあいながら一緒に暮らしている。

「みんな違ってみんないい」

世界のどこかに、必ず自分の居場所はあるのだから。

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