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神はいつ問われるのか? 感想文

リアル《現実世界》の定義・価値ってなんだ?
森博嗣先生の今回の一番の投げかけだと思う
ヴァーチャルが五感を上手に騙せるようになったら
人間は抗えるのかな
判別できないくらい精巧に創られた世界で
脳は騙されて続けてもおかしくない

本作に出てくる《カプセル》と呼ばれるヴァーチャル体験用の装置が登場する
肉体と脳をリアルとヴァーチャルに分ける

例えば、身体が不自由になってしまった人には画期的な夢の装置
Wシリーズ、WWシリーズでは肉体の疾患は殆ど克服できる世界なので
まず身体の不自由な人が居ない
半永久的に生きれる世界で人類はどう変わって行くのかがとても興味を惹く

本の中でなくても現在
人は普段、脳の麻薬で殆どの人は死を忘れて生きている
おぎゃ!
と、生まれてから1秒づつ染色体の劣化、再生を繰り返し、再生が追いつかなくなるとタンパク質は劣化を止められず、やがて心臓や脳が停止して死ぬ
これは、もう医学的に証明されていて不老不死は存在しない
生まれてから100年前後には健康的に生きても
必ず、終焉が訪れる

死を恐れながらも、数年後には死を迎えるのは100%決まっていても
特に大半の人類は死を《終わり》を除外しながら生きている
私などはこの世界が憎くて仕方ないので早く終わる、退場する、方法を探しているが
稀な部類だと認識している
自殺をする勇気が無いということ
私の脳は何故、もっと騙されてくれないのか
そうしたら生きるのが辛く無いのに

また本筋から脱線失礼。

グアト主人公は人間が無関心になり感情を薄めて行く悲しさを所々に思考している
リアルとヴァーチャルの価値を曖昧にしている世界観を今回は描いている
曖昧になってることに気づかない人類の姿が
1番ゾッとした

ヴァーチャルの神は簡単に世界を壊せる
これは、ゲームのスイッチを切る感覚

リアルに神など居るのか?
私は居る保証はないが、また居ない保証も無い
妥当な意見でしょ
でも正しいのでは?
何かを信じ、信仰して願い、縋り、讃える
それが出来る脳の構造を持った人の中には
神はいるのだろう
きっと死後の世界への恐怖心も和らぐはず
実に羨ましい
米一粒に神は居るし
天界に神は居ないともいえる
信者の中に神は居るし
死刑囚の中にも何らかの神がいる

つまりは、人の脳こそが神なのだ
人の脳こそが《現実界》であり
個々に見えてるものなど照合なんて出来やしない

“レーシングカーに夢中になる
口元は少し緩んでいて笑っている顔だった
幸せそうな顔だ。
ああ、良い顔をしているな、と僕も感じた。”
〝本文より〟

グアトとロジの関係性の変化も見所

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