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【町内会 顛末記】自治会長というのをやってみた 6

 雨上がりの代休。朝、コーヒーを淹れてから何をしてたろう。自転車で役所へ行って「文書配布委託料」と、先日つれあいが誰かから受け取った自治連合会付けの「活動費」のことを総務課で訊いた。

 「文書配布委託料」は市の広報誌や回覧物、ポスター掲示などに対するいわば「協力お礼金」のようなもの。「活動費」は市内の自治会をいくつかに束ねた地区(十数か所の自治会の集まり)の活動に対する「補助金のようなもの」で、本来は各自治体が集まって何かをするようなものに使うのだろうけれど、何もしていないところは地区会長の裁量で金額だけを振り分けているということらしい。

 これらはみな市から自治会長へ渡されるも ので、町会費として会計へ計上しているところもあれば、黙って自治会長のポッケに入っているところもあるらしい。窓口の人の話では、そんなふうに長いことやっていた会長が変わった際に10年20年分のこうした「文書配布委託料」などを返還しろと紛糾した自治会もあったらしい。うちの町では前会長さんは「文書配布委託料」は町会費に計上して、「活動費」だけは受け取り、けれどそこからちょっとした雑費を出していたようだからほぼプラスマイナス、ゼロだったと思う。

 神社への寄付負担が減って町会費が健全化してきたので、この「文書配布委託料」と「活動費」については、三役(会長・副会長・会計)と4人の班長に割合を決めて還元しようかという話も出ている。今後のことを考えたらじっさいにいろいろと手間もかかるし、あまり人がやりたくない役に対して心ばかりの手当てを設定しておくのも悪くないかも知れない。(→ 結局、面倒くさくなって、明朗会計でどちらも町会費に計上した)

漫画家・滝田ゆうが描いた昭和40年代、市内にあった旧遊郭街の風景

 わが町内は合計42軒。江戸時代の町割りのままなので、規模としては小さい方だと思う。現在はガレージや駐車場などになっている場所に、かつては三軒長屋の類などもあったと思われるので、むかしはもう少したくさんの人が暮らしていたかも知れない。

 この42軒のなかには経営者が一括して町内会費を払ってくれるハイツ(集合住宅)、自宅が隣町にあって倉庫がわが町にある個人商店のBさん、大阪在住で実家の空き家にたまにやってくるYさん(後述する町名解説板設置の場所を提供してくれたお宅)なども含まれていて、みなさん、町会費は払ってくれるが町会の活動には参加しない。他に古い二階建てのアパートが二棟あって、その住民の中には町会に参加してくれる人もいれば、町内会費だけは払いますという人もいる。対象は42軒だが、町内会の活動に参加してくれるのは実質32軒である。

 町内会費は月300円、年額3,600円。その他に資源ゴミ等の廃品回収の利益(段ボール、空き缶、古紙、古着など)、わずかだが町内にあるお地蔵さんのお賽銭、そして前述したような自治体からの「協力お礼金・補助金」としての「文書配布委託料」(市)、「県民だより配布委託料」(県)、「自治会等活動推進補助金」などの収益がある。

 支出の方は前述した神社への寄付、各種募金、消防団への祝儀の他に、こちらがほんとうの町内のための支出なわけだが、町内各所に設置した防犯灯の電気代(設備は市の資産だが、電気代は町で支払う)、地蔵尊の生花代及びお盆の行事費用、香典などがコンスタントな支出としてある。

 自治会長になって、さいしょの一年間の活動を終えて、総会用の説明資料として作成したのが上のエクセル表である。純粋な町会費だけの収入に対する寄付・募金・祝儀の割合がかつては82%を占めていたのが、23%に激減した。そのうち半分以上を占めていたH神社の割合も17%に下がった。募金についても後述するが、町会費からは出さずに各戸の任意としたので0%となっている。

 前年2017年度はかつかつだった収支が、上記の「身を切らせてもらった」改革によって10万円近くの余剰金が出たので、市の補助金なども活用して古かった町内の消火器や掲示板を買い替え、町内会用の口座開設のために印鑑も新調し、敬老の日に75歳以上の後期高齢者のお年寄りを対象としてプレゼントを配ったりしたのが、右端の「2018年度(最終)」の数字である。

 “若い娘をさしだせ”という会長指令第一弾は夢とついえたが、町内の会計改善は着々と容赦なく進んだのである。

 このあと、いよいよ寄付が壊滅的減額となったH神社、そして日赤募金等の協力依頼をめぐって「市日赤活動資金募集協力協議会」の衣をかぶった市の厚生福祉課・課長とのバトルなどをご紹介していく。


以下の内容で、連載を予定しています。
第一部 【町内会 顛末記】自治会長というのをやってみた
第二部 【町内会 顛末記】町内会を殲滅し廃墟の中から真実の自治組織の出現を待とう

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