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【読書_感想✍️】『東京スナック飲みある記』 都築響一

スナックと聞くと、
親に「会社やめて一緒にスナックやろう」と
よく言われていた話を思い出します。
なのでスナックに対して
あまりいい気がしていませんでした。
ですが、最近知り合いが会社の人に
連れられてスナックに行っているらしく、
仕事終わりの真夜中で
疲れて撃沈している彼をよそに
そこでおじちゃんたちは
元気を取り戻しているようで、
私の知らないスナックの魅力が
あるような気がしていて興味がありました。
この本の中で
ー安く飲みたきゃチェーンの居酒屋がある
歌いたきゃカラオケボックスがある
お洒落したけりゃカフェがある
女の子の遊びたけりゃキャバクラがある
それでもカラオケスナックに通ってしまうのは、
ひとえにママやマスターの人柄と、
常連さんたちが作り出す「もうひとつの家族」
みたいな雰囲気があるからだー
という文章がありました。
この本を読むと
実際にスナックに
入ったような気持ちになります。
ママがママになるまでの経緯が
生まれた時の状況から今に到るまで
事細かに書かれており
ママの人柄に触れることができます。
またお手洗いの注意喚起の
ポスターの書き方までに言及されているなど
スナックの備品に対する説明書きも
とても詳しくて
薄暗いアングルの写真と
相まって臨場感があります。
同じスナックという括りでも
いろんなスナックがありママによって
スナックの世界観は
まったく違うことがわかりました。
スナックというと
「場末の」という言葉が続く気がしていて
私のスナックに対して感じていた嫌悪感も
ここからきている気がします。
ですが筆者は
この場末感をとても大事にしています。
東京の街が発展し活気づいた時代を経て
今のスナックの
街並み、人びとがあると言っています。
今日の再開発事業は
たしかに街はきれいになるかもしれない、
土地の値段は高くなるかもしれない、
行政やデベロッパーなどの
大きな事業者は利益を生むかもしれない、
けれどその計算では
割り切れない人間味に筆者は注目しています。
各スナック紹介の前に
スナックがある街の発展の歴史、
失われてしまったものも紹介されていて
おもしろかったです。
この本を読んではじめて
しょんべん横丁の言葉の由来を知り
再開発がかかった武蔵小山の近くに住んで
便利で住みやすいな
都会だなと思っていた私には
この魅力は想像でしかありません。
実際にスナックに行ってみたら
うるさいなくさいなきたないなで
終わってしまうのかもしれませんが、
スナックにいる人たちの笑顔の写真を見て
人ってこんなに笑うんだと思いました。
スナックにいる人たちは
ひとりひとりが粒立っていて
魅力的に感じました。
とりあえず東京のスナックに
行ってみたいと思ったので、
一緒に行ってくれる人を探します。



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