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看護師のあたし、カラフルな人生

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看護師になるまでのあたし、看護師として、地域の診療所から病棟、救急外来、手術室、緩和ケア病棟などで働いてきたあたし。そこで出会った人々のお話しです。人生はカラフルです。
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#緩和ケア病棟

美しい人②

「妹、絶対に怒ってるよね」 久しぶりの二連休。でも、状態が悪くなってきていた彼女が気にな…

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美しい人

夜勤に行くと、急に転院してきた女性の担当看護師になっていました。あらら、どんな人かしら。…

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器用な男

あれは仲良しの同僚看護師、白さんと夜勤の夜のことでした。 「初瑠さん、あんたの担当患者さ…

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母と娘

案の定、彼女は目を覚ましました。 数日前、一般病院の精神科から転院してきた70代後半の彼女…

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生ききる②

彼が転院してきてから僅か一時間かそこら、あたしたちは息子さんの運転するワゴン車に乗ってい…

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生ききる

「あと一時間ほどで来るからよろしくね」と緩和ケアの先生から連絡が入りました。 通常なら、…

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身を清めて待ってます

「あっ、お久しぶりです」 年に一度、土曜日の午後、あたしの働いていた緩和ケア病棟では、大切な家族を看取った人が集まり、入院していたときのことやら、その後の暮らしぶりについてやら、共に語りあう日がありました。 「初瑠さんが来るのが楽しみで、いつも身を清めて待ってたよね」 笑いながら話すのは、40歳を迎えたばかりの若い女性です。彼女のご主人、若くして癌の末期、手術して、抗癌剤治療をして、余命を宣告され、あたしのいる緩和ケア病棟に転院してきました。 ナースステーションから左

悪ふざけもほどほどに

「えー!何やってるんですか!」 病棟では大声は厳禁ですが、たまらず大声をあげてしまいまし…

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食べるということ

食べる。 これは何も口から食べるだけの行為ではありません。目でも鼻でも、耳でも、楽しめる…

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ワンコも会いたい

人間の家族は面会オッケーなのに、犬や猫はどうしてダメなの。なんて理由はなんとなく分かるの…

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入院も退院も表から

病院で亡くなると、多くの病院が裏口からの退院を今でもしているのかしら。 あたしが勤めた病…

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鉛筆型のキーファインダー

あたしの受け持ち患者さん、毎日、緩和ケア病棟から自宅へ戻り、好きな木工作りに勤しんでいま…

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繋がっていたい

大切な人を独りで逝かせたくない。 そう思って、ある人は病室内にあるトイレを使うときも入口…

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老いと尊厳と

高知は山が多い県だ。こんなところにも人が住んでいるの?と感心するくらい、山に張りつくように人家が建っている。 過疎、高齢化、限界集落、、、人より野生の動物の天下みたいな地域が目立つ。 そんなポツンと一軒家みたいな山のお家から彼はやってきた。すでに奥さんは他界され、独り暮しをしていたが、癌が見つかった。 高齢ということもあり手術の適応はなくて、抗癌剤治療をしていた。でも、抗癌剤が体に負担になりあっさりと中止、緩和ケア病棟にやってきた。 本当はお山に帰りたかった彼。でも、