ファインダー超しに何が見えるんだろう?
「初めて会った時に、こういう印象を持ったからこう撮りたいと思った」「こういうリクエストだったけど、それは良さを殺していると思う。自分の良さを活かそうとするならこっちの方がいい」
「リクエストも活かしながら世界観を作り上げたかった」
3人から伝わってくる「写真」への熱量。
ただあるものを撮影するのではない、「これを伝えたい」という思いが明確に伝わってくるもの。
そんな写真を目の当たりにしたのは初めてだった。
単純に「綺麗だな、素敵だな」と感じる写真ではなくて、「私ってそんな表情をしているんだ」って初めて気づいてはっとするような。ファインダー越しにすべて見透かされているようだった、自分自身でも気づいていなかったところまで。写真とは、いや、伝えることとは。
*
あっという間に、少し前のことになってしまったけれど……。
ぽんずさん、さどまちさん、それからなんと鈴木心さんに写真を撮っていただいた。
きっとnoteやTwitterで「写真対決します」というのを見た人も多いのではないかな。とても本番は盛り上がった様子が記事になっていたのを読んで、伝わってくる熱量を感じた。
6月29日に本番を迎える。その前に練習を……という呼びかけをぽんずさんがしていらっしゃったのでお願いさせていただいた。
うれしいタイミングだったので申し込んでみたものの、私は困っていた。
「お二人に撮ってもらいたい、どうなるか見たい」なんて思いを持ったものの、とにかく写真に撮られるのが苦手なのだ。年々笑顔が分からなくなって「ごめんなさい、こんなときどんな顔をしたらいいかわからないの……」と某キャラクター的に言いたくなっていたし、そもそも表現することが苦手で固まってしまう。モデルさんもインフルエンサーも本当にすごい……。
さて、当日。
撮影時間とレタッチ時間は決まっているとのことだった。そんな中で申し訳ないことに、あまりイメージをかためられないままに伝えたリクエスト「大人っぽく撮ってほしい」「笑顔が好きじゃないからあまり笑顔じゃないほうがいい」だった。
きっと3人を困らせてしまったと思う。
それでも、さすがとしか言いようがなかった。普段写真を撮られていないから、きっと思った通りに動けない被写体でごめんなさいと思っている間にも「光を入れたい」と角度を素早く見つけたり、ポージングや表情の指示がどんどん飛んでくる。そしてどんどんシャッターが切られていく。
ファインダーから見える景色ってどんなんだろう。
それにしても、かけてくださる言葉は優しくていつの間にか楽しくなってきた。少しずつ緊張が解けてきて思ったことは、3人とも似ているところもあれば違うところもあるんだということ。
きっとその違いが写真の世界観にも表れてくるんじゃないかな、なんて分かったふりをしたくなるような。
レタッチ時間はたったの5分。たくさんシャッターを押していたのに3人の動きは速かった。撮影している間に「これがいい」ってある程度決めていたのだろうか……。
仕上がった写真はどれも素敵だった。どれか1枚を選ぶなんて、できるならしたくないって思ってしまうぐらい。
それぞれが仕上げてくださった写真についての思いに胸を打たれた。被写体に「選ばれればいい」なんてことが最優先じゃなかった。
「これを伝えたいんだ」「ここにこだわったからこれを見てほしい」「私から見たらこうだからこういう風にした」……。どんどん熱を帯びていくプレゼン。写真に込めるパワーや伝えたい思いがある。何だかそのことに感動している自分がいた。
私は「とりあえず」を重ねていたから。
とりあえず上司にOKをもらえたらいい、とりあえず期限に間に合えばいい、とりあえず一旦はこれで……っていうものばかりだったから。
何をするにも期限はあるし、納得できるまでできることばかりじゃない。この時も同じく時間制限がある中で行われていた。時間内で妥協せずに作り上げる、それも強い思いを持って。
そのためにはスキルも知識も必要になるだろうし、ここまで来るには相当な時間を費やしたんじゃないかなって勝手に想像していた。
元々”好き”から入ったのかはわからないけれど、物事を追及する、人の心を動かすってきっとそういうことなんだろう。写真の仕上がりもさることながら、物事に取り組む姿勢を教わった気がしている。
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