52. ショウづくり Visual編|"首を動かさせる"
Moromi Works™️
1|ぼくのショウづくり
20年以上、ミュージックとビジュアルの両方を担当して、ショウづくりをさせていただく機会を得てきました。
「何度見ても新しい発見がある」
「すごくシンプルなんだけれども、真似しようとしたら、できない」
「何度も観てしまう」
「一回では理解できない」
といった声を頂くことがあります。
最初は、自分の感覚を頼りに創っていた部分もたくさんありましたが、段々と理論で説明ができるようになってきました。
本稿では、少し大きな視点でヴィジュアル制作について記します。
2|情報量を増やす
マーチングのドリルを描き始めた頃から
一貫して考えてきたことがあります。
"情報量を増やす"
言い換えると、「常に複数のレイヤーが、常に同時進行している」ということです。
例えば、
- ハイブラスとローブラス
- ドラム / ブラス とガード
- ガード / ドラム とブラス
のような組み合わせが挙げられます。
わたしが描くドリルは、常に複数のレイヤーで動くものがあるのです。
(参考動画を観ながら ぜひ探してみてください)
3|メリット と デメリット
光と影があるように、何事にもメリットとデメリットが存在します。
私のドリルの描き方にも、当然あります。
⑴ メリット
- 複雑な組み立てが、奥行きを創る
- 何度も試聴する楽しさがある
- 謎解きのような、解釈の余白を創る
- 一回では把握しにくい
- 分かりにくさ/伝わりにくさ が生じることがある
- 真似されにくい
⑵ デメリット
- 分かりにくい / 伝わりにくにが生じることがある
- マニアックになりすぎることがある
- 複雑で把握しにくい
- 練習がし難いシーンがある
- 演者や現場の理解が追いつき難いことがある
- ドリルのクリーニングが難しくなる
メリットとデメリットを解消するために、
① 分かりやすいシーンに仕立てる
② 気づかれないくらい細くレイヤーを重ねる
③ 大味目に拍割を行う
④ 大胆に割り切って創る
⑤ シンプルなシーン / 複雑なシーン というようにシーンにグラデーションをつける
といった工夫もできるようになってきました。
(描き手にとって「調整できる」ことは重要なスキルです)
4|情報量の正体
西野亮廣氏がある番組で「ライブの価値/面白さ は首を動かして観るところがたくさんあること」と、話されていました。
全く同感です。
マーチングバンドショウの面白さも正に、
"画面に収まり切らないこと"
だと考えています。
私の描くマーチングドリルが「情報量が多い」と言われる理由は、この点にあります。
フロアの色々なところで多層的に動きが展開されると、観衆は首を動かして観ないといけなくなります。
つまり、首を動かして観ないといけない程の情報量があるということです。
"首を動かして観る"
これが情報量の多さの秘密なのです。
ぜひ、この視点をからも
- ショウをみる面白さ
- ショウを創る面白さ
を見つけていただければ、嬉しいです。
52. ショウづくり Visual編|"首を動かさせる"
[Moromi Works™️ ]
- Show Design and Coordinate
- Music Arrangement
- Drill DesignRehearsal Design
- Marching Consultant
沖縄県出身 / 東京在住
好きな食べもの:沖縄そば / タコライス
Blue Devilsでマーチ
多数団体にショウ制作や指導、大会審査員などの活動を行なっている。
Mail:moromi.works@gmail.com
[執筆希望のみなさま]
⑴「MEP™️」にご登録ください。(HP参照)
⑵ 後日、事務局よりご連絡致します。