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世界の砂糖消費が過去最大に 生産も高水準

米農務省(USDA)は2023年5月25日、2023~24年度(主に5~4月、国によって違いあり)の世界の砂糖消費量は前年度比2.3%増の1億8004万5000トンと、過去最高を更新するとの予測を公表しました。世界最大の消費国であるインドやパキスタンで一段と増えると見込んでいます。

一方、生産量は6.0%増の1億8788万1000トンと6年ぶりの高水準となり、ブラジルやインドの増産により、世界全体の消費を上回ると予測しています。食品や燃料向けに需要は増加傾向が続いていますが、生産も当面は堅調に推移しそうです。

砂糖は、サトウキビやテンサイから製造されます。サトウキビはブラジルやインド、中国、パキスタン、タイ、インドネシア、オーストラリアなど、比較的温暖な地域で多く栽培されています。テンサイはロシアや欧州、米国、エジプト、ウクライナなど比較的寒冷な地域で多く栽培されています。米国や中国のように地域によって両方生産する国もあり、日本でも北海道ではテンサイ、沖縄や九州ではサトウキビが作られています。

2023~24年度の砂糖の生産量の予測を国別にみると、ブラジルが10.4%増の4201万トンと2年連続で首位で、2位のインドが12.5%増の3600万トンと続いています。両国は近年は激しい首位争いをしています。

砂糖の価格が堅調であることから、ブラジルでは農家がサトウキビの作付面積を増やした上、天候に恵まれて単位面積当たり収量(単収)が増えるため、砂糖も大幅な増産になるとUSDAは予想しています。インドも作付面積と単収の両方が増えると現時点では見込まれています。

3位の欧州連合(EU)は3.9%増の1547.5万トンの見通しです。前年度は干ばつのためテンサイが不作となり、9.7%減と落ち込みましたが、今年度は好調な生産が見込まれています。

以前に触れた通り、欧州司法裁判所(ECJ)がネオニコチノイド系農薬の例外使用を認めない決定を下したことで、フランスは大幅な減産を迫られています。しかし、ポーランドやスペイン、ルーマニア、スロバキア、ハンガリーでは作付面積が増えるため、EU全体では「砂糖危機」に陥るような事態とはならず、むしろ増産の見通しです。特に安価なウクライナ産穀物の流入に苦しむポーランドでは、トウモロコシや小麦からテンサイに切り替える動きが広がっているようです。

消費量をみると、首位インドが5.1%増の3100万トン、EUが横ばいの1700万トン、中国が0.6%増の1560万トン、米国がほぼ横ばいの1149万9000トン、ブラジルが0.4%増の954万2000トンの見通しです。ブラジルではサトウキビはエタノールに加工されて自動車の燃料としても多く使われていますが、今年度の砂糖向けとエタノール向けの比率は48対52(前年度は45対55)とUSDAは予測しています。

砂糖の輸出量は9.1%増の7210万4000トンで、このうちブラジルが14.9%増の3239万8000トンと、世界全体の45%という圧倒的なシェアを占める見通しです。2位以下はタイが9.1%増の1200万トン、インドが7.7%増の700万トン、オーストラリアが10.1%増の360万トンと続いています。

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