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ダンゴムシ
2021年8月16日 22:04
夜中、僕は走っていた。あたりは真っ暗で、頼りになるのは街頭の明かりだけだった。*家の近くに、木々に囲まれたランニングコースがある。昼間のこのコースは老若男女問わず多くのランナーで賑わっているが、さすがにあと数十分で日付が変わろうとしてるこの時間に走っているのは僕だけであった。僕はゆっくりとしたペースで、規律よく呼吸を繰り返しながら走った。見渡すと、周りは夜の影と木々の影が混ざり合
2021年8月10日 00:04
Aは悲観主義者だ。彼は、この世のすべてが自分にとって悪なるものであるように感じていた。親も、師も、友人も、彼にとってはいつ牙をむくかわからない脅威的な存在でしかなかった。いわんや、見ず知らずの人たちにいたっては、人の顔をした悪魔のごとくAには感じられた。「この世の人たちは、すべて悪を内に秘めている。その悪がいつ僕に襲い掛かってくるかわからないんだ!」Aは人々の表情や言葉遣いから、その