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4月のきみへ。

寒くて、吐く白い息がもくもくしていた季節も終わり、

気づいたら薄ピンク色の桜の花びらが絨毯の様に道に落ちていた。

そう、それは春になった証拠。


晴れた青い空を見上げ深呼吸すると、春の匂いがした。


新しいスーツを着て、ピカピカの靴にA4サイズの書類がスッポリ入るカバンも持ち満員電車に揺られる。

やっとの思いで到着した駅を出ると、そこには大きく聳え立つビルが並んでいた。


‐ここが私の新しい居場所。


その時、同時に色々な感情で胸がいっぱいになった。

ポツリと呟く。


「上手くやっていけるかな・・・」


そして入社式や数日間の研修も何とか終え、

日々新しい仕事を覚える毎日。

思っていたより仕事は全然難しくて、思わず学生だった頃を思い出す。

「あの時は楽しかったな」


”自分は学生だ”といえば、なんだって許された気がする。

大きな責任だってなかったし、笑って誤魔化すこともできた。

でも、今は違う。

仕事でミスをすれば「申し訳ありません。」

お客さんに理不尽なことで怒られても「申し訳ありません。」


相手の顔色をうかがってばかりいる毎日。

迷惑かけてないかな、嫌われてないかな、


気づいたら、自分の口癖は

「申し訳ありません」「すみません」

ばかりになっていた。


そしてある時ふと気づく。

-いつからこんなに謝っていたんだろう。

心も体もぼろぼろになって、やっと自分の限界を超えていたことを知った。

もう、辞めよう。


ある日、気晴らしに出かけた先の本屋さんで何となく表紙に惹かれた1冊の本を手に取り、適当にページを開いた。

そこに、書かれていた。


「あなたは自分の為に生きて。」


その瞬間、救われた。

真っ暗な世界で出口を見つけようと必死にもがいていた自分の手を誰かがそっと握ってくれたようだった。


上司や同期に好かれるために仕事するのではない。

評価されようと自分の身を削ってまでそこに居なくていい。

もっと自分中心になっていい。

自分が幸せになるために生きればいい。

自分の居場所くらい自分で決めてやる。


何かに出会い、何かと別れたあなたはきっと今までよりもっと強くなった。

怖がったりすることなんてない。


4月の君へ

これからは、自分のために生きよう。

そして、誰よりも幸せになろう。





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