営業の優しさ
営業スマイルとは、よくいったものだ。
時々その笑顔の裏に、お金の匂いがする。
基本的に自己中心的な人間が他人に親切になれるのは、そこに何かしらのインセンティブがある時ではなかろうか。
営業の教科書では、「相手の立場になって考えられたら、もっと儲かります」といっているし、結局はお金のためとはいえ、人のためになることを提案、提供してくれるのだから、接客を受ける側としてはありがたい。
それは、「お金の匂い」が人を自己中心から他者中心へと誘いだしてくれているのだともいえる。営業の方が、ニコニコと笑顔を振りまきながら、言葉足らずな僕の要求ごとをよく汲み取って、適切な提案をしてくれると、なんていい人なんだと心から思う。素人目からみても、そういった方は営業がうまいと感じるし、とても親切だと思う。
あのナイスな営業スマイルは、ある意味でつくられたもので、つまりは筋肉みたいに鍛え上げられたものなのだろう。
それは強さでもあり、ある種の技術なのだ。
何かしらのインセンティブが、あのような「いい人」を生み出して、時に人に「親切でいること」の大切さを教えてくれるのなら、そこにお金の匂いが少しくらいしてもいいと思う。
ただ、≪店員と客≫という関係の中にいる時でしか、僕はその笑顔を見られない。つまり僕らの関係が≪店員と一般人≫へと変わってしまうと、その優しさからお金の匂いが段々としなくなり、ナイスな笑顔もどこかに消えてしまう。
そんなことは太陽が東から登って西に沈むように、どんなに言いつけられても浦島太郎が最後に玉手箱を開けてしまうように、至極当たり前に行き着く終着点だと言える。
ただ、その笑顔が消えるその瞬間に、少しばかり寂しさを感じる、それだけのことだ。
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