京都の片隅で猫と暮らす/猫に散財(カメラ編)
猫が撮れない
フリーランスでフォトグラファーをしている。
ロケーションフォトを得意とする企業と契約を結んで、主にカップルさんやファミリーさんの撮影依頼を受けている。
仕事に使うのはCanonR6というミラーレス一眼レフカメラなのだが、レンズをつけると結構大きいうえに重い。(Canonの一眼レフの中では軽いほうですが。)自宅で猫を追いかけるには機動力も悪いし、大きなレンズを向けられるとししまるは逃げてしまう。SDカードに残るのはブレた猫やピンボケした猫や猫の足ばかりである。こいつは猫には不向きなカメラだ。岩合さんはあんなに大きなレンズであんなに素敵な猫の写真をたくさん撮影しているのに…自分を岩合さんを比べるなんて烏滸がましい。とにかく今のカメラではししまるは逃げる。
これは言い訳なのだけど、カメラが大きいと1回のご依頼で肩がやられ、帰宅後は家事をする体力すら奪われる。仕事ならそれも仕方ないなと思うんだけど、このカメラをもって趣味で撮影に行こうという気持ちが薄れつつもあった。
もう少し軽いカメラに持ち変えるべきか。でもフォトグラファーにとっての資産であるレンズはCanonで埋め尽くされている。これを下取りに出して全部を他のメーカーのものに買い替えるのはしんどい。またイチから操作やレンズの癖を覚えるのもしんどい。
コンデジどうでしょう
仕事とは切り離して、猫用・散歩用としてコンデジを持つのはどうだろうか。レンズを交換できないけど家の中ならズームも望遠もいらないし、焦点は35mmぐらいの固定でいいや。かつ、ちょっとプロも使ってそうないいコンデジを買おうかね。そう思い立って近頃流行りのコンデジを調べると「X100シリーズでしょ!」「GRシリーズでしょ!」という高級コンデジの2極にたどり着いてしまった。
フォトグラファーならここでカメラの機能を比較し、作例を見比べて、ほかのメーカーとも比較しつつ、今後発表される新機種も予測・・・すべきなのでしょうが、「X100Vのクラシカルなボディがめちゃくちゃかわいいやん!」と冷静さを失って富士フィルムのX100Vまっしぐらとなってしまった。
しかし、世は半導体不足時代。
CanonR6を買った昨年3月頃も半導体不足で危うく入荷半年待ちを喰らうところだったし(福岡にある最後の在庫を取り寄せてもらって解決)、車を買うときにはカーナビの半導体が無いとかで納車まで5か月待ちを喰らった。
そして、X100シリーズ最新機種であるX100Vも例外ではないようで、生産中止となっていた。つまり、今市場にある残り僅かな新品か中古を買うしかない。しかしその価格が跳ね上がっており、メーカー直販価格18万円ほどに対してアマゾンで新品を検索すると25万円くらいに跳ね上がっていた。中古でも18万・・・それもめったに出会えない状況だ。
GRなら市場にある。でも私の心はX100Vの可愛いボディーに首ったけだ。その日からマップカメラの中古情報に張り付きになった。すると仕事中に一瞬出品されてはすぐに売れていくという悔しい経験を何度もした。クリックできない(仕事中だし)!!悔しくてどんどん購買意欲が高まる。何としても欲しくなる。うおーっ!と思っていると、ポコッと「X100F」の中古がアップされた。
・・・F。復活のF。Vの前の機種かな?
富士フィルムX100F
X100FとX100Vを比較したサイトをいくつか見て回った。
X100Vに新たに搭載されたバリアングルやレンズを称賛する記事がいくつもあった。でもその横にコソッと「X100Fの写りも手放せない」というコメントもいくつもあった。VとFの間でレンズが大きく変わったらしい。メーカーの努力は素晴らしいのだけど、FまでのX100シリーズで使用されてきたレンズも素晴らしいものだったそうで、オールドレンズ感のある写りもX100シリーズの魅力だったらしい。ふむふむなるほどな。
私はちょっとクラシカルなデザインや雰囲気が好きだ。趣味で撮るためのカメラなのだし、写りもとことん趣味に偏りたい。ならX100Fでいいんじゃないか?そう思ってもう一度マップカメラのサイトを見ると、X100Fはもう誰かのものになっていた。くそうっ!!!!!!
そうしてX100Fを狙ってマップカメラのサイトに張り付くことさらに十数日。本来はシルバーが欲しかったのだがブラックが上がってきたときにもう待ちきれなくなり購入ボタンをポチッた。
猫とカメラ
こうして我が家に新しいカメラが届いた。
ケースも取り寄せてアダプタリングも買い、ケンコーのブラックミスト No.05も買った。外観も写りも自分好みに全振りである。
ししまるも逃げずにカメラに撮られてくれるし、大満足のお買い物だ。
さらには季節を楽しむ撮影にも持ち出すようになった。
先日は京都の西にある善峯寺のアジサイを撮影してきた。かなりの山の上にあり境内も坂だらけなので、数年前に秋の紅葉を撮ったときはカメラとレンズとカメラリュックが重くて膝がガクガクになったけど、コンデジ一つで身軽になった今回は境内を2周できた。ただ、まだまだ慣れない画角で苦戦はしている。広角も楽しんで腕を上げていきたいなと思う。外出の規制もなくなり、今年は各地でイベントやお祭りが従来の形で開催される。京都も祇園祭をはじめたくさんのお祭りがこれから待っている。いいタイミングでいいカメラを手に入れたなと、とても嬉しい。
こんな機会をくれたししまるに感謝である。
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