マニア3

ハマりますか

好きすぎてたまらないんだよ~

そこにいる、全員から心の叫びが聞こえてきそうだった。「そこ」とは、いろんなマニアが集まるイベント。すでに3回めの開催だって、知らなかった…

○○マニアと呼ばれる(自称含む)人たちが一斉に集うフェス。

廃校になった小学校を再利用した施設で、かつて体育館だったスペースに机を並べ、出店スタイルでマニアが自分の世界を客に伝えていた。

一口に「マニア」と言っても、いろいろ。「○○マニア」の○○に入る一例を
紹介すると…

ゴムホース、花札、仏像、電線、顔ハメ看板、廃校、妖怪、鉄塔、ブッダマシーン、カラーコーン、宗教アニメ、片手袋、地獄、城の石垣、黒曜石、観音経、シャッター、離島、小屋、木のコブ、散歩、縄文、テトラポット、歩行者天国、壁、マンボウ、大喜利、文章分析、謎フード、明太子、たまごサンド、空想地図、架空CMソング、石ころ、サザエさんじゃんけん、茶漬け、チロルチョコ、大学お水、囲碁、イカ、路上のアロエ、野良サイン、路線図、マイナンバー、遊園地、狸造形、牛乳パック、台湾夜市、ジェットコースター、粘土、レトロ菓子本、台湾の団地、マイナー山、マイナー登山ルート…

まだまだあるが、「マニア」のニュアンスは掴んでもらえただろうか。

たとえば、「片手袋」マニア。

よく、路上に手袋の片一方だけが落ちていることがある。ゴミ清掃車両など、作業車両のどっかに挟んであったものが、走行中に落ちるパターンや普通に歩行者のポケットから落ちるものまで、様々。その片手袋の属性を系統立てて分類していた。

どの人も常人の追随を許さない、一つのジャンルに傾倒している熱い人たちばかり。(追随しようとは思わないけど)。会場は冷房が効いておらず、これまた汗が吹き出るほどの暑さだった。

気になる人たちとは、ついつい話し込んでしまった。熱を持っている人の話は、実に興味深い。なんて言ったって本物だから。常人からしたら「なんでこんなことに興味あるんだよ?」と突っ込まれるようなことに命をかけるくほどの熱。どこから湧き上がってくるのだろう?

必ず「どうして好きになったのか?」は、尋ねた。答えは、およそ「たまたま」「些細なこと」だったりするので、きっかけ自体にそれほどドラマ性はない。だけど、その人が歩んできた人生を分析すれば、なにか繋がる要素があるのだと思う。機会があれば、ひとりひとり掘りたいくらい。

もっとも、誰でも「ある食べ物」に、一定期間ハマってしまった経験なら、一度や二度あるのではないだろうか?

自分の場合、過去に、コカコーラ、ソーダガム、チュッパチャップスにハマったことがある。チュッパチャップスの時は、店頭に置いてあるレイアウト用のケース(筒状で中にチュッパチャップスが溜めてあり、下の隙間から出てくるやつ)丸ごと大人買いして仕事場に常設していた。

なぜ、人はハマるのか? 「なぜ」の理由も、厳密に「きっかけ」は、いろいろなマニアにヒアリングして出てきたように「些細なこと」であり、ハマったあとの、「ハマり続ける」ことも気になった。

とてもわかりやすいのは「麻薬」だ。一度手を染めるとやめられなくなる。やったことないけど。味わったことのないような快感を覚え、切れるとまたやりたくなるのだろう。つまり、永遠に満たされない状況に陥る。

麻薬をやったことある人は、少ないだろうが、不二家のネクターなら飲んだことある人は多いと思う。

あの飲み物は、喉が乾いた時に飲むと、喉の乾きが潤ったと思っても美味しいからまた飲みたくなる。もういいかな?と頭では思っていても、喉が欲するのでいつまで経っても満たされない、まさに麻薬のような飲み物だ。

いつまでたっても満たされない、つまり「充足」ではなく、「渇望」を引き起こすのが、麻薬の作用だ。なにかのマニアになるのは、この仕組みが近いと思う。

どこまでいっても満たされない。満たされないから、また追い求める。
ハマっていること自体が、快楽だから、やめられない。

このことで、気づいた。人間の三大欲求だ。一般的に、人の強い衝動を引き起こすものとして「食欲」「睡眠欲」「性欲」と言われている。あと他に「排泄欲」「集団欲」「金欲(物欲)」「権力欲」など、諸説ある。

食欲、睡眠欲、性欲は、ある一定レベルが充足されると、しばらくは安定する。なので、その基準からすると、排泄欲も入れていいのではないか。と、なると「四大欲求」と言えそうだ。

金欲、集団欲、権力欲、どれも充足ではなく、渇望だ。求めだしたらキリがない。

話を少し戻すと、麻薬について、興味深い実験がある。

ラットを2つのグループに分ける。一つのグループには、麻薬を注射して
狭くて身動きとれない場所に閉じ込める。もう一つのグループには、同量の麻薬を注射して、自由に動き回らせ、それぞれの興奮レベルを測定した。

結果、自由に動き回らせたグループでは、麻薬の投与回数が増えることに
興奮が高まっていった。

一方、閉じ込められたグループでは、強化作用はほぼ見られなかったという。

この実験からわかることは、麻薬を投与されたあとの環境だ。

自由に動けるかどうか=アウトプット

マニアイベントにあてはめると、自分の世界を表現して、他人の評価を得ることは自由に動き回ることと同じで、ますます元気が出てくる。
なので、あのイベントはマニアにとって、自分だけで完結するよりも、さらなるやる気を引き起こす格好の装置なんだな。

そういえば、今、毎日飲んでいる「ドリンク」がある。さまざまな栄養素が含まれているだけでなく、普通に美味しいので飲み始めたが、ややトロみがかった喉越し。あれは、不二家ネクターに通じるものがある。ヤバい。充足より、渇望でハマっているのかもれしれないな。

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