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婿殿のパジャマ
たまに実家に帰るとタイムスリップする。
見てもらいたいものがあると言われて開かずの間に通される。
昭和の香りしかしない衣装ケースやビニールのタンスなどがまだあって、引っ越しをしない家とはそんな感じなんだと妙に納得。転勤族の暮らしとは大違いだ。
サーモンピンクやパステルグリーンのプラスチックケースの蓋を開けてみると…
中学高校生時代に自分が着ていたセーター類がきちんと畳まれていて40年が一気に巻き戻る。
わぁ、これ覚えてるわ。はち切れんばかりに丸々していたあの頃。決して今スリムなわけじゃないけど思春期真っ只中の私は確かにこのセーターにパンツを合わせて通学していた。私服の高校だった。
これから先が全く見えず今の自分を想像だにできず勉強にも身が入らずスポーツも避けていたなぁ。女子校だったからこれといった刺激もない人生の春休みのような時間だった。後年海外生活をしたりピアノやゴルフを楽しむようになるとは。
別のところに大切にしまわれていたのが真っ白な紳士物の綿100%のパジャマ。私が結婚した時、婿殿に泊まってもらうときのために購入したようだ。長子の私の結婚は家中でどれほど大きなイベントだったのか。両親のはりきり具合が嫌でもわかるというもの。
結婚してから転勤などで住むところが変わってもお盆とお正月には帰省を欠かさずにきた。それが喜ばれていたのか負担をかけていたのか、今娘を結婚させて考えてみる。娘が夫婦揃って我が家に泊まるなんて大変だぁ。食事は?お風呂は?生活が丸見えじゃない。
そんな気苦労を厭わず温かく迎えてくれていた実家への感謝が改まる。父もいなくなって弟家族と会うのは楽しみでもあり気遣いでもあり、月日の流れは家族の形を変えて進化してゆく。今は私だけ泊まり夫は最終日に挨拶しにくるスタイルが定着。新幹線の予約も完了した。
故郷への想いは人それぞれあることだろう。ホームに溢れる帰省客を見てあんなにしてまでなぜ帰りたいのかと思う人もいると思う。迎える方も行く方も大変なのだけどやはり新年をそろって迎えることを祝いあいたい。結婚した娘はこの年末年始は妹を訪ねて留学先へと向かうというのでそれもよし。帰省を強要するつもりは全くない、ごきげんパパの内心は知らないけれど。
3人娘がいる我が家には幸運に恵まれれば3人の婿殿ができる可能性がある。まだ見ぬ婿殿といい関係が築けますように。その前にいい人が現れますように。欲張りなお願いが聞き届けられるといいな。
今朝はこちらは冷たい冬の雨。心は暖かく過ごしたいと思います。皆様もどうぞ良い1日を!
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