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normal lamp

normal lamp - 壊れた地下に残された街灯が鼠の死骸を照らしている
2024年 鹿骨 街灯 300000円 
190cm30cm30cm
時々ですが現実と夢想の境界が曖昧になる事があります。
子供の頃家から少し離れた所にある塾に通わなければならなかったのですが、そこに至る道に狭くて小さなトンネルがあり、そこの蛍光灯が切れかかり、点滅を繰り返していたのです。
当時の私は、その点滅が時間を細切れに裁断しているように思え、その刻まれた時間の隙間から多数の死者が私を覗き見ているように思えとても恐ろしかったのです。死者には時間そのものが存在せず、それ故に死者は時間の中に封じられていると信じていた私にとって、点滅する蛍光灯によってその封印が解かれ、その隙間から死者が覗きこんでいるように思えたのです。
大人になってその事を母に話したらそんなトンネルは何処にも存在せず勘違いだろうと笑われてしまいました。
それが意識出来た最初の曖昧な現実でした。
ですが、まだそこから抜け出る事は出来ないようです。
これはその時受けたトラウマとその環境を再現したものなのです。



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