クリスマスプレゼント🎄🎁✨

深夜2時に薬を飲み、ひとり溜息を付いている頃、夫はコペンハーゲンの会社関係の人たちとのリモート会議が終わり、リビングで溜息を付く私を見て

「そんな顔をしてたら折角の美人が台無しだよ。」と、笑って肩を抱いた。

「何か、薬の量、いつの間にか増えたなぁって。それに歳のせいにはしたくないけど、このところ持病がじわじわ悪化している感じがするし。ベルギーに住んでいた頃はあちこち一人で出歩いていたものだけど何だかもう、一人で行動するのもしんどくて。アメリカに住んでいた30代の頃なんか幼かった子供たち二人を連れてでもあちこち出かけても全然元気だったし楽しかった。もっと遡ればブラジルでは野生児のようにあちこち飛び回って暴れ回って元気いっぱいだった。」

「悪化はしていないよ。もう君はあちこち十分色々なところを歩き回り尽くしたし、このご時世もあって出歩く気力が湧かないだけなんじゃないかな。ベルギーでも薬を飲みながら一人ふらっとあちこち出かけていたよね？急に思い立って『エメンタールチーズ食べたくなったから』ってスイスのエメンタールまで車飛ばした時は驚いた。いくらアウトバーンで無制限に車飛ばしても片道半日以上かかるしね。」

「・・・そうなのかな。何だか最近疲れる事も多くて、若い頃のようには行かなくなるものね。」

「珍しいな。歳だとか、若い頃はだとか、マリアには似合わない言葉だ。」

「似合わない・・・のか。だけど私、もともと引きこもり人間で、人混み苦手だから外を出歩くのも億劫で、出不精より興味が勝れば別なんだけどね。車が好きなのは自分一人で自由に遠くに行けるからで。人付き合いも苦手で友達少ないし、周りは私の事を社交的で楽天的で強い人間だと思ってるみたいだけど、でも全っ然強くない。実際こうやって弱音吐いたりして情けないよね。そうだよね、歳のせいにはしたくないわね。」

「ハハハ。強がらないところはマリアらしいと思うよ。強がらないけど、実のところ物凄く強い。無自覚かもしれないけどね、怖いくらい強いよ。そういうところにきっと、周りは甘えてしまうのかもしれない。私も含めてね。子供たちだってそう。君を頼りにしている。知ってるんだ、いざとなったら肝が据わっていておっかない程強い事を。持病があろうが何だろうがいざとなったら率先して動いてくれる事を。ある事件の時だって、刑事さんや弁護士さんと淡々と冷静に事情を説明しているマリアの姿、凄いなぁって思った。ネットの誹謗中傷だってすぐ法的措置取るしね。ジョーなんか良くも悪くも生まれた頃からそういうマリアの姿を見ていて正直者だから、マリアの事を『一番敵に回したくない人。』って言ってたよ（笑）
マリアは10代の頃、たった一人で地球の裏側のブラジルまで行ったんだよね？お父さん、日本に迎えに来なかった、冷たい父親だって文句言ってたけど、マリアなら一人で大丈夫だと思ったからだよ。30代の頃、生まれたばかりのミアと2歳のジョーを連れて大荷物抱えてアメリカまで行ったよね？元の旦那さんは日本に迎えに来なかったのだって、マリアなら一人で幼子二人抱えて大丈夫だと思ったからだよ。いやさすがに私だったらいくら強いマリアでも心配で日本に迎えに来るけどね。羽田に助っ人二人、関羽と張飛が迎えに来てくれてて良かったね。マリアには困った時にちゃんと助けてくれる人もいるんだよ。」

「関羽と張飛。そうね、あの時は羽田に降りて関羽と張飛の姿を見て気が緩んでホッとして倒れそうになった。何故か私、周りから巫山戯て劉備呼ばわりされてたっけ（笑） 私の周りには関羽や張飛、趙雲、馬超、黄忠の頼もしい五虎大将軍がいるわね・・・困った時には彼らに助けて貰ったなぁ、色々と。今も。そう、私は沢山の人たちに助けられて来た事に気づくわ。
強くならなきゃ生きて来られなかったけど、本当は情けない程弱い。周りに助けられながら何とかこれまでやって来られたのよ。」

「マリアは面倒だろうが何だろうが逃げない。何事も放り出さない。全て柔軟に受け止める。マリアがよくイーチンに出て来るたとえで云う『柔よく剛を制す』って言葉通りで、柔らかいものはよく耐えるから強いんだよね？
マリアは幾つになっても柔軟で、年上年下立場関係なく聞く耳を持っている。若い頃から広い世界を見ているから色々な価値観や考えを認める度量を持っている。それはマリアがそれだけ心が広く優しい、強いって事。」

「今日はやけに私を持ち上げるわね（笑）」

「うん、そうやっていつも笑っていて欲しいからね（笑）マリアには笑顔が一番似合う。」

「柳に雪折れなし」と云う言葉があるが、柳の枝は柔らかくよくしなるので、雪が積もっても折れたりせずよく持ちこたえるという意味。転じて、柔らかくしなやかなものは堅いものよりもかえってよく持ちこたえるというたとえとして使われる。「柔よく剛を制す」の由来は中国古代の兵法書だが、私自身に置き換えた事は一度もなかった。これまで色々あったけど、なんだかんだ乗り越えて生きて来たものな。

続けて夫は話し始めた。

「・・・漠然と考えていたのだけど、この前ヒューとも話したよね？今の会社を5年後に定年退職したら、また日本から出るのもいいかもってねって。まあ定年退職したところで後2〜3年は会社に引き止められそうだけど、今みたいに仕事はスマホとパソコンがあればどこにいてもできるし。海外への行き来もできるようになって来たし、先月は突然アルゼンチン転勤の話も出たくらいだから。驚いたけど結局別の人に行って貰う事になって、だけどまあ、取り敢えずお互い英語には困らないし、マリアはその他ポルトガル語やフランス語も話せるから何処へ行こうと頼もしい。新しい土地に順応する能力も高いし、たとえ未知の言語だとしてもマリアはすぐに習得するだろうね。耳がいいから。そう、聞く耳を持っているから、耳がいい。だから語学もすぐに習得してしまえるんだよ。しかも必ず現地で親しい一生ものの良縁に恵まれる。」

夫は私を元気付けようとしてくれたのだ。

「はいはい、煽てるのはそこまででいいわ。アルゼンチン転勤の話には驚いちゃったわ💦 　え〜？！また引っ越し〜🙀 今作成中のものどうしようって慌てちゃった🇦🇷 ブラジルに住んでいた頃ブエノスアイレスには行った事あったけど、また南米？今度はスペイン語？？？って頭の中真っ白に。
そうね、次はいずれにしても・・・スペイン語かな。また新しい言葉（笑）日本出たらまたほそぼそとイーチンの伝道師になるのかな（笑）だとしたらスペイン語覚えなきゃ。カードもスペイン語訳が必要かな。でもその前にジャマイカに行なければ。ヒューと約束しちゃったし、一緒に行ってくれるわよね？というかあなたはやっぱり私の人生の軍師ね。あなたと話していると人生の道筋が見えて来る。」

「どう？ちょっとは外の景色を見に行きたいって思えて来た？」

「・・・そうね・・・これからドライブ行っちゃおうか！この時間なら・・・ジャマイカは無理だけど、星が綺麗に見える所かな。」

「その前に、ほら、招待状届いていたよね？ 星を見るのはイベントに寄ってからにしよう。」

「そうだった、すっかり忘れてたわ！今日だった？どうしよう、どんな格好で行けばいいかしら。」

夫は私の機嫌を取る名人だ。
周りからは私の人生の軍師、諸葛亮と呼ばれている（笑）

私は陽気で楽しい人間であると同時に、陰気で暗い人間でもある。

陰に傾き過ぎると夫は私を陽の側にバランス良く引き戻してくれる。

時に明るく、時に暗く、自分の弱さを認めながら、これからも強いとか弱いとか意識せず柳のようにしなやかに柔軟に生きて行こうと思った。

難しく考えず、生かされている時間を大切にしながら、愛する人たちと楽しく交流できたならそれ以上の幸せはない。持病があるのは不便だが決して不幸ではない。

何だかまとまりのない文章になって何が言いたいのか分からなくなったが、歳のせいにしたくないけど時には歳のせいにしたくなる弱い自分というものも存在していて、そういう弱い部分も全部全部受け入れながらやっぱり歳のせいにせず、興味のある事に全力投球して人生楽しくやって行こう、と、改めて思った。

それが一番「私らしい」らしい。

5年後、10年後、私はどこで何をしているのだろう。

考えると楽しみになって来る。

次に国外に出たらもう日本には戻らないような予感もする。

取り敢えず気ままにドライブしようという事に。
その前に「星が見える所は寒いから」と、夫から立ち寄ったイベントで、ちょっと早いクリスマスプレゼントを頂いてしまった🎁🎄✨
ベルテッドショートラップピーコート、サイズも丁度良く、丸で毛布のようなフードが大きくて温かい❤️

ピーコートとお揃いのブーツも一緒に🥾

ヒールが可愛い💓

外は寒いからと真っ赤な厚手のマフラー＆ストールも❤️

「こんなに沢山、駄目よ、贅沢だわ！」
と言うのだけど
「赤いマフラーはちょっと早いバレンタインプレゼントね😄」
と夫は言いながら「そのまま着て出かけますから包まなくて大丈夫です」と、お店の方に。

夫はいつもこうやって、私や子供達をスポイルする。
先日も娘の転職祝いに娘が恐縮し過ぎるようなものを贈ろうとして
「お母さん、お願い、お父さんを止めて！気軽に欲しいもの言ったらそれ以上の勿体無くて普段絶っ対使えないヤツ送ろうとしてるから💦」
と、慌てて遠慮される程。
息子は「僕は何でも有難く頂いてますよ😊」との事。
物知りで頭の回転が早く、彼に頼ってばかりの私は感謝しかない。
やっぱり夫は私の人生の軍師なのだと改めて思った。

若い頃はそんな軍師とよく派手に喧嘩もしたものだが、気づけばこのところ喧嘩もしなくなっている。