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【読書】何をやるかのほうが大事~『成瀬は信じた道をいく』(宮島未奈)~

『成瀬は天下を取りにいく』の続編です。

↑kindle版


前作同様のマイペースな成瀬ですが、以下の部分は意外でした。

「わたしも島崎が東京に行くと聞いたとき、心身のバランスを崩したんだ。きっと自分の世界に穴が空いて、そこに足を取られたんだろうな」

p.24

それほどの衝撃を受けていたとは。


しかしパトロールの腕章、自腹で買うとは……。


「何になるかより、何をやるかのほうが大事だと思っている」

p.26

成瀬、かっこいい! 生徒に聞かせたい言葉です。


「賞状は狙ってもらえるものではないから、もらったら素直に喜ぶようにしている」

p.61

成瀬の父親の慶彦同様、喜んでいたとは初耳でした。


「成瀬さんのまわりって受け入れ力がすごすぎない?」

p.63

成瀬の陰に隠れているけど、確かに周囲の人々も意外とすごいです。


「転ぶ時には利き手をかばったほうがいい。使えなくなったら問題が解けないからな」
「殺し屋みたいなこと言うね」

p.66

この会話、バスの中で読んでいて、吹き出しそうになりました。


みゆきに礼を言ってスマホを確認すると、普段どおりナチュラルな無表情のあかりと、緊張で無表情になった慶彦が写っていた。

p.72

これも笑いそうになりました。普段どおりナチュラルな無表情って、いったい……。


これからは世のため人のため、お客様の声を届けていこう。

p.104

「やめたいクレーマー」に登場する呉間言実の決意です。名前の通り、クレーマーキャラなのですが、成瀬は彼女はただのクレーマーではないと伝えます。うん、でもクレーマー気質ですがね。


「成瀬さんはどうして観光大使に応募されたんですか?」
(中略)
「わたし以上の適任者はいないと思ったからだ」

p.114

さすが成瀬。「大津市民憲章」の精神を、観光大使として体現しようとしたわけですね。


「成瀬って、ですます調でしゃべれるの?」
「はい、その気になれば話せます」

p.140

アンドロイドのように、いつも以上に無表情で話す成瀬が思い浮かび、これまたおかしかったです。


観光大使らしいスマイルを浮かべた成瀬の写真があった。

p.176

本の表紙は「普段どおりナチュラルな無表情」な成瀬ですが、観光大使らしいスマイルも浮かべられるんかい。


「最近のあかりちゃん、どんな様子ですか」
「うーん、特に変わりなく、何考えてるかわからないよ」
「それはたしかに変わりないですね」

p.184

シュールな会話だなぁ。


成瀬は大きなことを百個言って一個でも叶えられたらいいと主張してきたが、一個だけじゃなくてそこそこ叶えている。途中で投げ出してイラっとさせられることも多いけれど、成瀬なりに咲く花と咲かない花を見極めているのかもしれない。

p.190

うーん、やはり成瀬はすごいです。


引き続き、成瀬あかり史を見届けたいものです。


写真は、琵琶湖に浮かぶ竹生島の赤こんにゃくです。




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