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行きつけの美容院にもう行かないかもと思わせた、美容師の一言

私が通う美容室には、男女半々ぐらいの美容師さんがいる。
はじめのうちは特に指名せず普通に予約していたのだが、気づいたら毎回特定の男性美容師さんを指名するようになっていた。

私が彼の施術で好きなところは、お客さんに対して「この人の美意識を自分が上げるのだ」という意識を感じるところ。
初めて担当してもらった日は、カットの後丁寧にヘアセットをしてくれた。私は顔の輪郭がコンプレックスなのでハーフアップはあまりやりたくないのだが、その人が作ったハーフアップは輪郭が目立つことなく素敵に仕上がった。
相手に似合うものを知っているし、「次も来てもらうんだ」という意気込みを感じて、それ以来指名するようになった。

そんな彼の好感度が一瞬で消滅する出来事があった。

私の母は、行きつけの美容院を変えたいと言っている。「あんたのところはどう?私ぐらいの年齢のお客さんいる?毎回同じ人に切ってもらってるんでしょ?」と、一気に質問をしてきた。

その時に、「う〜ん…」と悩んだ。なんとなくその美容院の空気は少し殺伐としていて、アットホームさはないからだ。
担当美容師さんの前は色んな人にカットしてもらっていたが、どの人もしっとり系コミュニケーションではない。どちらかというとめちゃめちゃドライ。母には雰囲気が合わないと思った。

でも一応、直接美容師さんに直球で聞いてみることにした。

「ここって年配の方は何歳ぐらいの方まで来てます?」

するとこう返事をされた。

「BBAも来ますよ!!」

私の頭の中でBとBとAが飛び回った。ババア…
まぁ、彼は割と口が悪い雰囲気があるので驚きはなかったのだけど。

「年齢層は幅広いですよ〜」と言われたら
「あ、そうなんですね。実は母も来たがっていて〜」
と続くはずだったんだが、そのくだりは封印することにした。だって、母がその美容院に通ったら、美容師たちからババア呼ばわりされるだろうから。それはやはりあまり気分が良くない。基本的に、ババアは悪口だと思っている。年寄りであるというただの形容詞ではない。

と、悶々としているうちに、なんだか自分自身もそこに通っていて良いのだろうかと考え始めてしまった。
いくらノリでも、客の目の前で他の客をババアと呼ぶのはどうなんだ。私も将来この人からババア呼ばわりされるのだろうか。でも年齢が近いから、その頃相手はジジイである。そんなわけで、次の予約はいったん保留。

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