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願わくば一日ごろごろ読み続けたい

『あきない世伝 金と銀』はそう思わせてくれる小説。時代小説ではとびきり人気のみをつくし料理帖を書かれた高田郁さんのシリーズなので面白くないはずがない。のに長らく本棚に並べてあった。2巻から8巻を人から頂いたので。

この度晴れて1巻目を購入して手に取った。やっぱり最初から読みたいですよね。そして読み始めたら面白いのなんのってテンポがいい。兵庫の村から女子衆として大坂に出てきた主人公幸の成長記。九つながら才気煥発にして控えめで周りからも好かれている。

作者は山本周五郎さんのファンだったお父様の影響で時代小説に親しまれたという。読むとその当時の関西の光景が目に浮かび言葉が耳に聞こえ人々の暮らしの息遣いが感じられる。挿絵もなく写真もなく音楽もなく舞台装置もなく、ただ活字だけで。

ドラマや映画ならどれだけ多くの人手をかけて製作されるだろう。それをペン一本、まあ今の時代なのでパソコンでしょうけど、それだけで生み出していく筆力。

1巻目では幸が奉公先に採用されるシーンが大変印象深い。手違いで1人募集のところに4人の女の子が連れてこられた。さあ、どうする?そんなに雇えない…この選考はいまの就活にも通じる。

他にも色里通いに狂う後継ぎの婚礼の日の場面も光景を想像して楽しく読んだ。幸のこれからがどうなるのか、つい2巻目に手を伸ばしてしまう。

ああ時間が無限にあればいいのに。他にもすることが山積みなのに気になって仕方がない。映画もいいしドラマもいいし音楽も好きだけれど、この静寂の中で物語の世界に浸る幸せを久々に感じた。読書が好き。

皆様の週末の楽しみはなんですか?




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