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トーゴ・ロメで過ごした2ヶ月を写真で振り返る

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滞在していたインキュベーション施設のWoeLabには合計5つのスタートアップが所属していて、彼らのプロジェクトをサポートしたり、逆に私のプロジェクトにヘルプで入ってもらったりと、それぞれのスタートアップオーナーとかなり濃密な時間を過ごすことができた。年齢的には23〜27歳くらい。子供がすでに何人かいるメンバーもいて、他の仕事と掛け持ちしている人がほとんど。女子率半分くらいなのが好印象。

2021年12月〜2022年1月までに滞在したトーゴの首都・ロメでの様子を写真で振り返ります。詳しいプロジェクトの内容については、英語になりますがwebサイトの方からご確認いただけます。

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WoeLabの周りには「Urbanattic」というスタートアップが作って運営管理をしているアーバンファームがいくつかある。育てているのはキャベツとか唐辛子。デジタルセンサーが備え付けられていて、水分量や温度などを常に管理している。
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中心地から車で20-30分の所謂郊外にWorLabはある。土が剥き出しの道に、低層の住宅と小さなお店がポツポツ並ぶ様子は、ロメの郊外に典型的な景色。写真は、行きつけのお店。ツケ払いが出来るほどに通い詰めた(笑)
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あちこちにある椰子の木。バナナやマンゴー、アボカドの木も沢山ある。何があってもしばらくは食いっぱぐれなさそう。
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藪木の奥にちょっと隠れて感じで建てられてる、手作り感満載のトイレ、もしくはシャワー。周りに立てかけられてあるタイヤ達がいい感じ。こういうトタン板を使った建物が街中にある。
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ロメで訪れた一般家庭は大抵、20人くらいの大所帯で暮らしていることが多い。親戚一同大集合という感じ。とはいえ狭苦しい感じは正直なく、大きな中庭と木々に囲まれた低層の家にみんなで仲良く暮らしている。そして大抵、どの家庭にも鶏とアヒル、ヤギがいる。水道は通っていない家も多いので、大きな桶で週に1度ほど、買いに行く必要があるそうだ。停電も多い。けれど、子供が中庭で自由に走り回って遊んでいる様子を見ると、住まいにおける豊さってなんなんだろう、と改めて考えさせられる。
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お世話になったスタートアップのひとつ、SCoPE。プラスチックのゴミ問題に取り組むイニシアティブで、住民に専用のゴミバッグとリモートボタンを配布し、各家庭で出たゴミでプラスチックのものは分別してこの袋に入れてもらう(ロメではプラスチックも他のゴミとまとめて道端で燃やしてしまうことが多い。袋がいっぱいになったらボタンを押してチームに知らせ、回収に行く。ユーザーには対価としてデジタル通貨上で還元される。彼らと一緒に、周辺のプラスチックゴミを拾う掃除ワークショップも行った。ワークショップを通して思ったのは、町中に散らばるプラスチックゴミを快く思っていない住民も沢山いるということ。ただ、自分たちで掃除をしてもすぐに通行人がゴミを捨てていくから、あっという間にゴミだらけになってしまうのだそう。確かに、みんな驚くほどポイ捨てする。意識改革から始める必要がありそう。
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滞在中、スタートアップオーナー向けに5日間のデザインワークショップも開催。コンテクストマップを作るところから、ペルソナを設定しサービスモデルを整理するところまで行った。彼らの英語は完全ではないので、英語の教材を読み込みながら、適宜翻訳し、二言語をうまく組み合わせながら進める。日本でやったようなデザインワークショップとはまた反応も進め方も違う。当然ながら、文化と言葉が違うとコミュニケーションに2倍以上の時間がかかるわけで。ここを端折らずに、丁寧に全ての時間に向き合いたいなと思う。
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滞在中は「HubCitizen」という住民へのインタビュープロジェクトを行なった。40名ほどインタビューし、各家庭にも案内してもらうことで、現地の人々の一般的な暮らしを垣間見ることができた。ここで何人ものポートレイトを彼らの自宅で撮影させてもらい、ポートレイトの面白さと奥深さに目覚めた。写真はまだ勉強中だけど、今後も続けていきたい。イメージは、ニューヨークの街中にいる普通の人々の素顔を撮影した「Humans of New York」。
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WoeLabのオーナーであるSenameは彼自身がデザイナー・建築家で、国内外におけるクリエイターのネットワークが半端ない。滞在中、種類を問わず、多くのクリエイターに出会うことができたのは財産。写真は、WoeLabで開催されたクラフトフェアにて。国中から作家達が集まった。
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トーゴの伝統的な布を制作に積極的に取り入れる、地元のファッションデザイナー 。テーマは、「Urban × Tradition」だそう。彼自身、さすが、出で立ちがかっこよい。アフリカの布にはいくつか種類があって、私はまだ判別することができないけど、トーゴにはよくあるワックスプリントの布の他に、より高度な技術を要する織物がある。この布を使ったジャケットは作りがしっかりしていて、何年も使えそうだ。他にも、日本の絞り染めにインスピレーションを受けた染め工房 & その布を使用したテーラーブランドもある。
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WoeLabでのイベントについて聞きつけて、太鼓と伝統的なアクセサリーを持ってひょっこり現れた近所の男の子。イベントの数日前に私が道端でポートレイトの撮影をしている時、興味を持ってついてきた子でもある。シンプルなTシャツの上に引っ掛けるように羽織る伝統的な布が良い感じ。夜は、この太鼓を叩いて何時間も歌っていた。どんな音だったか興味がある人は、SoundCloudにロメのサウンドスケープを一部アップしたので、聞いてみて欲しい。彼が太鼓を叩いているトラックは、「Mon Ami = My Friend」。
周りを緑で囲われたWoeLab。コワーキングスペースとしての機能もあるので色んな部屋を自由に選んで仕事ができるが、このオープンスペースが私の1番のお気に入りだった。緑の近くでの仕事は捗る。朝と夕方は、周辺の住民が道端でゴミを燃やす習慣がある(そのなかには多くのプラスチックが含まれている)ので、その匂いがする時だけここが使えないのが残念だった。近所にあるバーから聞こえる音、複数ある教会から聞こえてくるなんとも不思議な歌声、鳥の声、牛の声….聞こえる音の種類には事欠かない。
WoeLabのプロジェクトの一つである、e-ウェイストを使用した3Dプリンター。見た目は本当にシンプルで、稼働しているのは正直見れなかったのだけど、コンセプトがいい。アフリカで捨てられたe-ウェイストを使った、アフリカ人エンジニアによる、初めての"アフリカ土着の"3Dプリンターだ。ハイテクノロジーも、持ち前のあるものを使えば実現できる。そんなアフリカらしいスピリットに溢れた作品。
WoeLabの敷地は広く、よくイベントも行われた。庭で仕事をするのも◉
WoeLabでは、子供にデジタルツールの使い方を教えるクラスも開催されている。子供用のパソコンを1人1台手にし、熱心に何かしている様子は微笑ましい。半年間のプログラムのなかで、デジタルツールを使ってやりたいこと、作りたいものを自分で決め、メンター達の手助けも得ながら作り上げるのだという。
近所の子供達。カメラを持っていると撮って欲しそうに寄ってくる。トーゴでは、街中を歩くと子供たちが「Yobo-Yobo Bonsoir! Yobo-Yobo Bonsoir! Yobo-Yobo Bonsoir! 」とはやしたてながらついてくる。Yobo = 白人、Bonsoir = こんばんは、の意味。何時に会ってもBonsoirなのはなんでだろうと思っていたら、そういう地元の唄というかラインがあるそうだ。ここでは、黒人でないならアジア人でも関係なく"Yobo"である。
真っ赤な土。中心街以外は大体舗装されていないから、歩くと足が真っ黒になる。人間以外の色んな生物(鶏とかヤギとか牛とか)も歩き回るから、足跡を観察するのが面白い。アフリカに来てから、土の観察が好きになった。
WoeLabでのイベントの一コマ。「ディアスポラ」をテーマに、前半はアート関係のショートフィルム上映と、詩の朗読、そして音楽の演奏。写真に写っている女性はジャマイカ出身のアーティストで、ディアスポラとしての自身の経験とアイデンティティを語る。印象的だったのは、休憩の時間にボブ・マーリーの「Redemption song」が流れて、みんな大盛り上がりだったこと。ジャマイカ に滞在した時、この曲をよく聞いていたのを思い出す。「Emancipate yourselves from mental slavery None but ourselves can free our minds = 解放するんだ自分自身を 精神の奴隷から自分自身でなければ 自分の精神を自由にすることはできない」。奴隷貿易の舞台となったギニア湾沿いの国・トーゴ。この曲を聴きながら、今ここにいる意味を、改めて感じ入る。


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