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つくりばなし

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死に関する考察の連作
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2022年5月の記事一覧

泥濘のおわり

泥濘のおわり

喉の渇き。渇望。
ひび割れた田圃が好きだった。
そこに水がどんどん入って、ぐちゃぐちゃになるのを見るのが、踏むのが、(あ、きもちいい)、ってなるのが大好きだった。侵食。蝕むかの如く。風邪の前兆の悪寒がどうしようもなく好き。蝕まれるかの如く。全身の神経が剥き出しになって、ぜんぶぜんぶきもちいい。熱も、頭痛も、吐き気も、苦しいことがたまらなく好き。大好き。

そう言って彼女は経口補水液を「うまいうまい

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