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【落ち着かないといけないからさ】鍵紛失事件


用事を終えて帰宅した彼が、
「まにょちゃんやばい、家の鍵落としちゃったかも」と。


事情を聞くと、
帰りに最寄りのバス停で降りた時に鍵がないことに気付いたと。出かけていた4時間の中で、いつどこで落としたのか全くわからないらしい。


徒歩と電車で移動したらしいので、とにかく先に警察署とJRに電話しようと伝えると、

「うん、電話するね・・・あ、まにょちゃんこれ食べな(๑╹ω╹๑ )
俺これ好きなんだ(๑╹ω╹๑ )」

といって、たこ焼きと菓子パンを私にくれた。


お出かけしたついでに私のお昼ご飯とお菓子を買ってきてくれるだなんて・・・としみじみ彼の優しにありがたみを感じたいところだったけど、私は鍵のことが気になって気になって。


たこ焼きを食べながら、彼が立ち寄った場所の最寄りの警察署の連絡先を検索する私。



だけど彼は、

「う〜ん、たこ焼き買ったところでレシート捨てたから、そこに一緒に捨てちゃったのかなぁ(๑╹ω╹๑ )とりあえずNetflix見るね(๑╹ω╹๑ )」



とりあえずのNetflixとは。




いや・・・とりあえず電話では・・・?とも思ったけれど、


本当に


(๑╹ω╹๑ )


こんな顔してNetflixを見るものだから、なんだか拍子抜けして。


私が何か落とし物をした時は、
もう焦って焦って気が気じゃなくて。ずっとスマホ片手に色んなところに電話しまくって、不安にかられて・・・・となるから。


(๑╹ω╹๑ )こんな顔してNetflixを見る彼が、とっても不思議だった。
笑うところではないんだけど、少し笑ってしまった。


自宅の鍵を紛失するという重大事件が起こっているにも関わらず、いつもと変わらない様子で過ごしている彼。
なんだか私も逆に落ち着いて、どこからどう連絡するべきか、しっかりと調べることができた。



「さっ(๑╹ω╹๑ )そろそろ連絡しますか(๑╹ω╹๑ )」


といって、まずはたこ焼き屋さんに連絡する彼。


「ないらしい(๑╹ω╹๑ )」



残念である。



その後も、彼が立ち寄った本屋さんや最寄りの警察署に連絡するも、
鍵はどこにもなかった。



JRは全く電話が繋がらなかった。
仕方がないので、落とし物を探すチャットサービスで紛失登録を行った。

「返事明日になるかもしれないんだって(๑╹ω╹๑ )
待つしかないね(๑╹ω╹๑ )」


なぜこんなにも焦りが見えないのか、本当に不思議である。



その日の夜に少しお出かけしたんだけど、

「落とし物にご注意ください」のチラシが貼ってあって、そこに、スマホ、傘、鍵のイラストが書いてあって。


まずい・・・今これを彼が見るのは・・・・・・っと焦る私をよそに、
そのチラシを見た彼は、



「鍵の落とし物(๑╹ω╹๑ )ぴえん(๑╹ω╹๑ )」



えらい能天気である。



今の状況を「ぴえん」と言いながら笑う彼を見て、
私は彼が夫で良かったと思う。

これから何かもっと大変なことがあっても、
この彼の穏やかさがあれば大丈夫だな、心強いなと思う。

鍵をなくすだなんて事件が起こると、1人じゃ不安に押しつぶされてしまうけど、彼といるときっと大丈夫だと思う。


「大丈夫、あなたは日頃の行いがいいからきっと見つかるよ。」と彼の背中をさすってあげることができる。



翌日、JRから連絡があった。
おそらく彼のものと思われる鍵が見つかったとのこと。


「まにょちゃん〜(๑╹ω╹๑ )!!!俺の鍵あったっぽい(๑╹ω╹๑ )!!!!」


と、嬉しそうに報告してくれる彼。


だから言ったじゃん、日頃の行いがいいからきっと見つかるって、と笑いながら返事をすると、



「まにょちゃん俺が昨日Netflix見だしたのびっくりしたでしょ!!!!!!!!!!(๑╹ω╹๑ )」と。




・・・え、うん。それはそれはびっくりしましたよ。
だって鍵無くしたって気づいた直後にNetflix見るんだもん。
そりゃメンタルどうなってんだってびっくりするでしょうに。



「びっくりしたでしょ〜(๑╹ω╹๑ )
俺ね、こういうことが起こるとすごい焦っちゃうからさ(๑╹ω╹๑ )
焦って色んなことするとろくなことないじゃん(๑╹ω╹๑ )
だから、自分を落ち着かせないと!!と思って、Netflix見たんだ(๑╹ω╹๑ )
俺えらいでしょ(๑╹ω╹๑ )(๑╹ω╹๑ )(๑╹ω╹๑ )」




あぁ、やっぱり。


やっぱり彼も焦ってたんだな。

全く焦る素振りが見えなかったけれど、
それは私に見せなかっただけで。

彼はこの二日間、本当に気持ちが焦ってしんどかったんだと
その時になってやっと気づく。

そりゃそうだよね、家の鍵無くしたんだもん、そりゃ焦るよ。

わざと私に焦る素振りを見せなかったんだね。


無くした日の夜も、
すやすやと眠りについていたけれど、多分眠りにくい夜だったんだね。

JRの紛失登録行った後、
しきりにメール来てるかスマホ確認してたもんね。

朝起きてすぐメール来てるか確認したもんね。
ご飯食べた後もすぐ。



「あ〜〜〜(๑╹ω╹๑ )!!鍵見つかったからまにょちゃんの手伝いもはかどるよ(๑╹ω╹๑ )!!!!手が軽やかに動くもんね(๑╹ω╹๑ )!!!!」と、ダイニングテーブルを拭いてくれる彼。


彼が、ずっと幸せでいて欲しいと、
できるだけ不安になることが、悲しくなることな少なくあって欲しいと、
私がその役割を果たせたらと、
心から願ってしまう可愛さだった。


大丈夫、
あなたは日頃の行いがいいから
きっといいことばかり起こるよ。



今日も彼は、


「鍵はここにしまう(๑╹ω╹๑ )!!!!!!!
俺注意深くなったでしょ(๑╹ω╹๑ )!!!!!!!!!!!」と言って、
仕事に出かけました。



いってらっしゃい。
今日もきっと、いい日になるよ。


まにょ。

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