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なるほど、そうか

頭の上から、何かが落ちてきた。
それはつむじにフワリと着地したかと思えば、脳内いっぱいに広がる。

「なるほど、そうか」
口からこぼれ落ちたその一言は、確かな感触をもって空中に漂ったかと思うと、次の瞬間には綿あめのような淡い甘さとなって消えていく。

僕はメモを取り出す。
まだ、間に合う。まだその尻尾を舌先にとらえている。
こういうのはスピードが命なのだ。
僕はそいつの尻尾をペン先に引っ掛けて、紙に書きなぐる。

紙面に書かれた文字の羅列とそのつながりが意味するものに、僕はひとつの啓示的な発見を見た。
デジャブのような既視感と共に、確信がジワリジワリと胸の内に広がる。
「これだ、僕が求めていたのは、まさにこれだったんだ」
もちろん、それは世紀の大発見のようなしろものではないし、人によっては道端の石ころのほうが価値があるようなことであるかもしれない。
しかし、それは僕にとって、必然的に、そして実務的に必要な文章だった。

「ご住所はこれでお間違えありませんか?」
 店員が言う。
「ああ、間違いない」
 久しぶりに書き出された「郵便番号」と「住所」を眺めながら、僕は大きく頷いた。

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