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2024J2第1節 大分VS仙台 振り返り

シーズンプレビュー


はじめに

2024年のJリーグが開幕しました。仙台の開幕戦の相手はアウェイで大分となります。
詳しい事は開幕前のプレビューに書かせていただきましたが『新たな歴史を創る1歩目』となるシーズンに今季はしたいですよね。ですからこの開幕戦では「昨年と良い意味で変わったな」「こんなチームにしたいんだな」という部分を感じ取れると良いなと思っています。勿論勝利も欲しいですけどね。
大分は片野坂氏が3年振りに監督に復帰。後ろからボールをしっかり繋ぎつつ、大分を退団してからアップデートしているようでハイプレスも仕込んでいると報道で目にしました。どちらがキャンプで仕込んできた事をやり切れるかの勝負になりそうです。

メンバー

☆仙台

新加入選手に絞ると、スタメンを勝ち取ったのは両SBの2人。
昨年リザーブに甘んじていた蒼生・情滋も開幕スタメンに名を連ね、キャンプで好調さが伝えられていた元彦や相良の名前も。
ベンチには外国人2人と怪我明けの郷家・鎌田らが入りました。

★大分

GKは西川がアクシデントだったんでしょうか、2時間前の発表では名を連ねていましたが1時間後に濱田へ変更の報。
また、本来CBの選手であろう藤原が右SBでスタメン。1トップにはスピード系の宇津元が入りました。

得点経過

前半40分 仙台先制 相良竜之介
後半38分 大分同点 長沢駿

仙台の得点は大分がDFラインでのボール回しの中でGKに戻し、濱田のミドルキックが情滋に渡ってしまった事で生まれたもの。
情滋はカットインで中央に侵入すると左45度の相良へ渡し、相良はフェイントを入れながら相手のプレッシャーを外し、上手いタイミングで放ったシュートがネットを揺らしました。

大分の得点はゆっくりとしたビルドアップから下りてきた中川が引き取って、中川からの横パスを前向きで受けた保田が仙台のDFラインを引き裂くスルーパス。完全にオフサイドでしたが副審はスルー&残念ここはJ2でVARも無く、左サイドを抜け出した薩川が折り返して長沢が合わせた形でした。

試合を観ての感想

保持局面

仙台は後ろからパスを丁寧に繋いで前進する事はあまりせず、この試合では仁斗らを目掛けてシンプルに蹴っ飛ばしたり、相手のSB裏に情滋や相良を走らせるような長いボールを送ってからのアクションが多かったですね。
勿論大分のプレッシャーが緩い時は蒼生や長澤を経由しつつ、元彦にボールを入れて前進する事もありましたが、印象としては圧倒的に長いボールの方が残っています。
ゲーム前から「攻撃の連携面はまだまだ。ハイプレスで奪った勢いそのままに相手ゴールに迫れれば…」と選手も監督も仰っていたので、リスク回避でまずはシンプルに相手陣に雪崩れ込んでいく、奪われたらみんなで奪いに行くという形を取ったのでしょう。連携の成熟度は勿論ですが、出ていた選手のキャラクターや経験値等も考えると妥当な選択だったと思います。鎌田や郷家、ヤスらが頭から出ていたらまた違ったものになるのでしょう。

選手のキャラクターという意味では、キャンプ時に「DFラインの裏を狙っていく」と言っていましたが、どうしても仁斗ー元彦だとそれは厳しいですよね。龍之助も仁斗のようなタイプでしょうし、ヤスも元彦のようにMF的な動きになるでしょうから。エロンと西丸がどんな選手なのか見てみたいものです。今回はちょっと仁斗が孤立気味でした。これは追々…。

それでも、相手より『ゴール期待値』と『シュート数』で上回れた事は大収穫でした。ボール支配は大分の方が上でしたが、本質的にはよりゴールを脅かせたのではないかなと思います。あくまで数的データですが。

非保持局面

キャンプから昨年足りなかった「走り切る」だの「狩りに行く」だのを強化していた中で、その一端は十分に披露出来ていたのではないかと思います。特に前線の選手のプレスバックや2度追いするシーン、ピンチの際に体を張る等失点減へ絶対必要なプレーが多数見受けられました
昨年のこの時期もアキラが失点減への取り組みをしていました。5バック化やゴール前で体を張るといったところです。ただこれは『自陣ゴール前に人垣を作る』といった戦術とも言えないようなやり方で「守れるのは良いが、攻撃に出て行けない」という悩みが次に発生し、次第にこの守備意識は薄れていきました。
この試合ではFWが相手のボランチを消しながら(中央の選択肢を消しながら)DFラインに睨みを利かせたり、サイドへ誘導して奪いに行ったり、チームとしての守備戦術になっていたと思います。

但し、もうちょっとセカンドボールを拾いたかったなというのが本音です。ボール支配率で大きく下回ったのも、もっと言うと追い付かれたのもこの辺りが原因だと見ています。
前半もそうでしたが、後半は時間経つにつれて前半よりも更に拾えなくなっていました。そうなると守勢に回されますし、精神的にも体力的にもどんどんしんどくなってきます。もっと拾えれば攻撃の時間も増えますし、当然チャンスの数、得点の機会も比例して増えてくるでしょう。このスタイルでやるなら、必須の課題かなと思います。

それと昨年からの変化という部分で、セットプレーの守備がマンツーマンになりましたね。最終盤のFKはゾーンでしたが。どことなく森山監督=マンツーマンっぽいですけどね。

この試合では執拗に大分が石尾のところを狙ってきました。正確には石尾と菅田の間のスペースから侵入してのグラウンダークロス攻撃です。石尾がデビューという事で穴だと思ったのでしょうか。確かに破られて危ない場面もありましたので、あそこの関係性は確認事項でしょうね。
そういえば大分は56分で3枚替えをしてから、投入した長沢目掛けてのクロスが露骨に増えました。あれは普通に跳ね返せていたんですが、監督も仰っていたように失点の場面だけ真ん中を割られてしまいましたね…。

選手個々人について

目に付いたのは言うまでもなく情滋。スピード感は維持しながら髙田とのコンビネーションやカットイン等、プレーに幅が広がってるなと感じます。
守備時の振る舞いも大きく改善されており、これは絶対的なレギュラーになる日も近いのではないでしょうか。

石尾も素晴らしかったですね。3バックの左も出来るとあって守備対応もなかなかでした。期待通りドリブルで運んで局面を打開するシーンもあり、ビルドアップで詰まっても技術で崇兆のように剥がせる期待感があります。更に何気にキックの質も高く、情滋への長いフィードも時折見せていて攻撃に彩りを加えてくれそうです。仙台大偉大すぎ。

蒼生は1年遅れのデビューとなりましたが、ボール奪取といった彼の良さは出せていました。失点のとこだけ中川に食い付いて中央を空けてしまいましたが、さすがにデビュー戦であの時間帯は頭も体もヘトヘトだったでしょうか。それでもフル出場して十分すぎる出来でした。

総評

このゲームを勝ち切るためには『守り切る』より『追加点』でしたね。鎌田から郷家のところとか、元彦のループ、その後の龍之助のシュートのとこ。何とか1本決めて2-0にしたかったです。

それと交代選手の役割と言いますか、今日は「普段スタメンだけど、調整遅れでベンチスタートです」的なキャラクターが多かったのでなかなかゲームの流れを落ち着かせられなかったですね。先にヤスとかでも良かったのかなとか、ちょっと首脳陣も思う部分はあるでしょう。

それでも正直、思ったより良い出来だったと思います。内容も結果も。今回はアクシデント的な感じやセットプレーじゃないと得点出来ないかなと思っていましたから。
元々言われていた守備の部分・走る部分は確かに大きく改善に向かえていました。そこを一番見たかったので嬉しかったですね。何より「この方向性でいこう!」って思えたのが良かったです。

アウェイで勝ち点1、普通に悪くないと思います。自動昇格や優勝を考えるなら2点目を取って逃げ切りたかったですが、1からチームを作ってのプレーオフ狙いなら十分ですかね。少なくとも批判より「いいよいいよ!次次!」って感じでポジティブな言葉で前へ進んで良い試合でした。

あとは若い選手の躍動ですかね。今季のテーマでもあります。蒼生と情滋と石尾の戦力化、これはクラブを大きく前進させます。多少出来が悪い試合があっても使い続けてほしいです。森山監督が一番分かっているでしょうし、やってくれるでしょう。

次節に向けて

次節は再び九州アウェイ、中5日で長崎との対戦です。
何と言っても昨年J2得点王のファンマという明確なエースストライカーがいますから、彼と菅田の大バトル次第です。組み立てについては中盤で名倉がポイントになって相手を押し込んでいくようですね。個の力が非常に際立つ長崎相手にどう戦っていくのか、少し楽しみでもあります。
何とかドロー以上で帰ってきてもらえると、ホーム開幕戦も盛り上がってくるので頑張ってほしいです!

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