険しい道を越えて

ミュージカル『モーツァルト!』――タイトルの通り、モーツァルトの生涯を描いたミュージカルである。 シルヴェスター・リーヴァイ作曲、ミヒャエル・クンツェ脚本という、『エリザベート』と同様のタッグにより制作され、世界初演は1999年のウィーン、日本初演は2002年であった。

この『モーツァルト!』の第一幕において、モーツァルトのパトロンであるヴァルトシュテッテン男爵夫人が歌う「星から降る金」という曲がある。
劇場でも映像でも、何度も何度も観返し、聴き返した。私はずっと香寿たつきさんバージョンを観ていたから、彼女の歌う映像も音楽も頭の中でセルフ再生出来るほど。
何回観ても、涙が出てくる。


私は臆病で小心者である。
環境や自分を変えたいと思っても、行動に移す勇気が出ない。これをすればより良い方向に進むかもしれないと思っても、結局それをする勇気がでない。行動して失敗したらどうしよう、という不安と恐怖に負けてしまう。

「夜空の星から降る金を探しに知らない国へ なりたいものになるため星からの金を求め一人旅に出るのよ」
「夜空の星から降る金を探しに世界の果てへ 望むように生きるなら星からの金を求め一人旅に出るのよ」
香寿さんの包み込むようであり力強くもある声で歌われるこの歌詞を聴くと、心の揺らぎが落ち着いて、安心する。

一歩踏み出す勇気が出ないとき、いつも決まって、目を閉じてこの曲を頭に思い浮かべる。
少し泣きそうになるけれど、自分を奮い立てて、歩み始める勇気を出す。
この曲は、臆病で小心者な私の背中を押してくれる。私にとって一番の応援歌である意味で勝負曲なのだ。

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私の勝負曲

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