見出し画像

心の距離感をちょうどよく #未来のためにできること

わたしの通うクリニックには、待合室に大きな水そうが置いてある。その日は、なんとなくその水そうが気になって、色とりどりの魚たちをぼーっと観察してみることにした。

すると、すぐにあることに気づいた。

小さくて丸っこい子(以下、マルっち)が、大きな子に追いかけ回されて、しつこくちょっかいを出されている。他の子にはしないのに、なぜかマルっちだけを追い回してつついている。

横に長いその水そうは、どうやら右側・左側で魚たちのテリトリーが分かれているようだった。マルっちは、ずっと水そうの右側をグルグル泳いでいた。

左側にいってみなよ!テリトリーを変えるんだ!と、心の中でマルっちにエールを送り続けた。
すると、エールが届いたのか、マルっちは水そうの左側にヒュルヒュル~っと泳いでいった。大きな子は追いかけてこない。

やった!マルっち!そっち側で幸せになるんだよ!

そう思ったのもつかの間。
マルっちは、左側では今度は別の子からちょっかいを受けることになった。
よく見るとマルっちは、しっぽの先がちぎれている。他の魚にやられたのかもしれない。

ここで、さかなクンの新聞記事を思い出した。
広い海では仲良くしている魚の群れを、小さな水そうに入れると、なぜか必ずいじめが起こる。という内容だった。

中1のとき、吹奏楽部で一緒だった友人に、だれも口をきかなくなったときがありました。いばっていた先輩が3年になったとたん、無視されたこともありました。突然のことで、わけはわかりませんでした。

でも、さかなの世界と似ていました。たとえばメジナは海の中で仲良く群れて泳いでいます。せまい水槽に一緒に入れたら、1匹を仲間はずれにして攻撃し始めたのです。(中略)助け出しても、また次のいじめられっ子が出てきます。いじめっ子を水槽から出しても新たないじめっ子があらわれます。
広い海の中ならこんなことはないのに、小さな世界に閉じこめると、なぜかいじめが始まるのです。
(朝日新聞2006年12月2日掲載)

朝日新聞デジタル
https://www.asahi.com/articles/ASH8Z517SH8ZUEHF00D.html

広い世界では自由に過ごせていても、生活域が重なるとトラブルが発生しやすい。
それは人も魚も、同じなのかもしれません。だから気をつけて、じぶんのスペースを大切にして、人との心の距離感をちょうどよく保ちたいと思いました。

この記事が参加している募集

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?