自然は沈黙のうちに
語っている、と思う。
私は写真を撮るのがけっこう好きで、友達からは「カメラおばさん」という謎のあだ名で呼ばれることがあります。
最近カメラはちょっとご無沙汰してしまっていたけれど、人や動物を撮るのが好きです。
人や動物の表情や動きって、特にドラマを感じるから。
私が描く絵のテーマに「人」が多いのも、そういった理由が大きいです。
私の写真スイッチが入り、カメラを構えると
「カメラおばさんが本気出した!」
と、撮られる側も気合が入るようで、あれこれ要望に応じてくれる、、、
そんな素敵な仲間たちに囲まれて日々過ごしていますが。
今日は、青鷺(アオサギ)を撮った時のことを。
私は鳥が大好きで、鳥について熱く語り出すと今度は「鳥おばさん」と言われます。
あのね。
なんでも「おばさん」つければいいってものじゃないのよ・・・
さて、そんな私が定期的に行く場所があって、そこには青鷺の巣があります。
風が吹くとユラユラ揺れるような細い木のてっぺんに、いくつもの青鷺ペアが巣を作っていて。
すごい揺れてるけど大丈夫なの?
ってちょっと心配になりますが、
ここに巣を作っても大丈夫かって、よくよく吟味して場所を選んでいるんですよね。
鳥は頭がいい。
へぇ〜、こんなところに巣を作るんだなぁ、と、
初めて見つけた時には感心してしまいました。
鳥って種類にもよるのかもしれないですけど、ペアになったら一途で一生を添い遂げることが多いそうです。
素敵!
うちのぴーちゃん(インコ)も生涯に決めた1羽の相手と添い遂げる種類だそうで、、、
人間と暮らしているので、残念ながら彼の相手は人間(マリコ)ですけど。
ごめんね、ぴーちゃん。
アオサギはどうなんだろう?
巣にはペアでいて、1羽が飛んでいったら1羽はじっと巣で待っている。
帰ってきたら「ただいま〜♡」「おかえり〜♡」とラブラブな挨拶、
ちょっとお休みして、交代。
この繰り返しで時間は過ぎていきます。
ある時は晴れ、ある時は曇り、ある時は強い風、ある時は寒くて冷たい雨の日。
雪の日もあるでしょうね。
毎日毎日こうして自然と共に生きている彼らを、たった数日ですけれどずっと見ていると、、、
そこには厳しい自然の中に生きる、凛とした美しい姿勢を感じ取ることができます。
私が行った日は、ちょうどその一帯に巣を作っている青鷺のペアたちが子育てをしている時期で。
夫婦になったペアは協力しながら子どもを育て、お互いを、子どもを守る。
こうして文字にすると普通のように聞こえるけれど、自分の身内を全力で守るということの純粋さが伝わってくる情景。
なんだかね、動物は、自分にとって何が、誰が本当に大切なのかを本能でちゃんと分かっていて、それを当たり前のように守ってる。
対して人間は、どうしてあれこれ複雑に考え、時に大切なはずのものを忘れていくんだろう。
考えてみればとてもシンプルなことなのに。
晴れの日は写真が撮りやすかったのでそういう意味では良かったのですが、特に印象深かったのは寒い雨の日。
わたしは部屋の中にいるので寒くなかったけれど、外はものすごく寒そう。
だけど、どんなに雨に打たれても風に吹かれても、、、
鳴くわけでも、動き回るわけでも、文句を言うわけでもなく、ただその時が過ぎ去るのを静かにじっと待ち、耐える青鷺たちの姿。
なんだか心打たれるものがありました。
ジタバタせずに今を受け入れて、ただ時を待つ。
そして雨が止んだら飛び立つ。
それと同時にどこかで出会った、上所重助の詩をなぜか思い出しました。
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「おかげさま」 詩:上所重助
夏が来ると「冬がいい」と言う
冬が来ると「夏がいい」と言う
太ると「痩せたい」と言い
痩せると「太りたい」と言う
忙しいと「暇になりたい」と言い
暇になると「忙しい方がいい」と言う
自分に都合のいい人は「善い人だ」と言い
自分に都合が悪くなると「悪い人だ」と言う
借りた傘も 雨が上がれば邪魔になる
金を持てば 古びた女房が邪魔になる
所帯を持てば 親さえも邪魔になる
衣食住は昔に比べりゃ天国だが
上を見て不平不満の明け暮れ
隣を見て愚痴ばかり
どうして自分を見つめないのか
静かに考えてみるがよい
一体自分とは何なのか
親のおかげ
先生のおかげ
世間様のおかげの固まりが自分ではないか
つまらぬ自我妄執を捨てて
得手勝手を慎んだら
世の中はきっと明るくなるだろう
「俺が」、「俺が」を捨てて
「おかげさまで」、「おかげさまで」と暮らしたい
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自然は、知らず知らず無言のうちに私たちに何かを語っている。
それに気付かないのも私たち、ある時ふとした瞬間に気付くのも私たち。
決して押し付けることはない、だけど、ありのままをただ静かに教えてくれる、その姿が好きです。
「なに見てんのよっ」
*先日の配信ライブをご視聴くださった皆さま、ありがとうございました。
新たな課題は始まったばかり、自分と音楽を見つめ、ここから更に成長していけるよう頑張ります。*
Marico
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