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人より違う栄養をとってるはず~勝手に応援!「ビッグイシュー日本版」(VOL.470 2024.1.1)~

「ビッグイシュー日本版」を勝手に応援する記事、第73弾です。そもそも「ビッグイシュー日本版とは何か」をご説明した第1弾は、以下をご覧ください。


今号のスペシャル企画は「トーベ・ヤンソン」です。

中学生の頃、ムーミンの原作を読み、アニメの可愛らしいイメージとは違う、ちょっと怖い世界に驚きました。特に彗星が落ちてくる話は、衝撃的。でもあの世界こそが、本当のムーミントロールの世界なんですよね。


他に印象に残ったのは、まず藤原辰史さんの新春エッセイ「エディブル・プラネット」。

だれもがアクセスできるはずのことやものが金銭取引されすぎている。お金をもたないことがそのまま生命の維持の困難さに直結されすぎている。

p.9

庭木として夏ミカンや柿、柚子などを植えている家は、都会でも結構あるのに、収穫しないまま放っておかれているのを見るたび、ため息が出ます。収穫に手間がかかるのは、よく分かりますが、だったら「お好きな方、ご自由に収穫してください」と張り紙をするなり何なりすれば良いのに。

同じエッセイにあった、1943年に英国領インドで起きたベンガル飢饉の話には、愕然としました。

彼(引用者注:インドの経済学者アマルティア・セン)によると、この時期、穀物供給量は減少していなかった、つまり、穀物そのものの量はあったのに、それに貧者が「あくせす」できなかった。このことが飢饉を招いたと主張している。(中略)
ちなみに、インドで300万人ともいわれる餓死者がでた、という報告を受けた宗主国の首相チャーチルとその側近は、インドからの度重なる援助要請も、オーストラリアと米国からの援助の提案も拒否し、インド人がウサギのように子どもを産む罰だ、ガンジーはまだ死んでいないのか、と言ったといわれている。食料はある、しかし、チャーチルは戦時輸送に必要な船をそちらにまわすことを嫌がった。人種主義的かつ人為的な飢饉であった。

p.9~10

アイルランドのジャガイモ飢饉や、1930年代初めのウクライナで起きたホロドモールも、「人種主義的かつ人為的な飢饉」ですよね。


特集の「沖縄、百年の食卓」で紹介されたおばあの一人、恵美子さんの言葉も良かったです。

「料理する人はよ、鍋の前にいて、おつゆ沸かしたり、お湯を沸かしたり、味見したり、蒸気を吸い込んだりね、あんなやるだけで人より違う栄養をとってるはず」

p.16


「雨宮処凛の活動日誌」の中の以下の部分には、雨宮さん同様絶句しました。

「なぜ、これほどにパレスチナの子どもたちが殺されるのか」。ある専門家に聞き、返ってきた言葉が忘れられない。
「子どもを生かしておいたら、将来はハマスになって復讐されると恐れているから」。それがイスラエル側の正直な思いだろう、と。それを聞いて、戦慄した。同時に、大虐殺はこうした動機で正当化されてしまうのかと言葉を失った。

p.21

元旦に起きた能登半島地震を前に、ガザやウクライナといった海外の大変な状況にいる人たちのことは、ニュースでもかき消されがちです。もちろん北陸の人たちが一刻も早く安心できる環境を手に入れられるよう、私たちに出来ることは何でもすることは大切ですが、国外のことも忘れてはいけません。


今号も、学ぶことが多かったです。


「ビッグイシュー日本版」のバックナンバーは、街角の販売者さんが号によってはお持ちですし、サイトからは3冊以上であれば送付販売していただけます。


コロナ禍のあおりで、路上での「ビッグイシュー」の販売量が減少しているそうです。3ヵ月間の通信販売で、販売員さんたちを支援することもできます。


もちろん年間での定期購読も可能です。我が家はこの方法で応援させていただいています。


見出し画像は、今号が入っていた封筒のシールです。「小商い」で発送作業をしてくださったY.Tさん、いつもありがとうございます!



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