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結婚相談所でつかんだ恋

多かれ少なかれ自分の人生がドラマチックに演出されていたら素敵だと思う気持ちは誰にでもあるのではないだろうか。通学電車でいつも乗り合わせる可愛い彼女、とか、飛行機でたまたま隣の席に座った爽やかな人、とか、すれ違いざまに落とし物を拾って顔を上げてみたらピンときた相手、などと恋に落ちるなど。まあそんなことはめったにない。

やんごとなき方でさえキャンパスでふさわしい相手を見つけなければ後がないような刷り込みをされている風潮もある現代日本、それはとんでもない勘違いだとおばさん、もとい、ごきげんママ♡は断言してみせる。もっと柔軟になってはいかが?

もともと自分もお見合い結婚だったことは以前noteで書いた覚えがある。

その娘がまたモテないからと言って何の不思議がありましょうや。遺伝子とはここまで似るものか。科学的な根拠はないが、適齢期を迎えた娘も心当たりのある男性がいないようだった。

「結婚相談所に入会したいんだけど」

と言ってきたのは26歳を迎えた月のこと。ない親のスネをかじろうという魂胆が透けて見える。

「まだ早いわよ。もう少したって見つからなかったらね。」

と一度はかわす。

「ねえ、やっぱり結婚相談所に入りたいんだけど」

二か月後に懲りずに言ってくる。そろそろ周りで結婚した人が増えてきて遊ぶ相手に困るようになったのか。自分の若いころを振り返ると親がそれなりに骨を折ってくれたことがいやでも思い出される。昔私の住んでいた地域では仲人をしてくれるおばさまが何人か地域を歩いておられて、お年頃の男女をひきあわせようと物好きともいえる趣味兼お仕事をされていた。

今住んでいるところでそのような方を存じ上げず、時代も変わってそういう素人の仲人さんというのはいずこへ…やむなくごきげんパパ♡の同窓会経由大手の結婚相談所に行きついた。世の中、マッチングアプリが隆盛だというのに娘は結婚相談所が良いという。結構保守的安全志向なんだなあ我が子。

まとまった入会金を収めて登録すると月に二人の男性を紹介してくれるというシステムで、月会費も12000円発生。まるで社会人の娘のためにさらに塾代を払うようなものだ。志望校を目指して独学で合格できる人もいれば別途費用をかけて塾に通う子どももいる。まあ結果さえ出せるならそれも致し方ないか、と親心がもたげる。本人が望むなら結婚してみるのも悪くない。

月二回送られてくるお写真とプロフィールには本人の年齢や学歴婚歴、住んでいる地域やお仕事のこと、家族構成、趣味や宗教、自己アピールなどの情報が多すぎず少なすぎず書くようになっていてお名前は伏せてあるもののお人柄がある程度表れるようになっている。お互い会ってみたいということになれば1時間半ほどのお茶でご対面。

4月から活動開始し、何人かお会いしてこの方、と思う方に巡り合ったのが10月。こちらがスポンサーになっている手前、娘はわりにマメに状況を伝えてくる。ドキドキハラハラ、自分の若かりし頃の追体験を楽しんでいる。偏食の娘がさらに偏食の若者を見つけたらしく、こんな時は蓼食う虫も好き好きという諺しか思いつかない。

さてこの後どんな展開になるのかは神のみぞ知る。そんなことどうでもいいじゃない、今幸せそうなんだから。恋くらい楽しいものはこの世の中そうそうありません。

こちらは秋雨の月曜日です。憂鬱な気分が少しでも晴れたら幸いです。では今週も元気に過ごしましょう。

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