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読書記録② 人間失格/太宰治

昔に読んで、うろ覚えだったので再読。
印象的だったのは以下の箇所。

1.正しい美貌、聡明な静謐の気配を持った検事に見抜かれたところ。

「ほんとうかい?」ものしずかな微笑でした。

物静かな人に憧れる。ただ無口なだけではなく、静謐という表現がふさわしい人。憧れるけれど、会話すると居心地の悪い思いをすることがしばしばある。沈黙に耐えられず、過剰な言葉で盛り上げようとするが、静謐な人はそれに応じない。道化を演じない。

2.電線にからまった奴凧

何やら首肯いたりなんかしているので、自分はそれを見る度毎に苦笑し、赤面し、夢にさえ見て、うなされました。

電線にからまった奴凧に自分をみて羞恥しているのだと思った。

3.喜劇名詞

自転車で青葉の滝

2回登場するこれこそ、喜劇名詞だと思った。「自転車」「青葉」「滝」陰鬱な文章にそぐわず光って感じた。

とても面白かった。
葉蔵の罪はなんなのか。
空虚な人間は、好かれるのだろうな。望むものがないが故に、相手が望んでいるように振る舞える。「相手」が女性なことが多いのは、不思議な感じがする。女のいないところへいけば解決するとは思えないけれど、生きることと性愛はそれほど密接ということなんだろうか。

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