Unique Speciality Styles of Sake -個性派スタイルの日本酒- [英語で日本酒講座 Lesson 4]
以前、Lesson 2で日本酒はいくつかの種類に分かれている事をお話しし、純米、吟醸、大吟醸などをご紹介しましたが、実は日本酒には生酒、原酒、にごり酒等まだまだたくさんの種類があります。吟醸、大吟醸などは主に精米歩合によってカテゴライズされるますが、生酒や原酒、にごり酒はいったいどの様な違いがあるのでしょうか?
今回はこれらのちょっとユニークな日本酒についてひとつひとつ見ていきましょう!
Nama-zake -生酒-
Nama-zake is a type of sake that has not been pasteurised at all.
生酒とは全く火入れを行なっていないタイプの日本酒です。
Nama-zake tends to be a fresh taste.
-生酒はフレッシュな味わいになる傾向がある。
pasteurise -火入れ
at all -全く
tend to be〜 -〜になる傾向がある
通常、日本酒は製造工程で2回の”火入れ”と呼ばれる加熱処理を行うところ、生酒は火入れを行いません。主に火入れは微細物の活性化を止め、品質の安定化のために行います。火入れを行なっていないが故、常に冷蔵で保存し、早めに飲みきらなければならない等、品質管理は難しいのですがフレッシュさがウリで人気の高い日本酒です。
さて、いきなり聞き慣れない英単語が出てきました。pasteurise(パスタライズ)は”火入れ”という意味の動詞です。火入れを一切行っていない生酒をunpasteurised sakeと一言で表すことも出来ます。ただ専門用語っぽく聞こえて難しく感じるなら、
This sake has not been heated during the process of making.
-この日本酒は製造工程の間に火入れを行なっていません。
heat -熱する
during -〜の間
process -工程
pasteuriseをheatに言い換えても何となく伝わるはずです。ただheatだけだと「燗酒かどうか」というニュアンスにもなりかねないので、during the process of making(製造工程の間で)と付け加えてあげるとベターです。
Genshu -原酒-
Genshu is a type of sake that has not been diluted.
-原酒とは加水を行っていない日本酒です。
Typically, genshu has a higher percentage of alcohol than other types of sake.
-一般的に原酒のアルコール度数は他の日本酒よりも高いです。
dilute -薄める、加水する
typically -一般的に
一般的な日本酒はアルコール度数を調整するために、瓶詰め前に加水されます。原酒は加水されていない日本酒なので、アルコール度数が17〜20度程度で一般的な日本酒よりもやや高い傾向があり、濃厚な味わいに仕上がります。
ちょっと飲みにくいな、と感じるのならば思い切ってグラスに氷を加え、オン・ザ・ロックにしちゃっても他の日本酒とはまた違う飲み方が楽しめます。
ここでもdilute(ダイリュート)と聞き慣れない単語が出てきました。”水を加えて薄める”という意味合いなので、こちらはadd waterでも問題なく伝わります。
Water has not been added to this sake after the fermentation.
-この日本酒には発酵後の加水はされていません。
fermentation -発酵
Muroka -無濾過-
Muroka is a type of sake that has not been charcoal fined to remove the colour.
-無濾過とは無色透明化する為に炭を使用した濾過を行っていない日本酒です。
charcoal -炭
fine -清澄する、濾過する
remove -取り除く
搾りたての日本酒は少し黄色味がかっています。炭を使用した濾過の作業には色味を抜き、香りや味わいを安定させる目的があります。
”無濾過生原酒”なんて呼ばれる日本酒も人気がありますが、これは上記の3つ全ての要素を持つ日本酒の事なのです。
Nigori -にごり酒-
Nigori is a type of sake that have been roughly filtered.
-にごり酒とは粗く濾過された日本酒です。
Nigori is a type of sake that has a thick texture with lumps of rice fragments.
-にごり酒は澱を含んでる、濃厚な舌触りの日本酒です。
thick -濃厚な、トロッとした
texture -食感、舌触り
lumps of rice fragments -米の破片のかたまり、澱
通常、発酵を終えたお酒は”澱”と呼ばれる米粒の破片が含まれており、出荷するに当たって液体から澱を取り除かなくてはなりません。この作業は上槽(filteration)と呼ばれており、日本酒と酒粕に分ける作業です。
にごり酒はこの上層の作業を粗めに行い、日本酒の中に澱を残します。粗く濾過される事により澱が残り、トロッとした舌触りとお米本来の芳醇な香りが楽しめます。澱によって液体が濁っているので”にごり酒”と呼ばれているのですね。
実はにごり酒は”cloudy sake”呼ばれており、海外でも比較的知名度があります。ただ、中にはunfilterd sake(濾過されていない日本酒)と誤訳してしまっている飲食店さんや酒屋さんも残念ながら見かけます。厳密には目の粗いフィルターを通して濾過されており、全く濾過されていないものは酒税法上でも”清酒”として扱われなくなります。
Sparkling Sake -スパークリング日本酒-
大まかにスパークリング日本酒には3種類あります。
Carbonated Sparkling Sake
単純に、火入れ済みの日本酒に炭酸ガスが加えられているもの。
Bottle-fermented Sparkling Sake
発酵を通常よりも早い段階で中断し、上槽と瓶詰めを行います。その後、瓶内発酵させる事により瓶内に炭酸ガスが発生するもの。
Live Nigori
”活性にごり”と呼ばれ、年末年始に季節ものとして販売されるもの。活性にごりも発酵を途中で中断し、瓶内発酵を行いますが、粗めに上層を行い瓶内に澱を残します。瓶内に澱を残す事により、発酵がより活性化され強い炭酸ガスを含むので、開栓には注意が必要です。
日本酒に限らず、シャンパンやスパークリングワインのことを英語圏ではカジュアルな言い方で”bubble”と呼びます。もしスパークリング日本酒に興味がありそうな人がいたら、
Would you like to taste the bubble?
-スパークリング飲んでみる?
なんて声を掛けてみてください。
would you like〜 -〜してみたいですか?
taste -味見、味わう
Koshu -古酒-
数年間、長期熟成させる日本酒の事で英語圏の日本酒好きの間では”aged sake”として知られています。ワインも同様に熟成させる場合があるので海外の人でも古酒はイメージが湧きやすいみたいです。
aged -熟成させた、年代物の
実は古酒にほ酒税法上の厳密なルールがありません。熟成期間が2、3年のものもあれば何十年も熟成させたものもあり、その熟成方法もタンク内だったり瓶内だったり、室温だったり低温だったりと様々です。
Typically, koshu is brown in colour, and has pronounced aromas and a rich taste.
-一般的な古酒は茶色がかっており、香りが強く濃厚な味わいです。
pronounced -力強い、目立つ
Kijoshu -貴醸酒-
Kijoshu is partially added sake instead of water during the fermentation.
-貴醸酒は発酵の際、水の替わりに一部日本酒で仕込んだ日本酒です。
Kijoshu is a type of sake that is full-bodied with sweetness and complexity.
-貴醸酒はフルボディの甘味と複雑味のある日本酒です。
partially -部分的に
instead of〜 -〜の替わりに
fermentation -発酵
full-bodied -コクのある、フルボディ
sweetness -甘味
complexity -複雑さ、複雑味
貴醸酒は”日本酒で仕込んだ日本酒”とよく言われますが、一部の仕込み水を日本酒に置き換えて造らるコストのかかった高価な日本酒で、強い甘味とコクと複雑味が特徴です。元々は1973年に国外のお客様をもてなす為に造られた日本酒なのです。
Taru-zake -樽酒-
Taru-zake is a type of sake that has been matured in cedar wood barrels.
-樽酒とは杉樽で熟成された日本酒です。
Taru-zake has a woody aroma.
-樽酒は木の香りがします。
matured -熟成させる
cedar -杉
barrel -樽
woody aroma -木の香り
樽酒の始まりは江戸時代とされており、地方から江戸に日本酒を運ぶ際に杉で作られた樽が使用されたと言われています。現代では瓶詰めのお酒が主流ですが、当時は樽に入れて流通させるのが一般的でした。
木製の樽内で保存する事により木の香りがお酒に移り、心地よい香りと共に日本酒が味わえます。
今回は様々な個性派スタイルの日本酒を解説しました。もし飲んだことのない種類の日本酒があったらぜひ試してみて、自分好みの日本酒を探してみてください。
-次回-
What is Nama-zume? What is Nama-chozo? -生詰めってなに?生貯蔵ってなに?-
今回、一番初めに”生酒”についてお話ししましたが、実は”生”という字が付く日本酒が他にもあります。そこで次回はもう少し詳しく”生”の世界を見ていきたいと思います。
KANPAI🍶❤️
SNSやってます!もし良ければフォローお願いします!
↓↓↓
Mari
Instagram @mari_sakenote
Twitter @mari_sakenote