メモ式発想法を読んでみた

著者は北山準一さん
大手コンピュータ・メーカーでシステムエンジニアとして長年勤務した後に独立。現在、プロジェクトリーダーの経験と知識を活かし、特許関係の調査、業務改善ソフト開発を行っている。業務上の問題解決に限らず、仕事上の諸問題、人生の諸問題にもその都度正面から取り組んできた結果、問題解決の手順に共通するパターンを発見。その体験をベースに「誰にでもできる問題解決法」を構築し、基本的かつ実践的なメソッドを提唱しているのだそうです。

よかったポイントを個人的にリマインドしておきます。

日記を付けるのは豊かな発想を身に着ける手助けになる。その日の終わりに、まとまった自分の考え、うれしかったこと、悩んだことなどを日記に付ける。事実を書き、自分の気持ちを吐き出すと、一日中様々な情報にさらされた脳を整理できる。書くことにより出来事も整理され、体系化された経験として、記憶にも記録にも残すことができる。
また日記には、どうしても自分本位になりがちな味方を変え、客観的に見る視点を養う効果もあります。これは、発想を実際に何らかの解決方法に用いる際に、極めて重要なスキルとなる。

将来イメージを描く「依頼書」
発想の精度を高めるには、依頼書を詳しくします。それには「私はこの情報をもとに何をしたいのか?」というイメージを繰り返し問いかけて、潜在意識に自分の求めるものが何なのか、教えることが重要です。これを将来イメージと呼んでいます。

リアルに詳細に描き出すことで、潜在意識の加工の精度が上がります。潜在意識が出した発想が何に使えるかなど、意味がよく分からないことはよくあります。少しでも疑問があったら、質問をどんどんぶつけましょう。質問する相手は、他でもない自分自身、つまり自問自答です。自分自身に聞くということが、潜在意識への質問になります。

まず、原点から現在に至る経過を説明します。そして分かったことろ、分からないところ、そしてなぜ分からないのかを話し、次にそれが分かるための的確な質問へと組み立てます。

これには、質問力が必要です。曖昧な質問は曖昧な答え(ヒント)しか返ってきません。こうしたいという将来イメージと的確な質問こそが、潜在意識を正しく動かす依頼書となり、本当に欲しい発想が得られるのです。

これを自分自身に対してやることが、「自分に聞け」ということなのです。

制限枠を取り外す
①権威・形式、前例主義、しきたり
②習慣、こだわり、癖
③思い込み、先入観、マンネリ
④自己満足
⑤失敗と思い込むこと
人は苦しいことが続くと、つい弱気になり、目先の辛い状況からとにかく抜け出したいと思うようになります。そういった状況下では、成功に近づいている時でも、予想に反するちょっとした出来事に遭遇すると、心が先に折れて、「もうダメだ。やめよう!」と諦めてしまいがちです。ここまでやったんだから自分を褒めてやろうと、諦めるための正当な理由を考えてしまうのです。失敗とは、自分が諦めたと判断した時が失敗になります。諦めなければ失敗ではなく、成功への一つの通過点に過ぎないのです。「諦め」という心の罠に、はまらないようにしましょう。

チェックリストで自分の視点を確認する

[検討用のチェックリスト]
転用:
他の用途に使えないか?
応用:他に応用できないか?
変更:色、形などを変えたら?
拡大:大きくしてみたら?
縮小:小さくしてみたら?
代用:他のもの代えてみたら?
再利用:他への利用はあるか?
逆転:逆さ、裏表、順番を変えたら?
統合:複数のものを合わせたら?

[問題を捉える]
範囲:考えている範囲は 広すぎないか/狭すぎないか?
視点:すべての関係者の立場から見たか?第三者、社会から見たらどうか?
理解:分かるところまで図解で分解できたか?
ポイント:重要な点はどこか?基本要素はどれか?
類似:抽象度を上げてモデル化できるか?過去におなじようなものはないか?他の業種、自然界、動植物界で同じようなものはないか?
不明:見えていないものは何か?

7つの要件で問題の全体像を把握する

①経緯
問題が発見された状況、本来あるべき状況に対しどんな変化が生じたのか、その後、別の何らかの変化があったかなどを記録する。これをすることで、概要の整理になり、後の項目を書きやすくなる。

②目的(何のために)

目的は、問題解決の方向を定めるコンパスとして働き、分析や解決策に向け、発想力に方向性を持たせることができます。個人の問題ならば対処しなければならない理由を自問し、依頼者がいる場合ならば、何のための問題解決かをその人に尋ねます。問題解決の担当者と依頼者では、立場の違いから、目的が異なるケースがほとんどです。あなた自身が理解した目的が依頼者の意図に即しているか質問を繰り返して、あなた自身が納得のいく目的を見つけましょう。そうすれば潜在意識のやる気も高まります。

③内容(何を、どうするか)
次に問題の「何をどうするか」を明確にします。ただしこの段階では、「何」の部分はまだ明確になっていません。先ず問題を要約するキーワードをかきとめ、そのキーワードを自分ならどうするかつもりかを考えます。この時、問題の本質をつかもうという意志がないと、あいまいで汎用的な内容にしてしまいがちです。どの程度具体的な内容にすればいいかというと、目標として到達点をリアルにイメージできるものが良いでしょう。

④優先順位
次いで、問題解決の重要度・緊急度のレベルを決めます。これは、スケジュール上、他の仕事とぶつかった時に、どちらを選択するか判断する指標となります。それぞれ5段階評価を行います。
<重要度>
⑤事業の根幹にかかわる
④会社全体の業務に支障が出る
③部課クラスの業務に長期の支障が出る
②部課クラスの業務に短期の支障が出る
①支障はあるが軽微かつ短期
<緊急度>
⑤すぐやらないと重大な支障が出る
④期限間近で、破ると支障が出る
③期限間近だが、破ってもフォローできる
②期限は先だが、日程にゆとりがなり
①日程にゆとりがある

⑤目標/成果物
目標とは、問題解決で得られる成果です。目的が問題解決が進む方向を示すのに対し、目標は到着点を表します。目標が明確ならば、そこに至った時点で問題解決を終了できます。成果が得られれば終了、想定する期限までに得られなければ、失敗と阪大して終了するか、期限を延長し、新たな仮説を立てて再アプローチを試みます。これがないと、延々と実施し続けたり、中途半端は状態で終了してしまい恐れがあります。目標には具体的な達成項目を選びます。例えば数値やある条件をクリアするなど、第三者にも容易に判定できるものでなければいけません。目標を定めたら、それが必ず達成しなければならない必達(MUST)なのか、希望(努力目標 WANT)なのかを明らかにします。必達の場合は何をもって達成するのかを決め、希望ならば、許容範囲を決めておきます。

⑥期限(いつまでに)
目標が決まったら、いつまでに達成するか期限を明確にします。ある日付をピンポイントで設定するのがベストですが、大まかでも月単位の期限を設定します。私たちの日常として、具体的なスケジュールがないと、なかなか実行に移れません。適切な期限を決めることにより、初めてスタートできるのです。期限を決めれないのは論外。また、決めても余裕があり過ぎるのは、決めないのと同じです。

⑦守るべき条件
問題解決にあたって守るべき条件を明確にします。予算、取組に割ける人員の数と顔ぶれ、実行可能な方法、使える機材などがあげられます。抽象的な条件でも、守るべきものがあったら、提示します。例えば、「社内の人に知られないように進めること」などです。

真の問題を洗い出す手順

①見方を設定する
・依頼者の視点になってみる
・害を被った人の視点に立ってみる
・解決すると利益を得る人の視点に立ってみる

②要素に分けて図解する
・問題の要素を洗い出す
・それぞれの関係を線で表す

③類似モデルを探す
・似たような問題が社内で起こったことがないか
・似たような事件がニュースになったことはないか

[原因と現象を混同しない]
真の問題を見つけ出す際に注意したいのは、問題によって生じた不都合な現象に目を奪われ、原因の追究が中途半端になること。そこから以下のような間違いをしがちです。
①現象を原因と思い込み、真の原因を見つけない
②すべての現象に個別対策してしまう
③当たり前のことを原因にして深堀りしない
例えば、「営業成績が悪い」というのは、問題に伴う現象なのですが、これを原因と思い込むと、「営業成績を良くする」を真の問題としてしまい、それ以上問題を掘り下げないため、以後の解決策はピント外れになってしまいます。なぜを繰り返し、元になっている真の原因までさかのぼることが大切です。





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