【お出かけ】吉原遊郭跡のブラタ〇リ的街歩き
*この記事は、2019年6月のブログの記事を加筆修正したものです。よって情報については、2019年6月当時のものです。
友人に誘われ、吉原遊郭跡の街歩きツアーに参加しました。
三ノ輪駅から、案内人さんとの待ち合わせ場所の吉原大門交差点に向かう途中には、こんな方がおいでです。
一見、通りがかりの人のようですが、「あしたのジョー」こと、矢吹丈さんです。
「日本堤」の標識に、「おお、ここが時代劇や時代小説で有名な、吉原に向かう途中の日本堤」と、テンションが上がります。今はもう、堤っぽさは残っていませんけどね。
待ち合わせ場所には、「見返り柳」の石碑が。吉原帰りの人は、ここで振り返り、一夜の思い出を懐かしんだそうです。
柳は今でもありますが、もちろん当時のものではありません。
当時の街並みは、何一つ残っておりませんが、この道のカーブは当時のままだそうです。案内人さんによると、風紀上の目隠しなど、いろいろ説があるそうですが、大門がすぐに見えないようにして、期待感をあおったのでしょうか。カーブに注目するとは、ブラタ〇リ的ですね。
地元で「よし原大門」という柱を立てたはいいけど、場所は間違っているそうです。手前の電柱あたりが正しいらしい。ちなみに右上に「KOBAN」の文字が見えますが、大門の右手には当時は「四兵衛会所」という、用心棒などが常駐している番小屋がありました。ちゃんとつながっているのですね。
説明なしでは何の写真か分かりませんが、階段の上が当時の地面の高さです。案内人さんが地面の高さを注目ポイントとして指摘してくれるところも、ブラタ〇リ的。
見返り柳と、廓の四つ角それぞれにあったお稲荷さんが明治に入って合祀され、吉原神社となりました。「みをつくし料理帖」シリーズの『八朔の雪』で、澪が幼馴染のあさひ大夫と一瞬会ったのは、四つ角のお稲荷さんのどれかでしたね。
ちなみに、あえてここまで触れておりませんが、吉原はもちろん現役の色街でございます。朝6時から、営業中とか(^-^; あんまり人通りはありませんでしたが、それは午前中だからではなく、24時間そんなものらしいです。途中通った公園では、お姉さんが宣材写真を撮っていました。
そして当時の廓で唯一名前が残っているのが、角海老さん。まさに名前が残っているだけで、現経営者が当時の主のご子孫というわけではないそうです。
吉原弁財天の扁額にも、右下の隅に角海老さんの名前が残っています。非常に分かりにくいですが(^-^;
1時間半ほどのツアーで3600円は、正直いささかお高い気がしますが、参加者が私たち2名でも手を抜くことなく熱心にご案内いただいたので、まぁそんなものかな。お話も面白かったし。
<追記>
2024年4月7日現在、お値段は3500円と表記されております。下がった?
印象に残ったのは、一般的に逃亡防止のための言われている廓の四方を囲むお歯黒どぶは、そんなに幅がなく(9メートルあった時期もありますが)、飛び越えようと思えば不可能ではなかったということ。自分が逃げたら借金は返せないので家族が困るとか、幼い頃から廓の中しか知らないので、逃げたところで外では生きられないなど、精神的理由のほうが大きかったそうです。
<追記>
『おつとめ<仕事>時代小説傑作選』に収録されている、中島要の「色男」にも、「幼くして親に売られ、男の機嫌をとるためだけに育てられてきたせいで、炊事洗濯針仕事といった女の務めがまるで果たせない」という一節がありました。
あと廓の主人は、物語で描かれるほど遊女たちを冷遇はしていなかったとか。何せ「商品」なので、大事にしなければ結局自分が困るわけです。そして遊女が死んでも引き取りに来ない家族も少なからずいた中、簡素なものとはいえお葬式を出したのは、廓の主人だそうです。「投げ込み寺」という言い方をされてしまいますが、本当に投げ込んだわけではないのです。
あと、有名な花魁道中は、花嫁道中を模したものだそうです。だから長持ちとか着物とか、いろいろ持って大門近くまでお客を迎えに行くわけですね。道具を持っていくには人手が必要なので、どれくらい持っていくかは、お客が出した金額次第らしい。ま、結局それを持ってまた廓に帰ってくるわけですが。
ちなみにこのツアー、女性参加者のほうが多いそうですが、江戸時代も意外と女性の見学は多かったとか。桜の季節に結構女性が来ていたのは、それこそ時代劇の知識で知っていましたが、普段からいたみたい。怖いもの見たさというか、何というか。いつの時代も、女性は好奇心旺盛ですね。
なお太田美術館さんの「吉原遊郭までの道のりをご案内いたします。」では、浮世絵で吉原遊郭までの道中が紹介されております。当時の雰囲気が、よく伝わるかと思います。
また、江戸時代当時の吉原の雰囲気を垣間見させてくれるのが、『吉原花魁』です。
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