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充実した生を送るための死の準備方法

生きているものはみな「死」と隣り合わせです。

それを理解している人が現代ではどのくらいいるでしょうか。

死ぬことなんてまだまだ先のこと。
死ぬのは怖い。

このように考えている人におすすめしたい本が、『夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神』です。


この本は、主人公が3ヶ月の余命宣告をされるところから始まります。

再検査の結果を聞きにいくと、予想もしていなかった余命宣告。

自分が死ぬなんて考えは毛頭なかった主人公は、死を目の前にして恐怖や後悔に襲われます。

そんな主人公の元に現れたのが、夢をかなえる神様として知られているガネーシャです。

主人公は幼い子供が1人いる3人家族で、残していく家族のためにお金を残したいとガネーシャに話します。


ガネーシャはそんな彼に課題を出していき、その課題をこなしていくことで彼は死に対しての考え方が変わっていきます。

この本ではガネーシャのほかにも、死神がちょっとした課題を出してくれたり、人は死に直面した時にどのような感情・行動になるかを教えてくれます。

たとえば死に際に人が後悔することは以下のことだそうです。

  1. 本当にやりたいことをやらなかったこと

  2. 健康を大切にしなかったこと

  3. 仕事ばかりしていたこと

  4. 会いたい人に会いに行かなかったこと

  5. 学ぶべきことを学ばなかったこと

  6. 人を許さなかったこと

  7. 人の意見に耳を貸さなかったこと

  8. 人に感謝の言葉を伝えられなかったこと

  9. 死の準備をしておかなかったこと

  10. 生きた証を残さなかったこと


どれもこれも、すぐに行動を移していたら防げていたものばかりです。

でもいつか伝えよう、いつかやろうと思っている間に、死は刻一刻と近づいてきています。

いつかはもう来ないかもしれないのです。

そして私がこの本をお勧めしたいと思ったきっかけは、コロナ禍に入ってから向き合った2つの死の存在です。

1つ目は2020年になくなった愛犬の存在です。

彼はおそらく、過去の病気が再発して息を引き取りました。
異変を感じてからわずか半年ほどのことです。

彼は私に、愛するということを実感させてくれた存在です。
私は彼の病気があろうとなかろうとずっとそばにいて、たくさん思い出を作ってきました。
きっと彼にも伝わっていただろうと思えるほどに、私は自分が持ちうる愛情を全て注ぎ行動したと感じています。
そんな彼の死を覚悟した時はすごく辛かったですが、今まで通り愛し、死の準備をすることが彼のためになると考えたので、冷静になることができたのかもしれません。
おかげで彼と過ごす時間は充実させることができ、亡くなった後はすごく愛に溢れたお葬式を行うことができました。

そして彼に愛を注いだ私は、先述した死神の後悔を6つ減らすことができたと思います。
死神の後悔は自分に対してだけではなく、大切な人の死に対しても適用できる内容だと思います。


2つ目は今年亡くなった祖母の存在です。

彼女も大きな病気の再発により、息を引き取りました。

彼女は生前なかなかやりたい放題で自由な人でした。
子どもである母や叔母たちにはたくさん苦労もあったようです。
そんな祖母はたくさんの人に愛され、苦労したはずの子供たちや孫も彼女を愛していました。

彼女は病気のせいでたくさん辛いこともあったと思うけれど、“楽しい人生だった、後悔はない”と生前話していたそうです。

先述した通り、彼女はやりたいことをやり、言いたいことを言っていました。
その行動・言動には嘘がなく、そのおかげで彼女を好きでいる人たちだけが周りに集まってきていました。

そんな彼女は、死神の後悔が何一つなかったのではないかと思います。

私も、私が彼女に対してできることをやり尽くしたので、後悔はないです。


この2つの死の存在のおかげで、死に対して怯えず後悔しない生き方を、身を持って体験したような気がします。

2人に対して寂しさはあれど、後悔は全くありません。


この経験をした上で、この本を読んでまた学んだことがありました。

後悔しない方法は彼女たちのおかげで学ぶことができましたが、自分が死んだ後の準備に対してはまだ学べていなかったということに気づきました。

祖母の生き方はすごく学びになったけれど、彼女が亡くなってからの手続きでは生前彼女がやっていてくれたらとても助かったということがたくさんありました。

それらを対処している母や叔母を見ていると、ここで手を取られてしまっては彼女たちの貴重な時間を費やすことになるのだなと感じました。

ガネーシャの課題の中には後悔をなくすための手段の中に、残していく人たちに対して今の自分ができることもたくさんあります。

私たちが死に対して恐怖を抱く前に、その恐怖に向き合って今できることを考えていくと、自ずと恐怖は薄れていくと思います。

これは私が愛犬の死の準備をした時に感じたことです。
この経験で私は20代ですが、すでにエンディングノートの準備や、ほかの終活を始めています。

生きているものは必ず死ぬ。
これだけは皆に平等に与えられていることです。

それならば平等に与えられたものの中で、自分がどう生や死と向き合うことができるかを、この本は教えてくれます。

最後に、この本の中で出てきた言葉をご紹介します。

『死の準備をするということは、充実した人生を送るということだ。人生の充実によって死の恐怖は和らぎ、安らかに死を迎えられる』(19章主人公のブログより)

ロシアの文豪、トルストイの言葉だそうです。
身をもって経験した私だからこそ、この言葉にはすごく共感します。

今を精一杯生きるために死に向き合う。
そしてそのことが死に対しての恐怖を少なくしてくれると考えます。

どんな方にも『夢をかなえるゾウ4 ガネーシャと死神』は、学びになる本だと言えます。
読んでみて、少しでも後悔がなくなる充実した人生を送っていただけると嬉しいです。

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