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光る君へ21話「旅立ち」

あの、あの。
ついに、枕草子が誕生。どうしたらよいのでしょう。半泣きになりながら見ていました。


1.前代未聞、中宮様の出家

中宮定子さまが突如として出家しました。
これはかなり衝撃的なこと。帝の正妻が世を捨てたという以上に、儀式を司る妃がいなくなったことを意味します。

中宮出家について夫婦漫才ばりの掛け合いを見せる宣孝とまひろが良い。道長、この二人の結婚を知ったらどんなリアクションをするんだろうなあ(にこにこ)。

泣きっ面に蜂というか、悪いことは重なるもので、今度は定子さまの実家・二条邸が火事になりました。
すでに尼姿となり、逃げるつもりがない定子さま。駆け寄る清少納言。
「私は生きながらに死んだ身である。そなただけ逃げよ」
と仰せになる定子さま。
あなたという人は…自分がつらいのに人を思いやってもう…

実はこのとき、定子さまは懐妊していたのです。
涙ながらに「お腹のお子のためにも、中宮さまは生きなければなりませぬ」と説得する清少納言。
主従を超えた、尊いシスターフッドですね。

2.枕草子の誕生

火事場から逃げ出して生き延びたものの、生きる気力を失い、食事も喉を通らない様子の定子さま。このままではお腹の子も危ういと、まひろに極秘に相談します。

まひろは、「以前紙を賜ったとおっしゃっていましたよね。中宮様を元気づけるため、それに何かを書いてみては」と提案をします。道綱母が、書くことで妾の悲しみを癒したと言っていたことが脳裏に浮かんだのかもしれませんね。伏線の敷き方がうまい。

清少納言はそれに背中を押されて筆を執ります。
「春はあけぼの。やうやう白くなりゆく山ぎは、少し明りて、紫立ちたる雲の細くたなびきたる」
こう記した紙を、定子の枕元に置きます。

この書くシーン、手元は吹き替えではなく演者であるファーストサマーウイカさんご本人が何度も何度も練習を重ねて撮影したのだとか。
この大河ドラマは、衣装もそうですが、筆や文字への力の入れようがすごい。ほれぼれします。崩し字の授業を取ればよかったな…

枕元に置かれた「枕草子」の原稿をこっそりと読む定子。演じる高畑充希さんは演劇をなさっているということもあって、鈴を転がすような声でした。
枕草子がもし本当に、「春はあけぼの」から書き始められたのだとしたら、これは様々な味わいがあります。

生きることに、現実世界に絶望した定子に、「この世界はこんなにも美しいのですよ。見捨てるにはもったいない」と語りかけているように思えます。

また、先日放送された「歴史探偵」では、「紫だちたる雲」というのは「紫雲」、つまり、徳の高い君主を意味する(才色兼備の定子を暗に示している?)という説が紹介されていました。
たとえ世を捨ててしまっても、中宮様、あなたは美しい。
そう賛美しているのかもしれません。

「『枕草子』は、たった一人の悲しき中宮のために書かれたのだった」というナレーションに、筆者の涙腺は黒閃レベルのクリティカルヒットを食らいました。
そして、「夏は夜」と続きを書く清少納言。その目の前を蛍が飛んでいるさまは、崇高さすら感じました。
まさか、枕草子で泣かされる日が来るとは。

今週のMVPは間違いなく清少納言です。
そうか。文学に、愛する人=「光る君」との輝かしい思い出を美しいまま閉じ込めるのですね。
道綱母にとっての光る君は、藤原兼家。
貴子にとっての光る君は、藤原道隆。
清少納言にとっての光る君は、中宮定子。
うっ…(目から温かいものが)。

多くの人にウケるように狙って書くよりも、大切なただ一人のために書いた文というのはいつの時代も人の心を打つのですね。

言ってしまえばサブキャラの清少納言が「枕草子」を書くところすらここまで涙腺にきたので、まひろが「源氏物語」を書くときはどうなっちゃうんですか?!期待していいですか?!?!
となっているオタクです。

朝ドラも大河もどちらも良作ゆえ、筆者の心は揺さぶられっぱなしです。生きる糧でもあるのですが、毎週この感動をお出しされては心臓が持ちません…

3.越前へ

まひろ・為時親子はついに越前へと向かいます。
その前に、道長に文を送るまひろ。
道長が来てくれました。
二人が別々の道を選んでから十年。時が経つのは早い。

「あの時お前と逃げていたとしても、お前を守りきれなかったと思う」と道長。
それに対して、「それも良かったのかも。この十年、あなたを諦めたことを悔やみながら生きてきました」とまひろ。

 もうファムファタールのそれ。せっかく自分を納得させつつあった道長くんがお終いになってしまいますよ…。

 そして、まひろは越前へと旅立ったのでした。国府に寄る前に、宋人たちの様子を見たいと館に立ち寄る為時。有能ですね。
宋人たちは、想像の3倍くらい落ち着いていませんでした。

 それを、宋の言葉で静める為時。
何がすごいって、この時期はすでに遣唐使が廃止されてから百年くらい経っていたのですよ。それできちんと通じる宋語を使えるというのがすごい。  

 そして一言も発さずとも多大なオーラを放つ松下洸平さんよ。次回はついに喋ってくれるようで、楽しみです!!


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